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2008年度第76回JOAコロキウム 報告

日 時:2008年11月19日(水) 18:00-20:00 (定例の第3水曜日)

場 所:「新中野切手サロン」(地下鉄丸ノ内線「新中野」駅、4番出口)
     住所:中野区中央4-1-3 BONITA新中野ビル6階:薬屋(一本堂)のあるビルの6階です。

テーマ:映像で見るオリンピックの歴史

題 材:『君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956』(クリスティナ・ゴダ監督、2007年、120分)
1956年ハンガリー動乱、この年はメルボルンオリンピック大会の年。「血の水球事件」。ブタペストで生きるヴィッキとカルチの2人。実はこの時にIOCは初めて「オリンピック休戦」を発動したが、それはどのように描かれているか? 血の水球事件の描写は? などなど楽しみが一杯のドラマ映画です。

<報告>

1956年ハンガリー動乱が舞台のドラマ映画です。ご存じのように、この年はメルボルン大会の年。当時のハンガリーの政治状況とスポーツ状況。中でもソ連との確執が描かれています。この動乱の時にIOCが初めて「オリンピック休戦」を発動したとされるのですが、残念ながらそこは全く触れられていませんでした。ブタペストで生きる若いヴィッキとカルチの2人の「愛と自由」を求めるドラマ仕立てです。エンディングの国歌の斉唱は本当に重い
シーンになっていました。原題は「愛、自由」、英語タイトルはChideren of Glory」ですので邦題とは随分違いがあります。しかし、メルボルン大会の「血の水球事件」はリアルに描かれていました。残念ながら、プール回りにはオリンピックシンボルマークが氾濫し、しかもインターリースのシンボルではなかったのでした。実際の映像も持って行ったのですが、残念ながら時間の関係で見ることができませんでした。

配付資料:
 1952年のヘルシンキ大会公式報告書から「エケケイリア」の頁
 IOCのレビューから1956年の「オリンピック休戦」発動の記録
 JOC監修「オリンピック100年の歩み」からメルボルン大会の資料
 劇場プログラムから「血の水球事件」およびハンガリー情勢など

2008年度第75回JOAコロキウム 報告

日 時:2008年10月15日(水) 18:00-20:00 (定例の第3水曜日)
場 所:「新中野切手サロン」(地下鉄丸ノ内線「新中野」駅、4番出口)
     住所:中野区中央4-1-3 BONITA新中野ビル6階:薬屋(一本堂)のあるビルの6階です。
テーマ:映像で見るオリンピックの歴史
題 材:『オリンピック:20世紀の記録 第全10巻』(IOC公認、制作NHK、監修JOA後藤忠弘さん)(各巻約70分)
第3巻:1964年第18回東京大会 及び 1964年第9回インスブルック冬季大会の2大会のみ
     さて、東京大会の日本選手の活躍がどのように描かれているでしょうか。。。
     インスブルックでは、一体どのような映像が、、、?
     SELEVRITY HUMANITYではどのシーンが?

<報告>
第3巻:1964年第18回東京大会 及び 1964年第9回インスブルック冬季大会の2大会のみ1964年東京大会:市川崑監督の名作「東京オリンピック」と比較すると思白い映像が満載でした。入場行進は残念ながら古関ユウジ作曲の名曲「東京オリンピックマーチ」ではありませんでした。時代背景も写し、東京のスター達が勢揃いの映像でした。陸上の依田、円谷、重量挙げの三宅、レスリングの吉田、上武、競泳のショランダーにブレーザー、体操の遠藤とチャスラフスカ、柔道の猪熊や神永、ボクシングの桜井、バレーボールの東洋の魔女と大松などなど。閉会式は市川崑監督のシーンの借用。懐かしい映像でした。
1964年インスブルック冬季大会:開会式の様子で日本選手61名。初めてギリシャのオリンピアで採火。ボブスレーでフェアプレー賞を取ったイタリアの門ティ選手の逸話、ソ連のリディア・スコブリコーワの活躍など。
SELEVRITY HUMANITY:1998年長野の原田の大飛翔ジャンプのスローでした
配付資料:菅原悦子著(2008)歴史ポケットスポーツ新聞・オリンピック.大空ポケット新書とオリンピック100年のあゆみ。

後半は藤原さんの北京報告。BOBで国際映像を作成された経験を元に口パクや花火のCGIなどから虚偽と虚構(VR)などの面白いコメントを頂きました。曽根さんも映像の専門家として「バーチャルリアリティはスポーツ中継でどこまで許されるか」という興味深い論議が交わされたのでした。

終了後はいつもの居酒屋談義でした。

2008年度第74回JOAコロキウム 報告

開催案内

日 時:2008年9月18日(木) 18:00-20:00
     ※8月31日までは9月17日開催とお知らせしていましたが、都合により変更になりました。
      
場 所:「新中野切手サロン」(地下鉄丸ノ内線「新中野」駅、4番出口)
     住所:中野区中央4-1-3 BONITA新中野ビル6階:薬屋(一本堂)のあるビルの6階です。
テーマ:映像で見るオリンピックの歴史
題 材:『オリンピック:20世紀の記録 第2巻』(IOC公認、制作NHK、監修JOA後藤忠弘さん)(各巻約70分)
第2巻:1952年第15回ヘルシンキ大会~1960年第8回スコーバレー冬季大会
     これも古い映像が満載。猪谷千春JOA会長の雄姿も。東京大会前のローマ大会も見所が多いでしょう。
     後半:北京大会談義
予  定:約65分観た後、フリーディスカス
      終了後、居酒屋談義(居酒屋「もんし」だけでも参加OKです)。
定  員:15名程度(ルームのキャパシティのため)
会  費:1,000円(会場使用料、資料コピー代、ドリンク代他)
     (なお、その後の居酒屋談義に参加される方は別途会費をご用意下さい。)
申込先 :事前にJOA事務局メールアドレスに「研究・教育担当宛」としてメールをお送りください。
     (コピー資料枚数の準備と居酒屋予約の都合です。)

