オリンピック教育・研究」カテゴリーアーカイブ

JOA主催オリンピック・ムーブメント講演会のご案内

JOA主催オリンピック・ムーブメント講演会を下記の要領で開催いたします。
みなさまのご参加をお待ちしております。

OttoSchantz_Lecture_Poster

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オットー・シャンツ氏 講演

オリンピック・ムーブメントの
過去、そして未来
−クーベルタンのヒューマニズムからポスト・ヒューマニズムへ

 

<開催の趣旨>
国際オリンピック委員会( IOC )の設立から 120 年を経て、新たにオリンピック・ムーブメントの方向性を示す「オリンピック・アジェンダ 2020 」が 2014 年 12 月に発表された。わが国でも、 2020 年東京オリンピック・パラ リンピックの開催を一つのハイライトとして、その後も視野に入れたオリンピック・ムーブメントのあり方が模索されている。

オットー・シャンツ氏は『 IOC 百年』の著者の一人であり、近代オリンピックの創始者ピエール・ド・クーベルタンの著作とその後の IOC の歴史に精通し ている。同氏は、その著者としての功績により、 IOC よりオリンピック・オー ダー(勲章)を受賞し、近年ではパラリンピックの理論家としても国際的に活躍している。

5年後に迫った 2020 年東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、 IOC の歩みからみたオリンピック・ムーブメントの課題と展望についてシャン ツ氏にご講演いただき、わが国のオリンピック・ムーブメントのあり方について考える機会としたい。

<講 師>
オットー・シャンツ氏(コブレンツ・ランダオ大学教授,ドイツ)

<テーマ>
オリンピック・ムーブメントの過去、そして未来
−クーベルタンのヒューマニズムからポスト・ヒューマニズムへ−

<日 時>
2015 年8月 29 日(土) 15 : 00 〜 17 : 00

<会 場>
学習院女子大学2号館234教室または223教室
(東京メトロ副都心線「西早稲田」駅より徒歩 1 分)
http://www.gwc.gakushuin.ac.jp/about/access.html

<主 催>
特定非営利活動法人日本オリンピック・アカデミー(JOA)

<共 催>
公益財団法人笹川スポーツ財団(SSF)
筑波大学オリンピック教育プラットフォーム(CORE)

<後 援>
国際ピエール・ド・クーベルタン委員会

<主 管>
JOAオリンピック研究委員会クーベルタン研究部門

<参加費> 無 料

<講演抄録(和訳)>

クーベルタンは、オリンピックの理念という言葉からオリンピズムという新語を編み出したが、このオリンピズムは、ある種の西洋の伝統的人文主義(humanism)であると考えられる。人間として完成することやその進歩に関する考えは、そうした人文主義の典型である。また、クーベルタンの人文主義的思想の根幹をなす概念は、オリンピック・モットーの「より速く、より高く、より強く」にも表れている。このモットーは、過去においては時代に見合ったものであったが、未来のオリンピック・ムーブメントにとっては悩みの種であるかもしれない。なぜなら、このモットーはあらゆる競技能力増強を後押しし、ポストヒューマン・アスリートの登場を促すかもしれないからである。永遠の進歩という野心に節度ある効果をもたらす調和のとれた教育―この理想は、IOCがクーベルタンの言うところの「market(現世の金銭授受の場)」か「temple(高貴な精神の場)」のいずれかを選択しなくてはならなかった時点で置き去りにされた。それ以来、アマチュアリズム/プロフェッショナリズム関連の言説は、ドーピング関連の道徳的な言説に取って代わられた。だが、アンチ・ドーピングとの非現実的な闘いは、スポーツのプロ化との闘いと同じようにアポリア(相反する合理的な回答が存在すること)であり、真の意味での解決策のない問題のようだ。NBIC(ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、情報技術<IT>、認知科学)と呼ばれる科学技術は、多数の強力なツールや方法を提供し、人(そしてスポーツ)のパフォーマンスの増強に手を貸すだろう。そして人類の進化の変容さえも引き起こすかもしれない。IOCは遅かれ早かれ、スポーツの世界にサイボーグ、あるいはポストヒューマンの特徴を備えた選手の問題に直面するだろう。こうした未来に備えてIOCには、オリンピック・ムーブメントを前向きに導くため中長期のビジョンが必要である。

