オリンピック教育・研究」カテゴリーアーカイブ

2007年度JOAコロキウム一覧

2007年度JOAコロキウム一覧です。2007年度以前のコロキウムについては、JOA旧サイトをご参照ください。
JOA旧サイトのアドレス https://olympic-academy.jp/index-old.htm

 

■ 第66回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年 12月 12日(水) 18:00-20:00
場 所:「新中野切手サロン」
参加者:6名
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題材と報告:『冬の恋人達 The Cutting Edge』(1992年、P.M.グレイザー監督)(約102分)を見ました。これは、1988年のカルガリー大会から1992年アルベールビル冬季大会に向け、全米予選とオリンピック本番に臨む若い2人の青春ドラマです。残念ながら、オリンピックの問題史を考えるにはあまり格好の作品であったとは言えませんでした。全く素人の2人の主人公達のスケート指導は、ロビン・カズンズが行ったそうです。フィギアのペア競技の様子がうまく描かれていたのは、本物のスケーター達の吹き替えのせいです。吹き替えシーンは、引いたショットやシルエット、あるいは足下しか写さない映像によって、それと直ぐに分かります。スポーツ映画のクリシェ=「努力すれば報われる(アメリカン・ドリーム)」とハリウッドのハッピー・エンド・クリシェ=「大試合の最後シーンで大逆転」も典型的に描かれています。コーチ達の指導の言にもっと含蓄が欲しいところです。
終了後は恒例の居酒屋で忘年会でした。遅れて駆けつけた方もご苦労様でした。