報 告

参加者:7名
題 材:『オリンピック:20世紀の記録全10巻』(IOC公認、制作NHK、監修JOA後藤忠弘さん)(各巻約70分)
第2巻:1952年第15回ヘルシンキ大会~1960年第8回スコーバレー冬季大会まで、今回も古い映像が満載でした。世界の世情、日本の社会状況を交えたコンテクストの紹介が嬉しい映像構成になっています。

1952年ヘルシンキ大会:  ザトペックの苦しそうな力走、体操ニッポンの誕生、レスリングの台頭と古橋・橋詰めの惜敗、女子平泳ぎで初のバタフライ登場、ソ連の参加と活躍ぶりなどなど、、。米ソ冷戦時代の始まり、「エケケイリア」が宣言された大会でしたが言及はありませんでした。
1956年メルボルン大会:  東西統一独チーム、エジンバラ公の開会宣言、水泳ニッポンの活躍、小野に鉄棒の「ひねり飛び越し」のウルトラC演技、レスリング笹原正三の必殺「またさき」、ザトペックの惨敗などなど・・・。ハンガリー動乱と「血の水球事件」への言及はありませんでした。
ローマ大会:  10万人収容のスタジアム、中国ボイコット、アベベの裸足の勝利、体操団体初優勝、山中対ローズの水泳、アメリカ女子短距離走「黒いガゼル」の異名を取るルドルフの疾走、などなど。
冬季大会:  オスロでモルゲダールのソンドレ・ノルヘイムの暖炉から採火された聖火リレー。コルチナ大会では日本初メダルの猪谷千春JOA会長の雄姿、聖火の採火はローマのカンピドリオの丘で採火(何故?)。スコーバレー大会では、ディズニーが開会式の演出、聖火は再度モルゲダールから、ニクソン副大統領の開会宣言、アイスホッケーで米初優勝、日本では高見沢初枝選手の活躍などなど、、、が写されていました。

配付資料:菅原悦子著(2008)歴史ポケットスポーツ新聞・オリンピック.大空ポケット新書とオリンピック100年のあゆみ。最終映像は、今はIOCのWebsiteからも削除されてしまったSELEVRITY HUMANITYの『ハーミネータ(ヘルマン・マイヤー)』のクラッシュシーンでした。1998年長野冬季大会の滑降。この後の復活を称える映像です。

後半は北京報告。BOBで国際映像関係に関与されていた曽根さん、4日間は同じホテルで過ごした伊藤さん、オリンピック・シンポジウムにも参加した舛本が、写真とともに情報提供しました。北京便りはJOAMLに直に配信します。

2008年度第67回-73回 JOAコロキウム報告

■ 第73回 JOAコロキウム 開催報告
日 時:2008年7月16日(水) 18:00-20:00
場 所:「新中野切手サロン」
参加者:8名
テーマ:映像で見るオリンピックの歴史
題 材:『オリンピック:20世紀の記録第1巻』(IOC公認、制作NHK、監修JOA後藤忠弘さん)(約77分)
第1巻:1896年第1回アテネ大会~1948年第14回ロンドン大会まで
古い映像が満載でした。これまで観たIOC4巻物よりも詳しい内容でした。特にエピソードもの、歴史的事象に焦点が当てられていました。参加者の方々にも初めて見る映像が満載でした。驚きの声が上がることも間々ありました。配布資料として、菅原悦子著(2008)歴史ポケットスポーツ新聞・オリンピック.大空ポケット新書と内容がかなりに通っているのが驚きでした。最終映像は、今はIOCのWebsiteからも削除されてしまったSELEVRITY HUMANITYの『クール・ランニング』のゴールシーンです。授業でも使いたい映像なのでこれは助かります。

終了後はいつもの居酒屋談義でした。新人の深澤さんを含め7人で様々な話題が弾んだ居酒屋談義でした。

■ 第72回 JOAコロキウム 開催要項
日 時:2008年6月18日(水) 18:00-20:00
場 所:「新中野切手サロン」
参加者:8名
テーマ:映像で見るオリンピックの歴史
題 材:『The Olympic Series:栄光の軌跡メモリアルボックス第4巻』(2003年、監修JOA伊藤公、後藤忠弘)(各巻約100分です)
 第4本目:プログラム13「冬季大会のヒーローWinter Heroes」:マクダーモッド、荻原健司などの懐かしい姿の他、ボブスレーなど冬季競技の古い映像満載でした。
 プログラム14「2000年シドニー Special Moments of Sydney 2000」:キャシー・フリーマンの最終聖火点火者、カメルーンサッカーチームの活躍、豪水泳リレーチームがアメリカを破る瞬間、ゲブラセラシエの熱走など思い出しました。
 プログラム15「2002年ソルトレークシティー Special Moments of Salt Lake City 2002」:コステリッツの活躍、親子3代のオリンピアンであるJ.シェイ、ジャンプのハリーポッターと言われたアマン、ビョルンダーレンの激走、ラッキーな金メダル男である豪ブラッドバリーら、懐かしい姿が満載でした。