訳注
※新しい科学技術によって、人間の身体や認知能力を進化させ、人間の状況を前例のない形で向上させようという思想(トランスヒューマニズム)における人間像

キーワード:クーベルタン、オリンピック・ムーブメント、過去、未来、ヒューマニズム、ポスト・ヒューマニズム、増強

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第156回JOAコロキウム 報告

第156回JOAコロキウム報告

日 時:2015年7月8日(水)18:00-20:00(注意:定例の第3水曜日ではありません

場 所:「新中野切手サロン」

参加者:8名(学生1名を含む)

テーマ:映像で見るオリンピックの歴史

内 容:2010年バンクーバー冬季大会閉会式(NHK:日本語 約2.5時間)
閉会式会場はBCプレイス.あの2015年女子サッカーW杯決勝でナデシコが敗れた会場なのです.
見どころは,聖火の消えるシーン.しかし会場には聖火台に灯がともっていません.そのため,開会式では呆然と立ち尽くしていたカトリーナ・ルメイ・ドーンが,史上初めて閉会式で聖火点火をした大会となりました.これは,開会式の聖火点火で起きたハプニングを逆手に取った演出,そのユーモア感覚には敬服するしかありません.1,000人の若者達によるバンクーバー賛歌のパフォーマンスの後に選手団の入場.日本の旗手は浅田真央.男子50kmのクロカンの表彰式の後,ハンドオーバーセレモニーとソチ市のウェルカムセレモニーです.ロシアの文化とスポーツを代表する人物の登場.オーケストラにソプラノ歌手,ロシアを代表するバレエ団の演舞,ロシアの象徴が演じられていきました.VANOCファーロング会長のスピーチはまた長いもの.IOCロゲ会長の挨拶は” These are excellent friendly Games!”で締めくくられました.この後,閉会式は歌と踊りの大パーティになっていきます.I am Canadianというパートで著名人達がスピーチだけでカナダ自慢を主張していきました.ムース,ビーバー,メイプルリーフ,カナディアンギース,ロッキー山脈,湖とカヌー,皆様にはカナダの典型的なイメージは何でしょうか?
終了後は,いつもの情報交換会.今夜も様々な話題に花が咲きました.

 

第155回JOAコロキウム 報告

第155回JOAコロキウム報告

日 時:2015年6月17日(水)18:00-20:30

場 所:「新中野切手サロン」

参加者:12名(学生2名含む)情報交換会から参加者3名,計15名

テーマ:映像で見るオリンピックの歴史

内 容:
① 2010年バンクーバー冬季大会開会式後半(NHK:日本語 約1.5時間)
閉会式のパフォーマンスのテーマは「夢の景色」,カナダのローカル文化を中心に展開されます.「雪の賛歌,ありふれた恋,秋のリズム,青春の光と影,探求の極み,カナダ賛歌のポエム」と場面がカナダの歴史と自然風景とともに移り変わっていきます.後半の見どころは,史上初の屋内での聖火点火でした.ここでハプニングが起きました.1本聖火点火用の柱が立たなかったのです.そのため,カトリーヌ.ルメイ・ドーン1人が点火できなかったのです.(これは閉会式まで影響を及ぼすハプニングだったのです).最後は,アイスホッケーの英雄グレツキーがバンクーバーのウォーターフロントの特設聖火台に点火します.しかし,組織委員会のファーロング会長の挨拶は長かった.平和のメッセージを発したロゲ会長の開会スピーチがシンプルに感じられました.なんと言っても,平和ソングと鳩を象徴的に飛ばす場面の「ハレルヤ」のケイディ・ラングの歌は素晴らしい歌でした.開会宣言はミカエル・ジャン総督.ジャマイカ出身の女性総督です.場内聖火ランナーに車椅子のランナーを起用するなどダイバーシティに配慮されていたようです.
② 大学院修士プログラム,IOAユースセッション報告(藤沢奈津美さん)
IOAの修士プログラム受講中の藤沢さんによる写真を用いた紹介です.修士プログラムの科目や受講生達との受講状況,ソーシャルプログラムやオリンピア市でのマラソンイベント参加など,多様なプログラムの紹介がありました.大学院セッションおよび理事者セッション(舛本参加)との接点,青年セッションのコーディネーターとしてのご活躍など,興味深い報告がたっぷりでした.藤沢さん時間が少なくて残念でした.またの報告の機会を楽しみにしています.
終了後は,いつもの情報交換会.この会のために3人も駆けつけて頂き,様々な話題に花が咲きました.