■ 第65回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年 11月 21日(水) 18:00-20:30
場 所:「新中野切手サロン」
参加者:9名
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題材と報告:『マイ・ライバル Personal Best』(1982年、ロバート・タウン監督)(約128分)
1980年モスクワ大会に向けた全米選手権。女子5種競技の競技者の戦いや助け合いの様子をエロティックに描いたドラマ作品です。主役のクリス役は文豪ヘミングウェイの孫娘、M.ヘミングウェイです。始めてレスビアンシーンがハリウッドに登場したと話題を読んだ作品です。この映像では、女子アスリートの身体を「男性の視線(メイ
ル・ゲイズ)」から描いています。砂丘を2人の女性アスリートが喘ぎながら登っていくシーンがその典型的シーンでしょう。この映画では、2人の女性が助け合って助言する言葉が非常に重要なスポーツの本質的メッセージとなっています。「できることはする。それが生きると言うこと。Because that you are!」とクリスが挫けそうになる友人のトリーを励まします。自己の存在証明にもかかわる意味深いメッセージです。また、クリスの恋人が諭す激励の言葉、それが原題「パーソナル・ベスト」の元になっています。「問題は君と相手と比べることではない。昨日の自分に勝つこと。それが大切だ」と。これもオリンピズムに通じる重要なメッセージです。残念ながら、モスクワ・オリンピック大会ボイコットの様子は伝わってきませんでした。素人役の俳優と本物のアスリート達のプレイの差が歴然と見られたのが残念でした。終了後は恒例の居酒屋です。ゲストの大学生を囲んでのオリンピック招致研究も盛り上がりました。
■ 第64回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年 10月 17日(水) 18:00-20:00
場 所:「新中野切手サロン」
参加者:8名
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題材:『フィニッシュ・ライン Finnish Line』(1989年、ジョン・ニコレラ監督)(98分)
報告:1988年ソウル大会のベン・ジョンソン・ショック。その翌年1989年に制作されたアンチ・ドーピングメッセージのテレビ映画を見ました。映画の舞台設定は1984年ロス大会のための全米予選。パシフィック大学のスポーツ奨学生ランナーのグレンはライバル、コーチや父親の期待などのプレッシャーから薬物に手を染めていきます。この映画では当時のトップランナーがドラッグに手を出していく心情を上手く描いていました。友人のティトが戒めますが、競走馬用のドラッグを使用したグレンはレース後の尿検査ブースで心臓発作を起こし倒れてしまいます。オープニングとエンディングの子どものかけっこ。それは一体何を伝えるのでしょう。子どもの純粋なかけっこの楽しみ? 親が喜ぶために走る子どもの胸が痛むようなおもんばかり? ドラッグは「スポーツの一部。人間の可能性を広げる」というスポーツ医学者の意味深な発言をどう解釈すればいいのでしょうか? バルコ社の「クリア」を接種したジョーンズ、バリー・ボンズはどうなるのでしょうか? 勝利至上主義の社会でスポーツする楽しみとは一体何なのでしょうか? メディアの論理に絡め取れれているスポーツの構造。それがエンディングのティトの勝利者インタビューにも現れていました。終了後も居酒屋でドーピング問題について考えてみたのでした。
■ 第63回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年 10月 3日(水) 18:00-20:00
場 所:「新中野切手サロン」
参加者:8名
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:『プリフォンテーン Prefontaine』(1997年、スティーブ・ジェームス監督)(約107分:日本語字幕)
報 告:1972年ミュンヘン・オリンピック大会では4位に終わった実在のランナー、スティーブ・プリフォンテーンの半生を描いた伝記的映画(バイオ・ピック)を見ました。彼は1960年代に数々の記録を打ち立て、最初にナイキのシューズを履いた伝説のランナーとしても記憶されています。1972年のミュンヘンのテロは、実際の記録映像とこの映画用の撮影とを上手く混ぜて、当時のアメリカ選手団の様子を描いていきます。ミュンヘンの実際の5000mレースでは、記録映像の実写と撮影映像を混ぜ、しかも実際のランナーによく似た風貌の俳優を走らせていて、なかなか面白い作りでした。物語は、プリの関係者に彼の生き様を語らせるという構成で、追想のストーリーになっていました。元コーチのバイワーマンがナイキのスウィシュを貼り付けるとプリがじゃまになるとはがしてしまうシーン、ATU(全米陸上競技連盟)との闘い、など興味深く当時を振り返ることが出来ました。『時よ止まれ、きみは美しい』をごらんになった方には、テロの実写と映画の撮影との対比が興味深かったことと存じます。
終了後はいつのも居酒屋談義。駅前の「もんし」という店が定番です。藤原さんを迎えて、北京談義、野崎さんの大阪の国際陸上談義など、遅くまで話が弾みました。
■ 第62回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年 8月 22日(水) 17:00-20:00
場 所:「新中野切手サロン」
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:『ロンリー・ウェイ Running Brave』(1983年、エベレット監督)(約106分)
参加者:7人
報告:1964年東京オリンピック大会を目指す実在のランナー、ビリー・ミルズの半生を描いた伝記的映画(バイオ・ピック)を題材にしました。ミルズは東京大会で走路妨害を受けながらも「奇跡の大逆転」とよばれた10,000mの金メダリストです。映画は彼の不遇のランナー時代を描いていきます。映画では結構走るのが様になった俳優を使っていました。なかでもロン・クラーク役はなかなかの走りっぷりでした。実際のレースの様子を確認するために、市川崑監督の『東京オリンピック』の10,000mも見ました。走路妨害ぶりは映画ほどではありません。ミルズが背の高い選手であったことが確認できましたが、なんといっても話題はセイロンのカルナナンダ選手ですね。(その他、この映画では市川崑監督の富士山や昭和天皇の絵も引用されています。)エンディングの謎の老人のUPのシーンでは、さまざまな考えが披瀝されました。おそらくカルビン(スー族の元ランナー)というのが正解でしょう。このシーンはインディアンの人たちが未だに差別されて、ミルズとは違う方向で生きていることの暗喩でしょう。スポーツ・チームのニックネームやマスコット問題の資料も多く配布しました。今後の議論の材料になれば幸いです。
 終了後はいつのも居酒屋談義。駅前の「もんし」という店が定番です。
■ 第61回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年 7月 18日(水) 18:00-20:00
場 所:「新中野切手サロン」
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:『クール・ランニング』(1993年、タートルトーブ監督)(約98分、ディズニー)
参加者:10人(ゲスト含む)

