国連総会で2014年ソチ大会オリンピック休戦決議採択

古代ギリシャのオリンピック競技会で実施されていた「オリンピック停戦(エケケイリア)」にちなんで、現代でも夏・冬のオリンピック大会前に、オリンピック休戦の決議が国連で採択されています。ソチで開催される2014年オリンピック冬季競技大会を前に、JOAに国際オリンピック休戦センタープレスリリースが到着しましたので、お知らせします。

 

プレスリリース

 国連総会、2014年ソチ大会オリンピック休戦決議を採択

ソチで開催される2014年オリンピック冬季競技大会期間中のオリンピック休戦を遵守する決議が11月6日水曜日、国連総会において満場一致で採択された。

Olympic Truce monument in UN Headquarters, NY

国連本部のオリンピック休戦モニュメント

国連総会は、国連憲章にもとづき、加盟国に対し、ロシアのソチにおける第22回オリンピック冬季競技大会の開会7日前から閉会7日後までの期間、オリンピック休戦に応じるよう要請している。大会は、2014年2月7日から23日まで開催される予定。

IOC会長のトーマス・バッハ博士は国連総会の演説で「スポーツは常に架け橋となることを役割とし、決して壁になってはならない。スポーツは、あらゆる違いを超える、対話と相互理解の象徴である。スポーツ、とりわけオリンピック・ムーブメントは、豊かさの源となる文化や社会やライフデザインの世界規模の多様性を認めている。私たちは誰に対する非難も排除も行わない。」と強調した。

IOC President Dr. Thomas Bach addressing the UN General Assembly

IOC会長トーマス・バッハ博士

また、バッハ会長は「平和の構築には長い道のりが必要である。スポーツはこの道のりに役割を果たしたいと考えている。もちろん、スポーツには限界があることも自覚しているが、世界全体にとって前向きで平和な開発を促進するためのスポーツの価値や象徴性という力が有効に用いられることを望んでいる。スポーツという象徴、とくにオリンピック大会において平和のうちに行われる競技は、すべての人々に感動を呼び起こす。対立や紛争の平和的な解決が可能であることを示さなければならない。人々は人間同士の争いを抑制し、紛争を解決するための国際的なルールに同意することによって、あらゆる境界を乗りこえることができる、ということを示さなければならない。このために、オリンピック休戦はとりわけ重要な意義をもっている。私たちは、この共通の努力を大いに重んじる。その努力は、政治とスポーツが連携し補い合う輝かしい実践例となるであろう。」とも述べた。

国際オリンピック休戦センター長のコンスタンティノス・フィリス博士は、決議採択後に以下の声明を発表した。

「オリンピック休戦の決議を実効的に進めていただくことに関し、ロシア連邦および全121の共同スポンサーに感謝の意を表したい。特に、オリンピック休戦の決議採択にあたり、国連を初めて―したがって歴史的な意義のある―訪問をされたトーマス・バッハIOC会長にお礼を申し上げたい。このことは、博士がオリンピック休戦を重要視していること、そして私たちの目的達成に対する熱意を示している。

オリンピック・ムーブメントは、オリンピック競技大会と社会とを結びつけるあらゆる理想を支持している。私たちは、非暴力という自制心、すなわち人々が他の人々と諍わないという心のあり方を形成するのを願っている。しかし、私たちはスポーツを通じたムーブメントのひとつであり、政治的な組織ではないことから、そこには限界があることも理解している。それと同時に、私たちはスポーツの可能性とその力についても認識している。

 本日の採択は、私たちがオリンピック休戦というテーマについてより頻繁に対話を拡大する必要があることを明白に示した。私たちの間だけでなく、社会全体、とりわけ若い世代に。普遍的な価値として、オリンピック休戦を人々の心に届けたい。真の挑戦は、人々の心をつかむことである。」

決議採択にあわせ、ギリシャ政府代表部は、ロシア政府代表部および国際オリンピック休戦センターとの協力で、国連本部において「オリンピック休戦を通じての平和の促進」を開催した。

 この催しには、「開発と平和のためのスポーツ」国連事務総長特別補佐官Wilfried Lemke氏、IOC委員Mario Pescante氏、2014ソチ・オリンピック組織委員会会長Dmitry Chernyshenko氏、ギリシャ議会国連派遣代表ギリシャ大使Michael Spinellis、国際オリンピック休戦センター長でコーディネーターを務めたConstantinos Filis博士が出席した。

IOC会長トーマス・バッハ博士は、短時間ながら出席し、全参加者の温かい歓迎を受けた。英国、韓国、中国、イタリア、キプロスの代表が近年のオリンピック休戦に関する意見交換を行った。

すべての登壇者がオリンピック休戦遵守の必要性と平和へのメッセージを強調し、企画を主催したギリシャおよびロシアの政府代表部に感謝の辞を述べた。

 

訳:來田享子(JOA理事)、監訳:和田恵子(JOA理事)

 

決議全文およびIOC会長のスピーチは下記から閲覧可。

 

プレスリリース原文PDF:UN General Assebly adopts resolution on Olympic Truce for Sochi 2014