第122回JOAコロキウム(10周年記念特別コロキウム)報告

日 時:2012年9月23日(日)13:00-17:00

場 所:明治大学駿河台キャンパス リバティタワー8F 1084教室

参加者:約35名

テーマ:「私が見た第30回ロンドンオリンピック・パラリンピック大会」

司 会:釜崎 太(明治大学准教授、JOAコロキウム部門担当副委員長)

パネリスト:
1.藤原庸介(JOA副会長、JOC理事):  選手団から見たロンドンオリンピック
2.嵯峨 寿(筑波大学准教授、JOA理事): ロンドンの遠景
3.舛本直文(首都大学東京教授、JOA理事)ロンドン大会の文化プログラムを求めて
4.真田 久(筑波大学教授、JOA理事): パラリンピックのふるさとを訪ねて
5.望月敏夫(元ギリシャ大使、JOA理事):ロンドン大会を2020年東京招致にどう役立たせるか

概要:2012年のロンドンオリンピック・パラリンピック大会を終えて、ロンドン大会を調査・視察してきた方々から、2020年の東京招致を見据えてまで様々な視角から話題が多様に提案された。
藤原さんからは選手村への入村式の様子(歓迎ぶりと休戦の壁サインなど)から各国バナー掲載の様子を報告していただき、中国選手団をはじめ諸外国の食事の苦労ぶりも含めてナショナリティとオリンピズムの併存の問題を呈していただいた。時間の都合でサポートセンターの様子が紹介していただけなかったのが残念である。
嵯峨さんからは、ロンドンオリンピックだけでなくスポーツの母国としてのイギリスが誇る各地のスポーツミュージアムの探訪とオリンピック教育や彼らの抱いているスポーツ・フィロソフィーを紹介していただいた。効果ミュージックも素敵な演出であり、インプレッシブであった。これは、日本のオリンピックミュージアム試行の先駆け調査であったといえよう。
舛本からはロンドン大会の文化プログラムのいくつかを紹介しておいた。中でもロイヤルオペラハウスの「オリンピックミュージアム」探訪と大英博物館の「古代ギリシャの勝利の旅」の紹介、テート美術館のポスター展示会やナショナルギャラリーの各種展示の概要、競技会場での文化プログラムが不在の様子を報告した。
真田さんからはパラリンピック期間中でチケットの入手できず、パラリンピックの故郷ストークマンデビル病院への充実した探訪の様子とそこでのブッルクス博士やパラリンピックの展示関係の紹介、中でもパラリンピアン達の含蓄あるメッセージが紹介された。英国ゆかりのパラリンピックの始原の紹介であった。
望月さんからは招致委員会としての立場から、英国政府とLOCOGの運営から学ぶべきことと反面教師となる事項について、内的要因と外的要因に整理して分析され、「先進国・成熟国・民主主義国型」オリンピックとしての模範となる大会であったこと、東京もそれを見習うべきことを報告していただいた。理念、公約の実行、国民の支持、文化力、レガシー重視、パラリンピック重視などの内的要因への指摘が興味深い点であった。
全体のディスカッションでは、小学校でのオリンピック教育の事例を参照して、シンボルマークの色と5大陸の関係およびオリンピック価値とパラリンピック価値の問題が取り上げられた。またフロアからのQ&Aではこの度のロンドン大会時に問題となったアスリート委員選出問題、無気力試合、審判問題が取り上げられたが、パネリストのそれぞれの立場からコメントがあった。例えば、これらの問題はIFの問題でもあることからオリンピック問題ではないことアスリート委員選挙はCASで審議係争中であることなどから踏み込んだ回答は差し控えられた。
総括的に言えば、競技志向ではなくオリンピック・パラリンピック文化を総体的にとらえた報告とパネリスト間のディスカッションであり、TVメディアや新聞メディアとはひと味違ったロンドン大会報告であったといえよう。予想した以上の皆様に参加していただき、資料が不足する事態となり申し訳なく、ここにお詫びいたします。

情報交換会は17:30より「咲くら 」お茶の水店で19名の参加を得て開催された。パネルディスカッションに引き続いて様々なオリンピック談義に花が咲いた。プレゼント交換会も開催され、大阿弥陀くじ大会と大じゃんけん大会で様々なプレゼントを交換することができた。