報告:1988年カルガリー冬季大会を目指す、実在のジャマイカ・ボブスレーチームを題材にした喜劇映画ですが、単なるディズニーの喜劇映画とは言えません。プリツァーコーチが委員会に乗り込んでいくシーンやエンディングのシーンでは、オリンピックの重要な精神である「オリンピズム」およびクーベルタンの格言「オリンピックで重要なことは…。」が良く確認できる作りになっています。しかしながら、これを単なる喜劇映画であると見なしてしまうと、作り手の重要なメッセージを見落としかねません。ラスタファリアニズムというジャマイカ独特のナショナル・アイデンティティの確認装置としての作りと、オリンピズムというトランス・ナショナリズム=超国家主義との折り合いはどうなるのでしょうか。また、南国のジャマイカ・チームが冬の大会に出場するということだけで笑いを取る構図、そこに潜んでいる笑いの差別意識の構造などなど、重要な問題がメッセージとして描かれています。基礎知識がないと分からない問題も多い映画です。この後、ジャマイカチームは世界一流のチームになっていきます。1998年長野大会にも参加しています。彼らの実在のオリンピアンの本が日本でも翻訳されています。『クールランニング物語』
 終了後はいつのも居酒屋談義。駅前の「もんし」という店が定番になりました。
■ 第60回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年6月27日(水) 17:45-20:00
      (今回は少し早めでした。全編見ようということになりました。)
場 所:「新中野切手サロン」(地下鉄丸ノ内線「新中野」駅、4番出口)
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:『炎のランナー』(1981年、ヒュー・ハドソン監督)(約124分:アカデミー賞4部門受賞)
参加者:8人(ゲスト含む)
報告:1924年パリオリンピック大会を目指す、実在の英国エリートランナー(ハロルド・エイブラハムズとエリック・リデル)の信念の物語。当時のオリンピックの様子にどこまで迫っているのか? オリンピックのモットーが正式に定められたこの年、どのような表現になっているのか? オリンピックと宗教、人種差別との闘いなど描いた作品で論議が弾みました。レースではトラックのレーン、スタートの足場づくり、フェンスの広告、コロンブスタジアムの様子、オリンピック・モットーがバックボードに掲示されている様子、選手宣誓など、興味が尽きません。当時のエリート教育と陸上競技及びアマチュアリズム、コーチの存在、などなど。中でも一番難しいテーマが宗教性でしょう。人種問題もかかわり、この映画の基調となっている宗教問題が分からないとどうにもなりません。私が普段授業で学生に紹介している、賛美歌『エルサレム』の位置、安息日の信念、映画タイトルと邦題の関係、物語の中に隠された作者の前振りや象徴的意味など、紹介させていただきました。私もこの映画は見る度に何某かの新しい発見があるのですが、今回も面白い収穫がありました。ロケ地の資料も、実際のオリンピックの記録もお配りしました。
終了後はいつのも居酒屋談義。60回記念ということもあり、居酒屋でも大いに盛り上がりました。
■ 第59回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年5月23日(水) 18:00-20:00(今回から定例日は第3水曜日ですが、変則です)
場 所:「新中野切手サロン」
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:「オリンピック・センチュリー」(1996年NHKBS1放送分)(約75分)
参加者:8人(院生含む)
報 告:映像はオリンピック100年の歴史をたどりながら様々な問題群を我々に語りかけました。時はアトランタ大会の年。オリンピックのボイコットの歴史や米ソ冷戦時代のオリンピック、南ア問題などオリンピックと政治、女性問題と参加の歴史、スキル開発と高度化、テレビと欲望、それによるアンフェアプレー(八百長、ドーピング)などBBCの目から見たオリンピックの問題群の映像を見ました。最後が、「さあどう考えますか?」と我々に回答を求める問いが投げかけられました。
終了後は新中野駅近辺で新しい居酒屋談義のお店を開拓。江戸自体からの土地名の談義やオリンピック招致の話題に花が咲き、楽しいひとときを過ごすことができました。
■ 第58回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年4月18日(水) 18:00-20:00(今回から定例日は第3水曜日です)
場 所:クラブツーリズム(地下鉄丸ノ内線「西新宿」駅、アイランドウイング:6F-C会場
(B1と1Fのエレベータ前にCT の高橋さんのお世話で会場案内が出ています。)
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:「鳥たちの歌:バルセロナの16日」(1992年NHK放送分)(約90分)
    パブロ・カザルスの平和希求のチェロ曲「鳥たちの歌」に乗せた彼の思いは?
参加者:8名(院生含む)
報 告:今回は1992年NHK放送分バルセロナ大会の総集編を見ました。オープニングはパブロ・カザルスのチェロ曲「鳥の歌」です。あの有名な「カタルーニャの鳥たちは、ピース、ピースと鳴く」という語りから始まります。この曲は随所でBGMに使われ、平和のメッセージを強化しています。1992年と言えば国際情勢が大きく変化しました。ソビエトの崩壊、EUNとしての参加、旧ユーゴスラビアのボスニア・ヘルチェゴビナが(IOA独立オリンピック選手)として参加、南アはアパルトヘイトを廃止し32年ぶりで久しぶりの復帰、マンデラ氏の姿も映るというように、世界史の大変化をオリンピックのステージで記録しています。
