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第176回JOAコロキウム 報告

第176回JOAコロキウム 報告

日 時:2017年3月21日(火)18:00-20:00

場 所:「新中野切手サロン」

参加者:14名(情報交換会から1名参加)

テーマ:「映像で見るオリンピックの歴史」

内 容:
① オリンピック関連情報の提供(舛本)
IOCの2024・2028オリンピック招致関連記事、開催都市のジェンダー契約条項、2020年関係では、霞ヶ関CC女性正会員問題記事、男女混合競技の導入、大会経済波及効果、聖火リレー問題など。その他、AOCのASPIRE教育ニュース、AOC会長選挙情報、など。

②第8回札幌冬季アジア大会ボランティア参加記(今井氏)
32ヶ国と最多の国々が参加した冬季大会。約4,000名のボランティアが大会を支えた。9割は札幌近郊から。開会式の輸送とホテルのボランティアを担当された今井氏の報告。東チモールからの参加はニュースになっていました。

③ トリノ視察報告(舛本)
2月末に冬季大会後10年経過したトリノを再訪した。トリノ大学のオリンピック・メガイベント研究所OMEROと選手村跡地の活用、オリンピック休戦の壁の確認が主な目的であった。写真を元に、OMEROで得たレガシーの様子、民間の平和運動団体SERMIGの視察、市の都市開発センターでの取材、選手村跡地の様子、Lingottoオーバルや希望の架け橋など報告。選手村跡の利用では空き部屋も多いようで、共用施設の荒廃ぶりなど残念な風景を紹介した。

④ 2010バンクーバー冬季大会の公式記録映画
(Bud Greenspanが死去後チームによる編集:英語版前半)
Bud Greenspanが完成を待たずに死去し、残った彼のチームが完成させた記録映画です。開会式ではリュージュの練習中に事故死したジョージアのノダル・クマリタシビリ選手への弔意がIOCロゲ会長から示されました。第1話:女子モーグルのジェニファー・ハイル(カナダ)とハンナ・カーニー(アメリカ)のトリノ大会からの因縁の対決。トリノ大会から雪辱したカーニーの滑りとジャンプ。上村愛子は登場せず。第2話:フィギュアスケートペア競技の中国の3チーム対ロシアのサフチェンコ・ゾルコヴィ組の戦い。中国の申雪・趙宏博組が中国のペア史上初の金メダル獲得。龐清・佟健組は2位となった。両組とも過去にリンク上でプロポーズしたカップルである。従来、最強であったロシアペアは3位に沈んだ。相変わらずの過去の因縁やライバルなどの対決の物語にインタビューを加えた構成である。

 

<JOA事務局アドレス>

inform@olympic−academy.jp

(スパム対策のため全角表示しています)

 

 

「JOA研究委員会フォーラム」開催概要報告

「JOA研究委員会フォーラム×ファッションスタディーズ」

【開催趣旨】

2020年東京大会に向けてオリンピック・パラリンピックへの関心が高まる中で、JOAの中長期目標である「オリンピズムの普及と浸透」という課題に照らし、JOA会員や関係者の協同によるオリンピック・パラリンピックをテーマとした研究・調査報告等を広く紹介していくことを目的として、今回、以下のような「JOA研究委員会フォーラム」を特別に開催することにいたします。

【開催概要】

・共  催:NPO法人日本オリンピック・アカデミー(JOA)オリンピック研究委員会、

ファッションスタディーズ

・日  時:2017年1月28日(土)13時~17時

・会  場:田中千代ファッションカレッジ (東京都 渋谷区 渋谷1-21-7)

https://www.tanakachiyo.ac.jp/access/

・参加者数:53名(内訳:JOA会員10名(内学生1名)、一般43名)

・実行委員会:今井明良、深山計、飯塚俊哉、篠崎友亮の各氏

 

【発表概要】

(開会挨拶)
・JOAについて: JOAオリンピック研究委員会 舛本直文委員長
・ファッションスタディーズについて:ファッションスタディーズ 篠崎友亮代表
・田中千代ファッションカレッジについて:田中千代ファッションカレッジ 佐藤崇先生

 

1)「1964年オリンピック・ユニフォームの研究」
   安城寿子さん(JOA会員:服飾史家、文化学園大学ほか非常勤講師)

1964東京大会の開会式で着用した公式ユニフォームのブレザーについて、通説ではVANジャケットのデザイナー石津謙介氏のデザインによるものとなっており、様々な記事、紹介等でもそうされていた。 実際には、当時まだ主流ではなかったが、ヘルシンキ大会等のユニフォームをデザインした仕立服日彰堂のテーラー望月氏が、秩父宮様から「ブレザーとは国を表す色で作るものである。」との言葉を基に悩みながら作り上げたものであった。安城氏は、当時の資料や関係者の証言からその事実を明らかにし、正しい歴史を明らかにした。「新しいものを作るには、過去の歴史から学ばないと良いものにならない。」という安城氏の言葉は、今後の物作りにとって示唆に富むものであり、ファッション業界を含む参加者に感銘を与えるものであった。 ※研究発表の資料として、1964年日本選手団の実物のユニフォームを紹介した。