後半部:東京都の新しい招致パンフとスローガン論議、及び6周年第72回記念プレゼント会
 新しいパンフには「東京だからできる、新しいオリンピック」とあります。どんな新しいオリンピックが構想されるか楽しみです。新しい5本の幟に写真はこのMLで既に配信しましたが、それについても話題にしました。最後に、舛本が5月のオリンピアでのIOAジョイントセッションで入手してきたポストカードと記念切手を参加者にプレゼントしました。ポストカードには、このジョイントセッションの初日である5月13日しか使えない記念のスタンプを押してもらっています。結構な記念品のようです(収集家には何とかして欲しいモノかも、、。)IOAの封筒も気に入ってもらえました。

終了後はいつもの居酒屋談義でした。5人でしたが様々な話題が弾んだ居酒屋談義でした。

■ 第71回 JOAコロキウム 開催要項
日 時:2008年5月7(水) 18:00-20:00 (定例の第3水曜日ではありません。連休明けです。)
場 所:「新中野切手サロン」(地下鉄丸ノ内線「新中野」駅、4番出口)
     住所:中野区中央4-1-3 BONITA新中野ビル6階:薬屋(一本堂)のあるビルの6階です。
テーマ:映像で見るオリンピックの歴史
題 材:『The Olympic Series:栄光の軌跡メモリアルボックス第3巻』(2003年、監修JOA伊藤公、後藤忠弘)(各巻約100分です)
第3本目:後半2プログラム
 プログラム11「冬のスーパースターたちWinter Superstars」(ドービル・ディーン、クラマー、ローテンブルガー、ニッカネンら)、プログラム12「冬の伝説A Winter’s Tale」(オクサナ・バイウル、ウェンツェル、ハミルトンら)の2本です。熱いくらでいの日に冬季大会を見ました。20人の登場人物のうち12人の資料を準備したほど、珍しい名前が挙がっていました。ドービル・ディーン組は圧巻ですね。クラマーの滑りは「極限の滑り」と言うコメントも意味深長です。悪童ニッカネン、フライング・ダッチマンのシェンク、不遇の少女オクサナ・バイウル、映画の登場人物にもなるビリー・フィスクなど珍しい映像とともに、なかなか良い場面を見た気がします。

後半部:長野聖火リレー報告会
舛本が写してきた写真とVTRをもとに国際聖火リレー長野レグを話題にしました。残念ながら迫力大画面には映し出すことが出来ませんでしたが、長野の中国陣とチベット陣の対立の様子は理解いただけたことと存じます。「国境なき記者団」のロベール・メナール事務局長、「うそつき、ダライ・ラマ」のプラカード、中国留学生聖火防衛隊のリーダーの写真、中国人家族の応援風景や「北京日報」の記者の写真、などなど、メディアが報道しない写真も見ていただきました。

終了後はいつもの居酒屋談義でした。5人でしたが静かな中にも話題が豊富な居酒屋談義でした。

■ 第70回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2008年4月16日(水) 18:00-20:10
場 所:「新中野切手サロン」
参加者:13名(院生1名、ゲスト2名含む)
テーマ:映像で見るオリンピックの歴史
題 材:『The Olympic Series:栄光の軌跡メモリアルボックス第3巻』(2003年、監修JOA伊藤公、後藤忠弘)(各巻約100分です)
前半部:映像からたどるオリンピック史:約1時間
 第3本目:プログラム9「オリンピック精神Olympic Spirit」(サルニコフ、フォズベリー、ミルズら)、プログラム10「表
彰式The Medal Ceremony」(ジョイナー、ジャンセン、ヘーシンクら) の半分を観ました。あまり知られていない選手が多く登場しました。コロキウム参加者の年齢に応じて登場選手の認知度が違います。懐かしい選手や名場面が登場しましたが、1964年大会の映像は市川崑監督の『東京オリンピック』からの借用が多くみられました。珍しいものは、人見絹枝が2位になったアムステルダム大会の800mの決勝の様子。ゴール後、多くの選手が倒れ込んだと言われていますが、映像ではゴール後倒れた選手は1名だけでした(その後がどうなのかは不明ですが)。1936年ガルミッシュ大会から女子のアルペン競技が採用されましたが、その時の滑降と複合のコース設定と滑りの技術には驚きの声が上がりました。今回の映し出される内容から「オリンピック精神Olympic Spirits」というテーマ設定にはいささか不適切な感じを受けました。

後半部:JOAオリンピア-ローザンヌ報告会
粟沢、坂本、野崎、舛本の3人の理事会メンバーによって、オリンピアの聖火採火式と聖火リレー及びローザンヌのIOC本部とミュージアム視察旅行に参加した報告がありました。国際オリンピック休戦センター訪問、2007年のオリンピア地方の火事の後の様子、採火式入場のIDカード取得の苦労話、IOAへの植樹の寄付、新聞やテレビが報道しない聖火採火式の事情、IOC本部見学など、写真回覧しながら報告されました。「国境なき記者団」の採火式妨害の様子、稲沢市の中学生達が聖火リレーで妨害を受けた様子は日本ではあまり知られていないようです。4人の関心事はそれぞれ多様でしたが、なかなか聞くことのできない報告会でした。国際オリンピック休戦センターのピン・バッジのプレゼント、採火式のプログラムのプレゼントもあったコロキウムでした。