 アスリートとしては、おなじみの岩崎恭子、英国のレモンド(肉離れで父がスタンドから助けに入る)、有森裕子、ボギンスカヤ(EUN)、ドリームチームのマジック・ジョンソン、田村亮子、古賀稔彦、吉田秀彦らの柔道選手、ディバース、ブブカ、高野進、カール・ルイス、森下広一、中山竹通、谷口浩美らの陸上選手達です。皆さんにも、それぞれのストーリーが思い出されることでしょう。
 しかし、この映像はオリンピックと平和を考えるには、素晴らしい材料であったといえます。
 さて皆様、今回はクラブ・ツーリズムを会場とする最後のコロキウムになりました。浅川部長、小野寺係長、高橋さんを初めJTの皆様、長い間お世話になりました。どうも有り難うございました。終了後はいつもの居酒屋談義で盛り上がった次第です。(これでトフロも最後になりそうですね。)
■ 第57回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年3月15日(木) 18:00-20:00
場 所:クラブツーリズム 6F-C会場
テーマ:映像で見るオリンピックの問題史
題 材:「アポロンの歌:映像が語る100年の光と影」(1992年NHK放送分)(約75分)
    クーベルタンが2度目のパリコングレスで用いた戦略は…?また、その後の発展と彼の思いは?
参加者:9名(院生含む)
報 告:今回は1992年にNHKが放送したオリンピックの様々な問題史を見ました。この作品は1992年度のギャラクシー賞のテレビ部門で第30回奨励賞を受賞した作品であり、IOCの第1回テレビ放送の賞も受賞した作品だそうです。オープニングはパリ大学ソルボンヌ校の新大講堂から「アポロンの歌」が流れます。これに関して、クーベルタンの著作選集からオリンピック復興を成功させた1894年のパリ国際会議のプログラムおよび失敗した1982年のプログラムを配布しました。1894年のプログラムには6月16日の会議初日に「アポロンの歌」がコーラスで歌われることが記載されています。場所がソルボンヌ大学であったかどうかも話題になりましたし、会議名もパリ会議ではなく「パリ国際会議Congres International de Paris」であることも分かりました。1892年の会議は国内の「フランス・スポーツ協会連合USFSA」の会議であり、旧ソルボンヌの講堂であることも分かります。クーベルタンは1892年の失敗を糧に1894年には会場を盛り上げるために古代ギリシャの遺跡から発掘された「アポロンの歌」を採譜して初めて歌わせるという大興行師のような仕掛けを工夫したのです。これがVTRのタイトルです。VTRの内容はオリンピックの様々な問題史(復興時の問題、ベルリン大会の様子、チェコ動乱とメルボルン大会、メキシコの学生紛争と黒人プロテスト、東西ボイコット合戦など)をレニ・リーフェンシュタール、グリーンスパン、オゾロフ、市川崑などのオリンピックの記録映画監督のインタビューおよびチャスラフスカ、ビーモン、スミスらの問題に関わった当事者のアスリート達のインタビューを交えて映像とトム・マクナブの解説及びナレーションで伝えていきます。「100mの100年」というコーナーでは、『炎のランナー』の主人公であるハロルド・エイブラハムズと彼のコーチであるムサビーニのトレーニングVTRも出色です。エンディングはクーベルタンの言葉「今度生まれ変わったら、オリンピックをなくす方向で考えなくてはならないであろう」という意味深長な言葉で締め括っています。
■ 第56回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年2月15日(木) 18:00-20:00
場 所:クラブツーリズム 13F-B会場
テーマ:BBCが捉えたオリンピック問題
題 材:「五輪招致:舞台裏の攻防」(2004年NHK BS1で放送分)(約50分)、その他
参加者:9名(院生含む)
報 告:今回は2004年にBBCが放送したオリンピック開催に暗躍するエージェントへのおとり取材「Buying the
Olympic」を見ました。丁度日本でも2016年東京オリンピック招致運動が展開されている状況で、1999年のIOCスキャンダル以降の開催の裏舞台を知り、皆で今後の招致のあり方を考えてみました。また、コロキウムの前日の14日に上智大学で竹内浩氏(共同通信、上智大学OB)のオリンピック招致に関する講演を聴き、招致におけるロビー活動の重要性や有力者の存在を思い知らされた後だったものですから、意義深いコロキウムになったと思います。
内容はBBCのスタッフが2012年ロンドン招致のベンチャー企業になりすまして、ゴラン・タカチ氏、ガーボル・コミャーティ氏、マハムード・ファナワニ氏、ムタレブ・アーメッド氏などのオリンピック招致エージェント的人物に接するという構成です。タカチ氏はソフィアでブルガリアのIOC委員であるイワン・スラフコフ委員に接触し、投票を取りまとめるための経費などを語っているところを隠し撮りされています。未だにIOC内部の招致に関わる腐敗構造をあぶり出したドキュメンタリーでしたが、2016年の招致活動ではどのような戦略が用いられるのでしょうか?BBCはソルトレイクのスキャンダルもレビューし、その時に追放された一人のガンガ元IOC委員にもインタビューしています。
IOC委員にとって最大の決定権は、良きにつけ悪しきにつけ招致都市選定に関わって発揮されるのが現状なので
しょうか?
■ 第55回 JOAコロキウム 開催要項と報告
日 時:2007年1月19日(金) 18:00-20:00
場 所:クラブツーリズム(地下鉄丸ノ内線「西新宿」駅、アイランドウイング 6F-D会場)
テーマ:BBCが捉えたオリンピック問題
題 材:①NHKプライム10(BBC制作;1992年)「誰のためのスポーツか?」 5.スポーツマンシップ;約45分
     ②NHKプライム10(BBC制作;1992年)「誰のためのスポーツか?」 6.市民スポーツ;約45分
参加者:8名(院生含む)

