JOAコロキウム 第228回報告&第229回開催案内

第228回JOAコロキウム開催報告

・日 時:2021年11月17日(水):18:00-20:00
・場 所:Online Zoom会議
・参加者:14名
・テーマ:「東京2020大会」を振り返る:「オリンピズム」のスポーツ、文化、環境、平和運動の側面から:文化面から

1.情報提供
①東京2020大会」を振り返る:「文化プログラム」の面から(情報提供by舛本)
・2021年「東京2020大会」のために開催されたプログラム、コロナ禍で中止やonline開催となったプログラムなどの紹介。その詳細は以下のwebsite『オリンピズムの伝道館』のJOAコロキムのページでも確認できます。
https://sites.google.com/view/olympism-dendokan/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/joa%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%82%AD%E3%82%A6%E3%83%A0

・情報提供の概要:「東京2020NIPPONフェスティバル」、IOCのOFCH連携プログラムである「Olympic Agora」「オリンピック・ランゲージ:デザインでみるオリンピック」、TOCOGの参画プログラムである「スポーツNIPPON」、東京都のTokyo Tokyo Festival、「日本博」「Culture NIPPON」、ホストタウンハウスの様子、中止のPV、オリンピック・パラリンピック教育での異文化理解など、乱立した「文化プログラム」など文化面の紹介。総合プロデューサーも置かずに統一性無し。全体的戦略も無し。開・閉会式の文化的演出も不十分。結果的に、特徴的なデザインやダンス、音楽などレガシーも遺らず。
・新型コロナウィルスの感染拡大で、密を避けるために集客のための派手な広報戦略できず、online化や感染防止のために紙パンフ配布も不可などの制約もあった。
・個人的見解として、「今のところ何も遺さなかった」「インパクトはあったかも知れないが、レガシーは?」と総括。

<Q&A、コメント>
・多様な「文化プログラム」の報告はどうなるのか?メディアの取り上げ方が不十分なのは競技志向のオリンピック観故。
・1998年長野冬季大会では細かなプログラムも含まれ、公式報告にもかなりページを割いている。
・2016年リオ大会後の日本の取り組み検討例では、スポンサーが付いて儲かるのかというような民間の発想が支配的。
・2012年ロンドン大会では、総合プロデューサーも置いて格調高い「文化プログラム」が実施されていたのと対照的。
・2016年リオ大会では、ナショナルハウスがどこに有るのか分からないところもあったが、Japan Houseなどで日本文化の知らないところも知ることができた利点もある。
・第2聖火台で、ゆっくり見物も写真も撮れないのは残念な対応であった(平和メッセージやデザインなどの重要性は?)
・「文化プログラム」は観念的で建前的でもあるが、日本文化中心になってしまう現実がある。そもそも「一体何を伝えるのか?」そのような全体的な哲学を打ち出す必要性がある。それこそがJOAの課題である。
・異文化交流に基づく相互理解が重要であるが、東京都の「オリンピック・パラリンピック教育」では、コロナ禍で文化面は十分に実施されてはいない。
・研究上、「芸術競技」が実現した1912年から振り返っているが、人間文化の多様性や普遍性こそ重要都の意見。
・JOCはオリンピック・ムーブメントを展開しているが、文化・芸術面の専門家は存在しているのか? →「JOCミュージアム」には学芸員の専門家が在籍しているが、オリンピックの専門家ではない。

②IOCのオリンピック憲章の改訂関係(情報提供by舛本)
1)第10条:「オリンピック・モットー」の変更
・「- Together - 共に(一緒に) 」が新たに加わる(ラテン語では-Communiter)=>より何々、という形容詞の高みを目指す向上スローガンではないカテゴリーのものが入った。erが着くからか? Solidarityを展開したIOCだからか?また、「Stroger Together」のように、コロナ禍で「together」を冠したworkoutなどをしたからか?共にと言っても、障害者やLGBTなどの多様性を念頭にした「共生社会」を目指すものではなさそうである。
・表記が、ラテン語から英語中心のモットーになった。「-」が意味するものは一体何なのか?不明である。
・ラテン語の研究者から誤用との批判もある(Wikipedia だが)。https://en.wikipedia.org/wiki/Olympic_symbols#Motto_and_creed
・ハンス・レンク(Hans Lenk)が提案した「より美しく、より人間らしくpulchrius, humanius」を加えるべきだ、という主張には全く言及せず。