終了後は居酒屋談義で大いに盛り上がりました。

■ 第69回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2008年3月12日(水) 18:00-20:00 (定例の第3水曜日ではありません、ご注意下さい)
場 所:「新中野切手サロン」(地下鉄丸ノ内線「新中野」駅、4番出口)
     住所:中野区中央4-1-3 BONITA新中野ビル6階:薬屋(一本堂)のあるビルの6階です。
テーマ:映像で見るオリンピックの歴史
題 材:『The Olympic Series:栄光の軌跡 メモリアルボックス第2巻』(2003年、監修:JOA伊藤公、後藤忠弘)(約102分)
 第2本目は「内なる勝利Personal Achievement」、「歓喜のときEmotional Celebrations」、「ライバルたちの戦い
Rivalry」、「国家のプライドNational Pride」という4部門から構成されていました。
1.「内なる勝利Personal Achievement」:ソウル大会のカール・ルイス、ロス大会の山下泰裕の怪我、イリナ・ロドニナの3大会連続金メダル、ローマ大会でのウィルマ・ルドルフの3冠(スタンドでジェシー・オーウェンスが見守る雑感ショットも)、孫基禎と黄永ジョ(バルセロナの森下とのレース)の韓国マラソンランナーなど。
2.「歓喜のときEmotional Celebrations」:パリ大会のパーボ・ヌルミ、ロス大会のエドウィン・モーゼス、ソウル大会のルガニス(飛び込み)と金永南(レスリング)、アルベールヴィル大会のダーリらの勝利の歓喜など
3.「ライバルたちの戦いRivalry」:ザトペックとミムン、コーとオベット、ビッドとトーマス、カルガリー大会の2人のブライアンや、兄弟姉妹のライバルぶりなどが描かれる。
4.「国家のプライドNational Pride」:キューバのスティーブンソン、スリナムのネスティ、日本の笠谷幸生、スキーのキリー、トルコのスレイマノグル、メキシコのムニョス、レイクプラシッドのアメリカアイスホッケーチームなど(監督の服装は映画『ミラクル』と同じでした)
 今回も各パート10人のアスリート。40人のオリンピアンの栄光の軌跡(原題では「輝ける瞬間」が良いように思いますが、、、)を一気に見ました。今回も初めて聞くアスリートについては舛本の方で資料を作成して配布しました。しかし、知らない選手の映像を見るのは本当に興味深いですね。伊藤さんから、「忘れたシーンが多い」というお話も聞くことができました。

その後は恒例の居酒屋「もんし」で意見交換。あれこれ話が弾み、夜遅くまで盛り上がったのでした。

■ 第68回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2008年2月20日(水) 18:00-20:20
場 所:「新中野切手サロン」
参加者:7名
テーマ:映像で見るオリンピックの歴史
題 材:『The Olympic Series:栄光の軌跡メモリアルボックス第1巻』
        (2003年、監修JOA伊藤公、後藤忠弘)(約104分)
 第1本目は「輝ける偉業」「勝利の瞬間」「接戦」「記録更新」という4部門から構成されていました。 
各部門10人のアスリートですから、40人のオリンピアンの栄光の軌跡を一気に見ました。全員の名前を挙げるだけでも大変なので割愛します。それぞれの部門でアスリート達を選定した基準や理由も知りたいところです。TWI(OTAB)の英語版が先にあって、それに日本語を当てたということのようです。初めて聞くアスリートについては舛本の方で資料を作成して配布しました。しかし、知らない選手の映像を見るのは本当に興味深いですね。これまでに見てきた記録映画やドキュメンタリーの映像も使われていますが、珍しい映像が多くありました。  
 後藤さんと伊藤さんからは監修の苦労話もお聞きすることができました。特に初めて聞く選手の名前の読み方が大変だったそうです。曽根さんからは映像に対する工夫(字幕や場所と年代の補足など)のアイデアも出ました。
多くの映像を一気に観て、結構疲れました。

その後は恒例の居酒屋「もんし」で意見交換。あれこれ話が弾み、夜遅くまで盛り上がったのでした。

■ 第67回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2008年1月30日(水) 18:00-20:20
場 所:「新中野切手サロン」
参加者:10名(ゲスト2名含む)
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:『ミラクル MIracle』(2004年、ギャビン・オコナー監督)(136分:劇場未公開)
1980年レイク・プラシッド冬季大会で宿敵強豪ソ連のアイスホッケーチームを破った大学生中心の米国チームの実話。その後も勢いに乗りフィンランドを決勝で破り優勝する。ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議し
てアメリカのカーター大統領が中止とボイコットを呼びかけたが、このレイク・プラシッドの総会でモスクワ大会の開催が再確認された。当時の時代状況(コンテクスト)をテレビや新聞で折り込みながら、アイスホッケーにかける監督と選手達の熱い生き方を描き出す。ディズニー作品のためか、「USA、USA、USA」のチャントがあふれてはいるが、アイスホッケーの練習と試合のシーンはなかなか迫力がある。スローや引いた画を使わずに氷上近くでパックを見せてくれる。監督役のカート・ラッセルがなかなか良い役柄と演技である。試合の様子は全てテレビのアナウンサーの語りで示していく。終了間際のアナウンス「Do you believe in Miracle? YES!」でタイムアップ。「2日後軌跡は完成した」というナレーションでオリンピックの優勝を告げる。しかし、メインの物語は打倒ソビエトで終結しているのである。 このチームは2002年ソルトレイク冬季大会の最終成果点火者に選ばれた。2001年9月11日の同時多発テロ後のオリンピック。1980年のミラクルから20数年後、アメリカのパトリオティズムを盛り上げることに、また一役買ったのである。