報 告:1月のコロキウムは、19日(金)にBBCのスポーツ映像VTR「誰のためのスポーツか?」を2本見ました。参加者は8名でした(新年会に途中参加された方1名含め9名)。
①BBCのVTR:「スポーツマンシップの危機」(約45分)と題し、ビジネス化とテレビ支配により、スポーツマンシップが危機的状況 にあるという現状(1992年段階)を、英国の視点から、様々なインタビューも加えて取り上げていました。BBCのエピソードの中心は、勢い英米に偏ってしまいます。ラグビーとサッカーのラフプレーとその扱いの違い、事後でもテレビの画面を証拠に処罰するサッカーと、どこまでをラフプレーとハードなプレーの堺とするか難しいラグビーの扱いの違いが好対照 でした。アメリカンフットボールのラフプレー、1990年W-CUPサッカー決勝のひどい試合ぶりを語るベッケンバウアー監督、往年のテニスの悪童と呼ばれたマッケンローなどの審判へのクレームの様子などを紹介し、当時、スポーツマンシップが廃れてきたこ とを嘆く形で映し出されていました。英国サッ
カーのゲーリー・リネカーは、誰もが紳士と認めるプレーヤーであり、代表試合で ファウルをしたことがない選手として紹介されていました。ゴルフのライダーカップで英米が勝利を分けた時のジャック・ニクラウスとトニー・ジャクリンの裏話紹介など、面白い話しもずいぶん紹介してくれました。現在、「スポーツマンシップ」という語がほとんど聞かれなくなり「フェアプレー」という語に置き換わった感じがありますが、さて、「スポーツパーソンシップ」が復活するのでしょうか?