 

 

第154回JOAコロキウム 報告

第154回 JOAコロキウム報告

日 時:2015年5月13日(水)18:00-20:00

場 所:「新中野切手サロン」

参加者:10名(学生1名含む)

テーマ:映像で見るオリンピックの歴史

内 容: ① IOA理事者セッション報告(舛本)
5月2-9日の間のIOA理事者セッション参加報告を行った.レポートと写真による説明.7年ぶりの訪問.IOAに新規のものは,講堂ホール入り口のスピリドン・ルイスの彫像,2004年アテネ大会のアーカイブス・ミュージアムの設置,構内Wi-Fiの整備である.クーベルタン・ステラ周辺のサイプラス(糸杉)が成長しているが,ギリシャ大火の後,JOAも融資で寄付を募って募金したことが思い出された.他はほとんど変わらず,古代から時がゆったりと流れる空間なのかもしれない.
② 2010年バンクーバー冬季大会開会式前半(NHK:日本語 約1.5時間)
アナウンサーは青山.武田の両アナ.ゲストは無し.さて,夏冬大会を通じて始めて屋内スタジアムでの開会式です.カナディアン・ロッキーからスノーボーダーの大滑降,それが会場の特設スロープにジャンプで登場する演出.BCプレイスの屋内スタジアムにファースト・ネイションズの4先住民族の文化と近代カナダのパフォーマンスが融合されたウェルカムです.300人が集まり大太鼓をたたいて選手を迎えます.選手団入場では82のNOCsが参加し,日本選手団の旗手は岡崎朋美選手.スイスが大選手団を送り出していました.途中にはサマランチ元会長の姿も見えました.
③ 野崎先生出演のMXTVの鑑賞:
スターターの極意,1964年次のお仕事など興味深く拝見しました.大好評でした.

終了後は,いつもの情報交換会.様々な話題に花が咲きました.

 

 

JOAオリンピック・レクチャー026 開催案内

下記要項にて、JOAオリンピック・レクチャー026を開催いたします。

  • 非会員で参加をご希望の方は、JOA事務局までメールにてご連絡ください。
  • 会員は、当日15時より総会が実施されますので、総会出欠届とあわせてレクチャーへの出欠をご提出ください。
    会員専用総会出欠届サイトにアクセスする

 

<趣 旨>
2014年12月にIOCは、「オリンピック・アジェンダ2020」を公表した。この計画は日本でも大きく報道されたが、その内容の多くは、野球・ソフトボール等の新種目の採用の可能性や会場の分散開催の見込みなど、ごく一部の情報がクローズアップされ、アジェンダ2020の理念や全体像にはほとんど関心が向けられていない状況である。2014年度JOAセッションでは、猪谷千春IOC名誉委員からアジェンダ2020について言及があったが、IOCの公表前ということで内容については、ほとんど触れることができなかった。
IOCは、なぜアジェンダ2020を作成し、そこにはどのような理念が盛り込まれているのか。そしてIOCは、今後、オリンピック・ムーブメントをどのように展開しようと考えているのか。今回のレクチャーでは、これらの問いについて考えたい。そこで、「オリンピック・アジェンダ2020を読み解く」と題して、講師に読売新聞編集委員の結城和香子氏をお招きし、日本であまり報道されてこなかったアジェンダ2020の全体像や策定の経緯等について解説をいただきながら、これからのオリンピック・ムーブメントの方向性について考える機会としたい。

日 時: 2015年5月31日(日)13時30-

場 所:明治大学駿河台キャンパス アカデミーコモン9階309B
〒101-8301千代田区神田駿河台1-1 (地図別紙)
http://www.meiji.ac.jp/campus/suruga.html

テーマ:アジェンダ2020を読み解く(仮)

講 師:結城和香子氏(JOA会員、読売新聞編集委員)