長い映画を一気に観て、後は居酒屋「もんし」で意見交換。あれこれ話が弾み、夜遅くまで盛り上がったのでした。

2007年度JOAコロキウム一覧

2007年度JOAコロキウム一覧です。2007年度以前のコロキウムについては、JOA旧サイトをご参照ください。
JOA旧サイトのアドレス https://olympic-academy.jp/index-old.htm

 

■ 第66回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年 12月 12日(水) 18:00-20:00
場 所:「新中野切手サロン」
参加者:6名
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題材と報告:『冬の恋人達 The Cutting Edge』(1992年、P.M.グレイザー監督)(約102分)を見ました。これは、1988年のカルガリー大会から1992年アルベールビル冬季大会に向け、全米予選とオリンピック本番に臨む若い2人の青春ドラマです。残念ながら、オリンピックの問題史を考えるにはあまり格好の作品であったとは言えませんでした。全く素人の2人の主人公達のスケート指導は、ロビン・カズンズが行ったそうです。フィギアのペア競技の様子がうまく描かれていたのは、本物のスケーター達の吹き替えのせいです。吹き替えシーンは、引いたショットやシルエット、あるいは足下しか写さない映像によって、それと直ぐに分かります。スポーツ映画のクリシェ=「努力すれば報われる(アメリカン・ドリーム)」とハリウッドのハッピー・エンド・クリシェ=「大試合の最後シーンで大逆転」も典型的に描かれています。コーチ達の指導の言にもっと含蓄が欲しいところです。
終了後は恒例の居酒屋で忘年会でした。遅れて駆けつけた方もご苦労様でした。

■ 第65回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年 11月 21日(水) 18:00-20:30
場 所:「新中野切手サロン」
参加者:9名
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題材と報告:『マイ・ライバル Personal Best』(1982年、ロバート・タウン監督)(約128分)
1980年モスクワ大会に向けた全米選手権。女子5種競技の競技者の戦いや助け合いの様子をエロティックに描いたドラマ作品です。主役のクリス役は文豪ヘミングウェイの孫娘、M.ヘミングウェイです。始めてレスビアンシーンがハリウッドに登場したと話題を読んだ作品です。この映像では、女子アスリートの身体を「男性の視線(メイ
ル・ゲイズ)」から描いています。砂丘を2人の女性アスリートが喘ぎながら登っていくシーンがその典型的シーンでしょう。この映画では、2人の女性が助け合って助言する言葉が非常に重要なスポーツの本質的メッセージとなっています。「できることはする。それが生きると言うこと。Because that you are!」とクリスが挫けそうになる友人のトリーを励まします。自己の存在証明にもかかわる意味深いメッセージです。また、クリスの恋人が諭す激励の言葉、それが原題「パーソナル・ベスト」の元になっています。「問題は君と相手と比べることではない。昨日の自分に勝つこと。それが大切だ」と。これもオリンピズムに通じる重要なメッセージです。残念ながら、モスクワ・オリンピック大会ボイコットの様子は伝わってきませんでした。素人役の俳優と本物のアスリート達のプレイの差が歴然と見られたのが残念でした。終了後は恒例の居酒屋です。ゲストの大学生を囲んでのオリンピック招致研究も盛り上がりました。
■ 第64回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年 10月 17日(水) 18:00-20:00
場 所:「新中野切手サロン」
参加者:8名
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題材:『フィニッシュ・ライン Finnish Line』(1989年、ジョン・ニコレラ監督)(98分)
報告:1988年ソウル大会のベン・ジョンソン・ショック。その翌年1989年に制作されたアンチ・ドーピングメッセージのテレビ映画を見ました。映画の舞台設定は1984年ロス大会のための全米予選。パシフィック大学のスポーツ奨学生ランナーのグレンはライバル、コーチや父親の期待などのプレッシャーから薬物に手を染めていきます。この映画では当時のトップランナーがドラッグに手を出していく心情を上手く描いていました。友人のティトが戒めますが、競走馬用のドラッグを使用したグレンはレース後の尿検査ブースで心臓発作を起こし倒れてしまいます。オープニングとエンディングの子どものかけっこ。それは一体何を伝えるのでしょう。子どもの純粋なかけっこの楽しみ? 親が喜ぶために走る子どもの胸が痛むようなおもんばかり? ドラッグは「スポーツの一部。人間の可能性を広げる」というスポーツ医学者の意味深な発言をどう解釈すればいいのでしょうか? バルコ社の「クリア」を接種したジョーンズ、バリー・ボンズはどうなるのでしょうか? 勝利至上主義の社会でスポーツする楽しみとは一体何なのでしょうか? メディアの論理に絡め取れれているスポーツの構造。それがエンディングのティトの勝利者インタビューにも現れていました。終了後も居酒屋でドーピング問題について考えてみたのでした。
■ 第63回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年 10月 3日(水) 18:00-20:00
場 所:「新中野切手サロン」
参加者:8名
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:『プリフォンテーン Prefontaine』(1997年、スティーブ・ジェームス監督)(約107分:日本語字幕)
報 告:1972年ミュンヘン・オリンピック大会では4位に終わった実在のランナー、スティーブ・プリフォンテーンの半生を描いた伝記的映画(バイオ・ピック)を見ました。彼は1960年代に数々の記録を打ち立て、最初にナイキのシューズを履いた伝説のランナーとしても記憶されています。1972年のミュンヘンのテロは、実際の記録映像とこの映画用の撮影とを上手く混ぜて、当時のアメリカ選手団の様子を描いていきます。ミュンヘンの実際の5000mレースでは、記録映像の実写と撮影映像を混ぜ、しかも実際のランナーによく似た風貌の俳優を走らせていて、なかなか面白い作りでした。物語は、プリの関係者に彼の生き様を語らせるという構成で、追想のストーリーになっていました。元コーチのバイワーマンがナイキのスウィシュを貼り付けるとプリがじゃまになるとはがしてしまうシーン、ATU(全米陸上競技連盟)との闘い、など興味深く当時を振り返ることが出来ました。『時よ止まれ、きみは美しい』をごらんになった方には、テロの実写と映画の撮影との対比が興味深かったことと存じます。
終了後はいつのも居酒屋談義。駅前の「もんし」という店が定番です。藤原さんを迎えて、北京談義、野崎さんの大阪の国際陸上談義など、遅くまで話が弾みました。
■ 第62回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年 8月 22日(水) 17:00-20:00
場 所:「新中野切手サロン」
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:『ロンリー・ウェイ Running Brave』(1983年、エベレット監督)(約106分)
参加者:7人
報告:1964年東京オリンピック大会を目指す実在のランナー、ビリー・ミルズの半生を描いた伝記的映画(バイオ・ピック)を題材にしました。ミルズは東京大会で走路妨害を受けながらも「奇跡の大逆転」とよばれた10,000mの金メダリストです。映画は彼の不遇のランナー時代を描いていきます。映画では結構走るのが様になった俳優を使っていました。なかでもロン・クラーク役はなかなかの走りっぷりでした。実際のレースの様子を確認するために、市川崑監督の『東京オリンピック』の10,000mも見ました。走路妨害ぶりは映画ほどではありません。ミルズが背の高い選手であったことが確認できましたが、なんといっても話題はセイロンのカルナナンダ選手ですね。(その他、この映画では市川崑監督の富士山や昭和天皇の絵も引用されています。)エンディングの謎の老人のUPのシーンでは、さまざまな考えが披瀝されました。おそらくカルビン(スー族の元ランナー)というのが正解でしょう。このシーンはインディアンの人たちが未だに差別されて、ミルズとは違う方向で生きていることの暗喩でしょう。スポーツ・チームのニックネームやマスコット問題の資料も多く配布しました。今後の議論の材料になれば幸いです。
 終了後はいつのも居酒屋談義。駅前の「もんし」という店が定番です。
■ 第61回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年 7月 18日(水) 18:00-20:00
場 所:「新中野切手サロン」
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:『クール・ランニング』(1993年、タートルトーブ監督)(約98分、ディズニー)
参加者:10人(ゲスト含む)

