第229回JOAコロキウム開催報告
・日 時:2021年12月21日(火):18:00-20:00
・場 所:Online Zoom会議
・参加者:12名
・テーマ:「東京2020大会」を振り返る:
「オリンピズム」のスポーツ、文化、環境、平和運動の側面から
Ⅰ.情報提供
1.「東京2020大会」を振り返る:「環境」の面から(情報提供by大津)
・「東京2020大会」のために実施された「持続可能性プログラム」の概要について情報提供して頂きました。
<情報提供の概要>
・地球規模の環境危機の状況、環境問題への意識化と対策の歴史、地球温暖化とスポーツへの影響、IOCの対応状況などの概要を先ず紹介。
・「東京2020大会」では「持続可能性プログラム」Be Better Together(より良い未来に、ともに進もう)として5本の柱を提示、その内の①から③までの取り組みを紹介。この中には、人権やSDGsなども入っている。
① 気候変動:Towards Zero Carbon (脱炭素社会の実現に向けて)の取り組みとして、既存会場の活用、再生可能エネルギー電力の活用、EVやFCVの乗用車の活用、水素ガス利用した聖火
②資源管理:Zero Wasting(資源を一切ムダにしない)の取り組みとして、調達品の99%を再利用・再生利用、運営廃棄物の65%を再使用・再生利用、「日本の木材活用リレー~みんなで作る選手村ビレッジプラザ」(後は各県で再利用)、使い捨てプラスチックを再生利用した表彰台プロジェクト~みんなの表彰台プロジェクト~、「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」、ボランティアのユニフォームや表彰式goodsの再生資源利用など。
③大気・水・緑・生物多様性等:City within Nature/Nature within the City(自然共生都市の実現)として、東京の「酷暑」を考慮し、マラソン・競歩の開催地が札幌に移動、酷暑での開催(ヒートポリシーの適用)、打ち水や手ぬぐいというアナログ対応、遮熱生舗装と保水性舗装の問題、PVでの森林伐採と樹木剪定などの問題指摘も!
紙資源の節約は?マスクや医療資材の廃棄、フードロス、ボランティアユニフォームの再配布などの多くのムダが!
・まとめ1:オリンピックを機会に現状を認識する:エリートレベル(オリンピック)だけではなく、草の根レベルでもサステイナビリティの意識を
・まとめ2:「持続可能の確保」のために行動を起こせる人材を育成:アスリートのロールモデルとしての役割、高校保健体育で新たに加わった項目「スポーツと環境」の重視
・総括:今回の大会でどういった環境意識が醸成されたのか?例えば国体、国内のNF全国大会、日本で行われる国際大会でも、同様の取り組みがまた行われたりするなど、何かしらの継続があって欲しい…。留意すべき点として、エコ活動を実践し、地球環境保護のあり方を提言しつつも、個々人の行動が将来にとってどのような位置を占め、どのような役割を担うことになるのかといった認識が欠けているとしたら、結局のところ環境の保護と改善に寄与する働きにはならないだろう。「スポーツと環境」において、まだ当事者や現場に目が向いていない状況にとって、まずはその状況の問題性を喚起することが求められるところである。
<Q&A、コメント>
・最近は、オリンピズムの3本柱の「環境」というコンセプトではなくSDGsに含まれるテーマになっている。
・国旗の再利用の妙案は?パリで使用できないか?自国で作成したいパリのようではあるが?FIFAは仮設施設の次大会での活用等の工夫が見られる。既存施設の利活用で仮設を作らない方式も要考慮(観客を多くしない)という意見も。
・JOCの環境レポートにも問題が見られる。出しておけば良いというレベルになってはいないか?各協会でどのような教育や活動をしているかが重要。大会委のIOC報告書もやったことだけ、できなかったことも合わせて報告すべき。なお、トライアスロン協会のようなストーリーづくりにもなる取り組みが参考になる。
・選手村での食事関係では衛生や健康安全配慮の元に多くの食品廃棄があった。大イベントでは良く見られそうとのこと。
・開閉会式やボランティアの食事での不満や問題が。責任者の存在が不明なのも問題。長野大会の経験が生かせないのは? 学校教育での環境や持続可能性の教育は限りなく少ないのが現状。
・フードロスなどの大会運営に人々の関心が当たったようにオリンピック・パラリンピックに感心を持つ人が増えた。ここで大会開催の意義や問題点を検証して次の大会に申し送ることが大切。TOCOGが解散してもデジタル化して情報共有の道を模索すべき。但し、大会自体があまりのも大きくなりすぎた弊害もある。