 

2)「二つのオリンピック-スポーツがつないだ日系社会-」
   小嶋茂さん(JICA横浜 海外移住資料館 学芸担当)

JICA横浜が運営する海外資料移住館の学芸員である小嶋氏からは、これまで海外に移住した日系人の暮らしと文化を紹介したこれまでの展示紹介を導入し、日本からの移住者、その子孫となる「日系人」に取ってスポーツがアイデンティティを保ち続ける大きな役割を果たしてきたという事実を発表された。日系人のコミュニティにとって、「運動会」が絆と楽しみとなり、その後通称「日系オリンピック」をはじめとしたスポーツ大会が南米を中心とした各国の日系コミュニティを中心に開催され、その中から多くの日系人オリンピアンも生み出す事にも繋がっていた。また日本の水泳界の古橋、橋爪選手達の南米遠征から、日系人のメダリストも生み出したという事実も掘り起こした。その他、様々なスポーツが日系人の中で行われており、野球、相撲等でプロ選手も輩出してきた。「日系人は自分達のルーツを大切にし、とりわけ「お蔭様」という言葉を日本も含めた先祖からの継承として大事に受け継いでいる」という小嶋氏の言葉は、日本に暮らす我々にとっても忘れかけているものの重要な視点であろう。
両発表を聞いている会場の雰囲気は、新しい学びの知的好奇心にあふれており、90分の講義の2本立てという日頃研究発表の聴講には慣れていない方々にとっては、ハードな内容とも思えたが、あっという間の4時間となった。講師への質問も、講義内容への理解を深めるものであり、参加者の学びの深さを感じられるものであった。

 

(質問抜粋)

Q1:開会式用のブレザーのデザインコンセプトは、競技用のユニフォームとも共有されていたのか?
A1:デザインチームは、開会式、スタッフ、競技ユニフォームと3つに分かれており、それぞれにデザイナー、生地、製作が分かれていたので、おそらくコンセプトは共有されていないと考えられる、この後さらに研究を進めて明らかにしていく予定である。

Q2:日系オリンピックでは、障害者スポーツは行われていたのか?
A2:現在の研究結果では、障害者スポーツが行われたという事実は確認されていない。

Q3:日系オリンピックへの出場への規定、例えば標準記録の存在等はあったのか?
A3:大会の内容の正式な記録はあまり残っていないのが現状であり、正式な規定の存在は明らかではないが、陸上競技の記録で見ると100メートル走で10秒1という記録もあり、オリンピックに出場した選手もこの大会に出場していた。ただ大会の内容については、更なる研究の余地がある。

休憩時や講義終了後には、多くの参加者が研究資料として展示された藤崎テーラーから寄贈されたJOA所蔵の実物の1964東京大会の赤いブレザーを興味深く観察する姿がみられた。また参加者にファッション、文化関係の方も多かった事から会場の至るところで、名刺交換やご挨拶等が活発に行われた。

 

・交流会:参加者17名
フォーラム後の交流会には17名が参加。二人の講師を囲みオリンピック、スポーツと文化、芸術についての話で大いに盛り上がり、更なる学びと交流の場となった。

 

・アンケート:回収数20件
参加者からのアンケートは20名に記入を頂き、内容として学びへの感想、意見の記述が多く、ファッションスタディーズのスタッフが驚く程であった。以下その主な結果である。
・今回のプログラムはいかがでしたか? 非常に満足 5 満足12  ふつう1 無回答2
・その理由(抜粋)
「新しい発見」「オリンピックを文化の面からみるのが良かった」
「オリンピックの裾野の拡大に感銘した」
「スポーツがつなぐ新しい価値観を知れた(スポーツがつなぐ日系社会)」

 

【所感】今回のフォーラムを通して、改めてオリンピックの多様な面と多くの分野、特に文化活動をされている方々の高い関心を感じる事となった。今後も、様々な分野との学びの交流を通してJOAの中長期目標である「オリンピズムの普及と浸透」に貢献する機会を考えていきたい。

 

【問い合わせ先】
日本オリンピック・アカデミー事務局
e-メール:inform@olympicーacademy.jp
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第175回JOAコロキウム 報告

第175回JOAコロキウム 報告

日 時:2017年2月8日(水)18:00-20:00

場 所:「新中野切手サロン」

参加者:8名

テーマ:「映像で見るオリンピックの歴史」

内 容:

①オリンピック関連情報の提供(舛本・今井)
LA Pols back Two Olympic Hosts, Donald Trump Support(今井氏)、2024オリンピック招致関連記事、ロシア処分問題(IPCおよび国際陸連)の記事、霞ヶ関CC女性正会員問題記事(以上舛本)

②1/28「JOA研究委員会フォーラム」xファッションスタディーズの報告(飯塚氏)