報告:1988年カルガリー冬季大会を目指す、実在のジャマイカ・ボブスレーチームを題材にした喜劇映画ですが、単なるディズニーの喜劇映画とは言えません。プリツァーコーチが委員会に乗り込んでいくシーンやエンディングのシーンでは、オリンピックの重要な精神である「オリンピズム」およびクーベルタンの格言「オリンピックで重要なことは…。」が良く確認できる作りになっています。しかしながら、これを単なる喜劇映画であると見なしてしまうと、作り手の重要なメッセージを見落としかねません。ラスタファリアニズムというジャマイカ独特のナショナル・アイデンティティの確認装置としての作りと、オリンピズムというトランス・ナショナリズム=超国家主義との折り合いはどうなるのでしょうか。また、南国のジャマイカ・チームが冬の大会に出場するということだけで笑いを取る構図、そこに潜んでいる笑いの差別意識の構造などなど、重要な問題がメッセージとして描かれています。基礎知識がないと分からない問題も多い映画です。この後、ジャマイカチームは世界一流のチームになっていきます。1998年長野大会にも参加しています。彼らの実在のオリンピアンの本が日本でも翻訳されています。『クールランニング物語』
 終了後はいつのも居酒屋談義。駅前の「もんし」という店が定番になりました。
■ 第60回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年6月27日(水) 17:45-20:00
      (今回は少し早めでした。全編見ようということになりました。)
場 所:「新中野切手サロン」(地下鉄丸ノ内線「新中野」駅、4番出口)
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:『炎のランナー』(1981年、ヒュー・ハドソン監督)(約124分:アカデミー賞4部門受賞)
参加者:8人(ゲスト含む)
報告:1924年パリオリンピック大会を目指す、実在の英国エリートランナー(ハロルド・エイブラハムズとエリック・リデル)の信念の物語。当時のオリンピックの様子にどこまで迫っているのか? オリンピックのモットーが正式に定められたこの年、どのような表現になっているのか? オリンピックと宗教、人種差別との闘いなど描いた作品で論議が弾みました。レースではトラックのレーン、スタートの足場づくり、フェンスの広告、コロンブスタジアムの様子、オリンピック・モットーがバックボードに掲示されている様子、選手宣誓など、興味が尽きません。当時のエリート教育と陸上競技及びアマチュアリズム、コーチの存在、などなど。中でも一番難しいテーマが宗教性でしょう。人種問題もかかわり、この映画の基調となっている宗教問題が分からないとどうにもなりません。私が普段授業で学生に紹介している、賛美歌『エルサレム』の位置、安息日の信念、映画タイトルと邦題の関係、物語の中に隠された作者の前振りや象徴的意味など、紹介させていただきました。私もこの映画は見る度に何某かの新しい発見があるのですが、今回も面白い収穫がありました。ロケ地の資料も、実際のオリンピックの記録もお配りしました。
終了後はいつのも居酒屋談義。60回記念ということもあり、居酒屋でも大いに盛り上がりました。
■ 第59回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年5月23日(水) 18:00-20:00(今回から定例日は第3水曜日ですが、変則です)
場 所:「新中野切手サロン」
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:「オリンピック・センチュリー」(1996年NHKBS1放送分)(約75分)
参加者:8人(院生含む)
報 告:映像はオリンピック100年の歴史をたどりながら様々な問題群を我々に語りかけました。時はアトランタ大会の年。オリンピックのボイコットの歴史や米ソ冷戦時代のオリンピック、南ア問題などオリンピックと政治、女性問題と参加の歴史、スキル開発と高度化、テレビと欲望、それによるアンフェアプレー(八百長、ドーピング)などBBCの目から見たオリンピックの問題群の映像を見ました。最後が、「さあどう考えますか?」と我々に回答を求める問いが投げかけられました。
終了後は新中野駅近辺で新しい居酒屋談義のお店を開拓。江戸自体からの土地名の談義やオリンピック招致の話題に花が咲き、楽しいひとときを過ごすことができました。
■ 第58回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年4月18日(水) 18:00-20:00(今回から定例日は第3水曜日です)
場 所:クラブツーリズム(地下鉄丸ノ内線「西新宿」駅、アイランドウイング:6F-C会場
(B1と1Fのエレベータ前にCT の高橋さんのお世話で会場案内が出ています。)
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:「鳥たちの歌:バルセロナの16日」(1992年NHK放送分)(約90分)
    パブロ・カザルスの平和希求のチェロ曲「鳥たちの歌」に乗せた彼の思いは?
参加者:8名(院生含む)
報 告:今回は1992年NHK放送分バルセロナ大会の総集編を見ました。オープニングはパブロ・カザルスのチェロ曲「鳥の歌」です。あの有名な「カタルーニャの鳥たちは、ピース、ピースと鳴く」という語りから始まります。この曲は随所でBGMに使われ、平和のメッセージを強化しています。1992年と言えば国際情勢が大きく変化しました。ソビエトの崩壊、EUNとしての参加、旧ユーゴスラビアのボスニア・ヘルチェゴビナが(IOA独立オリンピック選手)として参加、南アはアパルトヘイトを廃止し32年ぶりで久しぶりの復帰、マンデラ氏の姿も映るというように、世界史の大変化をオリンピックのステージで記録しています。