②BBCのVTR「市民スポーツ」(約45分)では、エリートスポーツではなく、子ども、女性、若者、老人など全ての人に豊かなスポ ーツを保証するための提言で纏められていました。中国の太極拳、恵まれた子供たちだけのスポーツの姿、若者のスポーツ離れ 、学校や地域のスポーツクラブの地道な努力、セバスチャン・コーやカール・ルイスもインタビューに登場し、BBCのメッセージを 伝えていきます。「スポーツは国家や企業、一部のエリートのものではなく、世界中の全ての人々の人生を豊かにするためにある 」と理想的な言葉で締め括っていました。

2007年度のオリンピック憲章勉強会一覧

■2007年4月からのオリンピック憲章勉強会 開催要項

日   時: 毎月第1木曜日、18:00~20:00
       ・8月と、12月または1月は休会(忘年会または新年会実施)
       ・5月は第1木曜日が休日のため、5月10日開催
会   場: スポーツマンクラブ(予定)
参加資格: 会員以外の方も参加可。終了後の懇親会のみのご参加も可能です。
会   費: 1,000円(会場費他)。終了後の懇親会費は別に集めます。

参加ご希望で、前回までの資料をお持ちでない方は、JOA事務局のメールアドレスに「オリンピック憲章勉強会」宛でお問合せください。

各回の内容

テーマ

 4月 クイズミリオネアの質問、「オリンピックに出場している選手は、オリンピック大会期間中、ブログを書き込んではいけない」について、オリンピック憲章、メディアとの問題、人権の観点から検討。
 5月 (5月、6月、7月は継続テーマ)
1. 高校野球との関連: プロとアマチュア問題を考える。
2. 真駒内アリーナ: オリンピックエンブレムと、その利用権の問題を考える。
 6月 (5月、6月、7月は継続テーマ)
1. 高校野球との関連: プロとアマチュア問題を考える。
2. 真駒内アリーナ: オリンピックエンブレムと、その利用権の問題を考える。
 7月 継続テーマでのディスカッション予定を変更し、今回はオリンピック最終立候補都市と投票結果について検討しました。
 8月 <8月はお休みです>
 9月 (5月からの継続テーマ)
1. 真駒内アリーナ: オリンピックエンブレムと、その利用権の問題。国内だけではなく、海外での取り扱いも含
  めて考えます。
2. 高校野球との関連: プロとアマチュア問題を考える。「知育、徳育、体育」の観点から、引き続き検討し、学校
  体育とその中での個のスポーツ参加は、密接な関係があるものの、社会体育、スポーツの参加を含めて、そ
  れぞれを個別に検討してみることになりました。プロ野球でのドーピングについても取り上げます。
10月 現在、北京でオリンピック報道に関わる仕事に携わっているJOA会員の帰国に合わせ、最近の北京事情を中心にお話を伺いました。ドーピングに絡む話題の中でドーピング・コントロールの盲点についても発言がありました。
11月 <11月は休会>
12月 少数民族への弾圧の週刊誌記事を話題に、またオリンピック招致に絡む話など)を行うと共に、今後の勉強会のあり方を話し合いました

JOAユースセッション2007 <人見絹枝生誕100年記念シンポジウム>

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 今年は、日本女性最初のオリンピアンであり、メダリストでもある人見絹枝さん(1907-1931)の生誕百年にあたる。岡山出身の人見さんは、陸上競技選手として、また新聞記者として、当時まだ男性中心であった日本のスポーツ界への女性進出の先導役を担うと共に、海外遠征で遭遇・実体験したスポーツ本来のよさを伝え、広めようとした。短い生涯でありながらリーダーとして献身した人見さんの努力とはどういうものであったのか、それを、アスリートや指導者としてスポーツ界、教育界を担おうと志している若者へ伝えたい。また、人見とオリンピックとの関係に焦点をあて、彼女が記した日記や著作、新聞記事などを手がかりに、オリンピックの本来的意義を再確認すると共に、2016年夏季オリンピック大会の日本招致に当たり、誇りをもって国内外に提示しうる、類のないオリンピックの開催意義、理念が見つかることも期待している。

日 時:2007年8月4日(土) 13:00~17:00
     ※人見さん命日8月2日 ※※4日は「オープンキャンパス」開催中
会  場:環太平洋大学 http://www.ipu-japan.jp/
     ※所在地:岡山市瀬戸町観音寺721(*JR山陽本線「東岡山駅」から車で5分)
対  象:オリンピック・ムーブメントに関心のある大学生、中高生、および教員・スポーツ指導者ほか約300名
参加費:無料  ※JOAの社会貢献活動として実施
主  催:NPO法人日本オリンピック・アカデミー(猪谷千春会長)
共  催:環太平洋大学、筑波大学オリンピック・ムーブメント研究室
後  援:岡山県、財団法人岡山県体育協会、財団法人日本オリンピック委員会、
     財団法人日本陸上競技連盟、特定非営利活動法人日本オリンピアンズ協会、
     毎日新聞社、山陽新聞社、日本放送協会岡山放送局、OHK岡山放送、
     RSK山陽放送、TSCテレビせとうち
協  力:日本女子体育大学、人見家