・バトミントン連盟はガチョウの羽ではなく人工シャトルの利用を考慮して、環境配慮しようとしている。
・オリンピックの取り組みが他の競技会にシェアリングされていくことが大切。
・JOCの環境部門がOM事業部に吸収されてしまった。どういう取り組みになっていくか気がかり。一方、スポーツ協会では公認指導者講習会では「スポーツと環境」という科目が入っている。
2.「2022北京冬季大会」の「外交的ボイコット」関連
・「2016年平昌宣言」「2018年東京行動計画」「2020年北京共同声明」という日中韓3か国のオリンピック・パラリンピックを通じた東アジアの平和希求運動が、全く触れられないメディア報道と政府の対応。この流れを踏まえる必要性。
・過去の米ソのボイコット合戦でも意味はなかった。シュワルナゼ氏の回顧録も参考になる。たとえ虚構であってもスポーツの祭典という性格はなくすべきではない。アメリカが環境問題も含めて正常であるのか?一面的な批判で良いのか?などのコメントも。
・いろいろ幅広い考え方があるので、一面的に割り切ることが難しい問題。まずはオリンピックという観点から問題を見る必要がある。今のオリンピックがおかしい状況にあること、強権的な政府が開催する大会は良いものではないこと、中露の問題も指摘するなど。北京での大会開催も大切ではあるが問題もあるのでは、というような指摘も可能。
3.第10回オリンピック・サミット宣言関連
・2028年ロス大会では3Sのニュースポーツ(サーフィン、スポーツクライミング、スケートボード)が28種目に入ることがIOCのEBで決定。近代五種、ボクシング、重量挙げは現段階では除外、条件次第で復帰の可能性も。さらに、開催都市推薦競技として、アルテミット、ラクロス、野球・ソフトなどのカリフォルニアフレーバーと呼ばれる競技も候補として挙がっている。
・除外された3種目が復帰される条件はサミット宣言では明示されてはいない。これまでの情報では、ガバナンス(ボクシング)、ドーピング(重量挙げ)、馬術(近代五種)とされているが、IOCは28種のコア競技という立場を放棄。
・競技選定においては、オリンピックはどうあるべきか?という根本的な視点から検討されるべき、との意見。
・団体競技の追加は競技者数が増えすぎるので難しい。
Ⅱ.その他の報告
・本間 龍著 『東京五輪の大罪』ちくま新書(by吹浦委員)
・吉見俊哉編著 『検証 コロナと五輪』 河出新書(by舛本)
・カルティベータのYouTube動画で、90歳のギネス認定世界最高齢アルペンスキー競技者である本間かほるさんの登場の予告紹介(by宮嶋)
Ⅲ.プレゼント交換大阿弥陀籤大会
・参加者の一部で年末恒例のプレゼント交換会を阿弥陀籤で実施しました。当たった人に各自が送付する形です。多謝!
・残り時間はフリーディスカス。情報交換の継続など、いつものように話題は尽きず。楽しく時間が過ぎていきました。
第230回JOAコロキウム開催案内
・日 時:2022年1月20日(木)18:00-20:00
・場 所:Online Zoom会議
・テーマ:「東京2020大会」を振り返る:
「オリンピズム」のスポーツ、文化、環境、平和運動の側面から:平和運動面から
情報提供者:野上玲子委員(日本女子大助教、JOAコロキウム部門委員)(18:30〜)
・その他の内容:
①オリンピック・パラリンピック関連情報の提供(各自、何かあればPC上で共有できますので、ご準備ください。)
②意見交換:今回も共通テーマは「東京2020大会」とします。参加者はご希望があればお寄せ下さい!
③映像共有:何か時間があれば考えます。YouTube上でも探せます。ご希望があれば考慮します。
④残り時間:フリーディスカス。
⑤終了後:online乾杯など自由に!
〇定 員:15名程度
(但し事前登録制:参加予定の方には、後日Zoomへの招待とID、PW、URLをお送りします)
〇会 費:無料(Zoom利用の経費はJOA負担です)
〇情報交換会:(ドリンクは各自で準備してください)
☆入室・退室は自由です!
☆通信環境の状況次第によっては、入室できない、あるいは中断する可能性もあります。どうぞご理解ください。
◎申込先:JOAコロキウム申し込みサイト:
joa_colloquium*olympic-academy.jp(*は小文字の@に)
☆ただし、このJOAメルマガに直接の返信は避けてください。対応できません!
◎申込み締め切り:
2022年1月17日(月)17:00