 アスリートとしては、おなじみの岩崎恭子、英国のレモンド(肉離れで父がスタンドから助けに入る)、有森裕子、ボギンスカヤ(EUN)、ドリームチームのマジック・ジョンソン、田村亮子、古賀稔彦、吉田秀彦らの柔道選手、ディバース、ブブカ、高野進、カール・ルイス、森下広一、中山竹通、谷口浩美らの陸上選手達です。皆さんにも、それぞれのストーリーが思い出されることでしょう。
 しかし、この映像はオリンピックと平和を考えるには、素晴らしい材料であったといえます。
 さて皆様、今回はクラブ・ツーリズムを会場とする最後のコロキウムになりました。浅川部長、小野寺係長、高橋さんを初めJTの皆様、長い間お世話になりました。どうも有り難うございました。終了後はいつもの居酒屋談義で盛り上がった次第です。(これでトフロも最後になりそうですね。)
■ 第57回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年3月15日(木) 18:00-20:00
場 所:クラブツーリズム 6F-C会場
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:「アポロンの歌:映像が語る100年の光と影」(1992年NHK放送分)(約75分)
    クーベルタンが2度目のパリコングレスで用いた戦略は…?また、その後の発展と彼の思いは?
参加者:9名(院生含む)
報 告:今回は1992年にNHKが放送したオリンピックの様々な問題史を見ました。この作品は1992年度のギャラクシー賞のテレビ部門で第30回奨励賞を受賞した作品であり、IOCの第1回テレビ放送の賞も受賞した作品だそうです。オープニングはパリ大学ソルボンヌ校の新大講堂から「アポロンの歌」が流れます。これに関して、クーベルタンの著作選集からオリンピック復興を成功させた1894年のパリ国際会議のプログラムおよび失敗した1982年のプログラムを配布しました。1894年のプログラムには6月16日の会議初日に「アポロンの歌」がコーラスで歌われることが記載されています。場所がソルボンヌ大学であったかどうかも話題になりましたし、会議名もパリ会議ではなく「パリ国際会議Congres International de Paris」であることも分かりました。1892年の会議は国内の「フランス・スポーツ協会連合USFSA」の会議であり、旧ソルボンヌの講堂であることも分かります。クーベルタンは1892年の失敗を糧に1894年には会場を盛り上げるために古代ギリシャの遺跡から発掘された「アポロンの歌」を採譜して初めて歌わせるという大興行師のような仕掛けを工夫したのです。これがVTRのタイトルです。VTRの内容はオリンピックの様々な問題史(復興時の問題、ベルリン大会の様子、チェコ動乱とメルボルン大会、メキシコの学生紛争と黒人プロテスト、東西ボイコット合戦など)をレニ・リーフェンシュタール、グリーンスパン、オゾロフ、市川崑などのオリンピックの記録映画監督のインタビューおよびチャスラフスカ、ビーモン、スミスらの問題に関わった当事者のアスリート達のインタビューを交えて映像とトム・マクナブの解説及びナレーションで伝えていきます。「100mの100年」というコーナーでは、『炎のランナー』の主人公であるハロルド・エイブラハムズと彼のコーチであるムサビーニのトレーニングVTRも出色です。エンディングはクーベルタンの言葉「今度生まれ変わったら、オリンピックをなくす方向で考えなくてはならないであろう」という意味深長な言葉で締め括っています。
■ 第56回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年2月15日(木) 18:00-20:00
場 所:クラブツーリズム 13F-B会場
テーマ:BBCが捉えたオリンピック問題
題 材:「五輪招致:舞台裏の攻防」(2004年NHK BS1で放送分)(約50分)、その他
参加者:9名(院生含む)
報 告:今回は2004年にBBCが放送したオリンピック開催に暗躍するエージェントへのおとり取材「Buying the
Olympic」を見ました。丁度日本でも2016年東京オリンピック招致運動が展開されている状況で、1999年のIOCスキャンダル以降の開催の裏舞台を知り、皆で今後の招致のあり方を考えてみました。また、コロキウムの前日の14日に上智大学で竹内浩氏(共同通信、上智大学OB)のオリンピック招致に関する講演を聴き、招致におけるロビー活動の重要性や有力者の存在を思い知らされた後だったものですから、意義深いコロキウムになったと思います。
内容はBBCのスタッフが2012年ロンドン招致のベンチャー企業になりすまして、ゴラン・タカチ氏、ガーボル・コミャーティ氏、マハムード・ファナワニ氏、ムタレブ・アーメッド氏などのオリンピック招致エージェント的人物に接するという構成です。タカチ氏はソフィアでブルガリアのIOC委員であるイワン・スラフコフ委員に接触し、投票を取りまとめるための経費などを語っているところを隠し撮りされています。未だにIOC内部の招致に関わる腐敗構造をあぶり出したドキュメンタリーでしたが、2016年の招致活動ではどのような戦略が用いられるのでしょうか?BBCはソルトレイクのスキャンダルもレビューし、その時に追放された一人のガンガ元IOC委員にもインタビューしています。
IOC委員にとって最大の決定権は、良きにつけ悪しきにつけ招致都市選定に関わって発揮されるのが現状なので
しょうか?
■ 第55回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年1月19日(金) 18:00-20:00
場 所:クラブツーリズム(地下鉄丸ノ内線「西新宿」駅、アイランドウイング 6F-D会場)
テーマ:BBCが捉えたオリンピック問題
題 材:①NHKプライム10(BBC制作;1992年)「誰のためのスポーツか?」 5.スポーツマンシップ;約45分
     ②NHKプライム10(BBC制作;1992年)「誰のためのスポーツか?」 6.市民スポーツ;約45分
参加者:8名(院生含む)