内 容
●オープニングスピーチ 13:00~13:30
  猪谷 千春 (JOA会長・IOC副会長)
    「オリンピック・ムーブメントにはたす若者と日本への期待」
●シンポジウム「人見絹枝にみるオリンピック精神」 13:45~15:45
  シンポジスト
   永井 純 (環太平洋大学体育学部長)   ※アスリートしての人見の活躍と功績より
   小笠原敦子(毎日新聞社岡山支局長)   ※新聞記者としての人見の活動や言葉より
   來田 享子 (中京大学准教授、JOA理事) ※女性スポーツの振興者としての献身より
  コーディネーター
   竹村 瑞穂(筑波大学博士課程、JOA指導・普及委員会委員)
   真田 久 (筑波大学准教授、JOA理事)
●特別講演 16:00~17:00
  有森 裕子
   「私にとっての人見さん、そしてオリンピック・ムーブメント」

イアン・ヘンリー(Ian Henry)氏 講演会開催要項と報告

【報 告】

イアン・ヘンリー氏講演会風景

イアン・ヘンリー氏講演会風景

12月10日、中京大学名古屋キャンパスにて、イアン・ヘンリー教授をお迎えして講演会「オリンピック・ムーブメントとスポーツ政策」が開催されました。
 参加者は、20名で、東京都の東京オリンピック招致本部より2名、北は福島から南は兵庫まで遠方からもご参加いただきました。
 イギリスのオリンピック調査・研究センターは、ブリティッシュ・オリンピック・ファウンデーション(NOCの公益・教育部門)とのパートナーシップでラフバラ大学に設立され、海外の共同研究者とも連携して多彩な活動を展開しています。「オリンピック憲章」で「スポーツは人間の権利である」と謳われています。この理念を促進するオリンピック・ムーブメントとして、EU諸国が抱える難民・亡命者の問題に焦点を当て、スポーツを活用することでこうした人々が個人的な資本のみならず、市民社会における他のグループとの結びつきを作ったり、暴力の現象、教育、住居、雇用機会の改善にもつながった例など、盛りだくさんの示唆に富む内容が講演されました。
 質疑応答では、イギリスにおける招致活動と研究との関係、東京招致のコンセプトとして期待されるものは何か、スポーツ政策の対象が男性に偏ることによる社会的な男女格差の拡大、などついて意見が交わされました。
 ヘンリー講師には、記念品として、名古屋訪問の記念にという意味も込めて、美濃焼きの銘々皿のセットが贈呈されました。
 お蔭様で、大変有意義なまた内容の濃い講演会を和やかに行うことができました。
 講師をご紹介いただいた内海和雄会員をはじめ、関係者の皆さまにお礼申し上げます。

 なお、当日の配布資料(パワーポイント資料日英対訳、講師プロフィール)をご希望の方は、JOAまでご連絡ください。 JOA事務局(担当:田原理事)までご連絡ください

 

【開催要項】
 内海和雄会員(一橋大学教授)の紹介により、イギリスのラフバラ大学教授、オリンピック研究・調査研究センター所長のイアン・ヘンリー(Ian Henry)氏をお招きし、下記のとおりJOA主催の講演会を開催いたします。

 ヘンリー氏は、スポーツ政策の専門家で、IOA講師やIOC、EUからの委託研究なども意欲的にこなされています。また、イギリスのオリンピック・アカデミーに相当するBOFとの関係も密接で、イギリスにおけるオリンピック研究の中心的役割を担っておられます。大変貴重な機会ですので、ぜひ講演会にご参加いただければと思います。
なお、JOA会員以外の方の参加も歓迎しますので、関心をお持ちの方にお知らせいただければ幸いです。

テーマ:「オリンピック・ムーブメントとスポーツ政策」
      オリンピック・ムーブメントと、イギリスやEUのスポーツ・フォー・オール、女性のスポーツ参加促進、
      多文化主義などのスポーツ政策がどのように相互に影響しあい、反映されているのか。
      また、そこでの関係機関における協力関係などについてもご講演いただきます。
日 時:2006年12月10日(日)
      13:00~受付
      13:30~15:30講演会
        (終了後にティーパーティ)
場 所:中京大学 名古屋キャンパス センタービル8F 0801教室
       http://www.chukyo-u.ac.jp/koho/gaiyo/map/kotu.html
主 催:NPO法人日本オリンピック・アカデミー
主 管:オリンピック研究・教育委員会、東海支部
参加費:無料
その他:逐次通訳が入ります。

◎参加される方は、準備の都合上、2006年11月30日(木)までに、JOA事務局メールアドレスまで
  「教育・研究担当宛」として、参加される方のお名前をご連絡ください。