③シンガポールのスポーツハブ視察報告(舛本)
特にスポーツミュージアムの展示内容を写真と資料をもとに紹介した。展示コンセプトは、シンガポールスポーツ界の歴史と発展。旧国立競技場の遺品物なども大切に展示してある。若い世代への刺激とインスピレーション、チャンピオン達とのふれあいで競技スポーツへの触発やボランティアマインドの醸成などを狙っているそうである。中心はYOGの展示。トーチやや聖火台、ピンバッジ等も展示してある。さらに、人権や差別撤廃、アンチドーピングなどの啓発展示も行われている。子供たちは入場料無料。

④2008年北京大会の公式記録映画The Everlasting Flame-Beijing 2008 『永恒之火』(顧筠・総監督1.5時間、英語版)
BGMと英語の字幕でほとんど会話のない作品である。カナダの「モントリオール世界映画祭」で「特別大賞」を受賞したほか、イタリアの「ミラノ国際スポーツ映像祭」でも「最高賞」を受賞した作品とされる。5大陸の選手達のトレーニング風景から始まり、開会式の演出をする張芸謀(チャン・イーモウ)監督の姿。国際聖火リレーでの妨害シーンはみられないが、聖火リレーの映像では各地とも聖火防衛隊の姿を映す。エベレスト山頂への聖火リレーは中国の領土という政治的メッセージ。開会式では各国の首脳陣が映し出される。入場行進では日本選手団も映し出された。李寧(リ・ネイ)の空中を駆ける聖火台への点火。競技では、主役はジャマイカのBolt選手。ダンスパーティで踊る姿も映し出す。話題は劉翔の棄権のシーン。国民の落胆ぶりやコーチのインタビューなど国民的関心事であったことを映し出す。女子体操では中国の団体優勝のシーンでの喚起の様子。テコンドーでのイランの男女の選手達。後は各種目の勝者達のラッシュ映像。ロシアのイシンバエアや米国水泳男子のマイケル・フェルプスなどのスーパースター達も登場する。さすがに卓球の決勝は男女とも中国選手であった。最後は時間切れでカット。音声がないのであまりストーリーやテーマが看取しづらい映像であったといえる。

第174回JOAコロキウム 報告

第174回JOAコロキウム 報告

日 時:2017年1月25日(水)18:00-20:00

場 所:「新中野切手サロン」

テーマ:「映像で見るオリンピックの歴史」

内 容:

①オリンピック関連情報の提供(舛本・吹浦)
五輪マスコット関連、オリンピック・パラリンピックと人権、beyond2020の文化プログラム、「ようい、ドン!スクール」、霞ヶ関CCゴルフ会場問題ニュース、TOCOGの「ジャパンプレミアム」発表、周近平IOC訪問のIOC News、「オリンピックの文化イベントの歴史と言語」(以上舛本)、1964の記憶:ザンビア独立(吹浦氏)

②2006年トリノ冬季大会の公式記録映画(Bud Greenspan, 1.5時間、英語版の5本の物語)
トリノという街の紹介から始まるオープニング。イタリア初の首都となった都市。チョコと車、映画館ミュージアム等々。開会式はパパロッティの口パクと言われた「トゥーランドット」のソロから。第1話:アメリカのスピードスケーターのジョーイ・チークが500mで優勝、1,000mで2位となり、そのメダル報奨金4万ドルをヨハン・オラフ・コスが設立した人道団体「Right To Play」に全額寄付したというあまり知られていない物語。これでヒューズやヤンヤン等からも寄付が続く一大運動になった。第2話:荒川静香がサーシャ・コーエン(米)とイリーナ・スルツカヤ(露)を押さえて日本フィギア初の金メダル獲得の瞬間。コーチのニコライ・モロゾフらと勝利の瞬間を喜ぶ姿を捉える。第3話:スピードスケートでイタリア初のメダルを獲得したエンリコ・ファブリス選手。4日後の団体パシュートでは転倒したオランダチームを破り優勝。1,500mでも1位となり、表彰式のメダルプラザは大歓声と国歌の大合唱。イタリアでは冬季大会で1大会メダル3個獲得者はアルベルト・トンバと並び二人のみ。第4話:ノルウェーのアンドレ・オーモットの同僚のラッセ・チュースとのスーパーGの戦い。ハーミネーターの異名を取るヘルマン・マイヤーも下して34歳の最年長での優勝した物語。第5話:イタリアとノルウェーはクロカンの永遠のライバルチーム。オリンピックでのリレー競技での靴差の勝負が続く中、トリノではリレーで優勝したイタリアチームのジョルジョ・ディ・チェンタ選手の物語。彼は50kmクロカンで余裕を持っての優勝。閉会式で行われた表彰式では、実姉のマヌエラ・ディ・チェンタ(伊NOC副会長)からメダルを授与された。”Passion Lives Here”が大会スローガン。トゥーランドットの曲が流れる中でエンドロール。記録映画としては短い尺でしたので、一気に観ました。