報 告:1月のコロキウムは、19日(金)にBBCのスポーツ映像VTR「誰のためのスポーツか?」を2本見ました。参加者は8名でした(新年会に途中参加された方1名含め9名)。
①BBCのVTR:「スポーツマンシップの危機」(約45分)と題し、ビジネス化とテレビ支配により、スポーツマンシップが危機的状況 にあるという現状(1992年段階)を、英国の視点から、様々なインタビューも加えて取り上げていました。BBCのエピソードの中心は、勢い英米に偏ってしまいます。ラグビーとサッカーのラフプレーとその扱いの違い、事後でもテレビの画面を証拠に処罰するサッカーと、どこまでをラフプレーとハードなプレーの堺とするか難しいラグビーの扱いの違いが好対照 でした。アメリカンフットボールのラフプレー、1990年W-CUPサッカー決勝のひどい試合ぶりを語るベッケンバウアー監督、往年のテニスの悪童と呼ばれたマッケンローなどの審判へのクレームの様子などを紹介し、当時、スポーツマンシップが廃れてきたこ とを嘆く形で映し出されていました。英国サッ
カーのゲーリー・リネカーは、誰もが紳士と認めるプレーヤーであり、代表試合で ファウルをしたことがない選手として紹介されていました。ゴルフのライダーカップで英米が勝利を分けた時のジャック・ニクラウスとトニー・ジャクリンの裏話紹介など、面白い話しもずいぶん紹介してくれました。現在、「スポーツマンシップ」という語がほとんど聞かれなくなり「フェアプレー」という語に置き換わった感じがありますが、さて、「スポーツパーソンシップ」が復活するのでしょうか?

②BBCのVTR「市民スポーツ」(約45分)では、エリートスポーツではなく、子ども、女性、若者、老人など全ての人に豊かなスポ ーツを保証するための提言で纏められていました。中国の太極拳、恵まれた子供たちだけのスポーツの姿、若者のスポーツ離れ 、学校や地域のスポーツクラブの地道な努力、セバスチャン・コーやカール・ルイスもインタビューに登場し、BBCのメッセージを 伝えていきます。「スポーツは国家や企業、一部のエリートのものではなく、世界中の全ての人々の人生を豊かにするためにある 」と理想的な言葉で締め括っていました。