2)第57条:Roll of honour(入賞者名簿)の改正
・メダルの世界ランキングが作成できるように改正(IOCのwebsiteやOCOGのwebsiteでも)。
◎ただし、国別ランキングを作ることではない、と言うスタンスなのか?
・入賞者名簿の作成は義務ではなくなる。
・従来のように、メダル受賞者の名前をメインスタジアムのよく見える場所に刻まなくても良い。新国立競技場でも。
・8月8日から発行となる前のIOC総会で決定事項であるが、国内のニュースでは一切報道されす。メディアは憲章改正で何を報道したのか?
・JOAがメダルの国別ランキングに意見書を出した際には、既にIOC総会では改正済みであって、国別ランキングを作成できることになっていたとは!!
・本57条は、名誉条項であったものが、名誉でもなく情報提供条項になるという性格変更も?
・第6条の「オリンピック競技大会」との関係では、名簿は国別ランキングではないというスタンスからか、この第6条は改正されていない!

<Q&A、コメント>
・IOC総会のメディアへの説明では、憲章の改正趣旨などの説明はなかった。
・JOA監修の公式記録集(角川)にも国別メダルランキングが掲載されている。
・何故このような改正がされたか、説明される必要がある。
・最近のIOCによる団体戦競技の導入は、男女同数を目指すということを大儀としながらも国別対抗というテレビ受けしスポンサー獲得するというIOCのビジネス戦略の一環と見なすべきであり、競技を歪めているので問題視すべき。
・IPCは国別メダルカウント表を作成しているが、それは国からのパラ支援を引き出すためであるとの方針故。
・ナショナリズムを煽ることになるが、愛国主義との区別やオリンピズムがトランスナショナリズムであることの重要性。
・国旗・国歌をなくせ、という事に短絡的に結びつけるべきではない。国際理解の第1歩であるという考えも必要。
・最近は関係者がメダリストのウイニング・ラン時に国旗を投げ込むシーンばかり目立つ。アスリートもメダリストでなくても国旗を背負って走る事が増えている。パラでも見かける。メディアはこのような振る舞いを批判すべき。

③2022年北京冬季大会関連の問題(情報提供by舛本)
・アメリカのバイデン政権による大会の「外交ボイコット」提案がある。日本政府の対応が気がかりでもある。アメリカの中間選挙を控え、タイミングが悪い時期の中国の人権問題である。
・人権擁護運動団体であるHRWによるスポンサー批判やUNによる動向は注視すべき。
・中国研究者たちの動向によれば、欧米の自由や人権のみ正しいわけではない、というスタンスが見受けられる。今現在の時点では国際的な公正の考えからは問題ではあるが、150年くらいのスパンで考えると、ナショナルなものを完全に否定すべきではない、という考えも必要である。また、ステレオタイプ的な人権観で中国を批判することにも問題。
・2008年北京大会は、世界は中国の人権問題の改善を期待して開催を認めたが、失敗に帰し、一向に改善されず。
・HRWなどの機関と異なり、国家がオリンピックを政治的なツールにするのは問題である。
・北京冬季大会ボイコット問題に合わせ、1980年の時のようにNOCや個人参加の道も考える必要あり。
・中国の人種問題の中で、漢民族と他の少数民族との関係は?歴史的に国を支配してきた民族の変遷があるが。漢民族には一つの中国としてのアイデンティティがあるが、新しい帝国史観という考えも必要。異民族を包摂した多文化主義。
・では、現在の中国の新疆ウィグルやチベット民族の弾圧の問題には、その許容性が及ばないのか?

④IOCによるジェンダー平等のための参加基準作成のための原則提案(情報提供by舛本)
・ジェンダー平等や性の多様性に配慮した参加基準作りを各IFに委ねる。その際に配慮すべき10の原則をIOCが指針として公表。
・トランスジェンダーへの配慮や性自認の尊重、心身の安全性に配慮すべきなど、最近のジェンダー問題に配慮した指針。
・セメンヤ選手やハバート選手がどうなっていくかは、IF次第。
・フェアネスの問題であるが、研究者の中には「アビリティ・カテゴリー」による区分という考えもある(A. Schneider)。
・男性・女性ホルモンバランスや、外形的にも染色体の遺伝レベル的にも交差する不明瞭な状況にあるのが現実なので、男女の判然化は難しい問題である。

2.その他の報告
・NHK『歴史探偵』「写真で迫る真珠湾戦争のリアル」:捕虜第1号酒巻和男氏とスポーツも(by吹浦委員)
【放送予定】12月8日(水)[総合]後10:30~11:15(吹浦氏出演予定?)

 3.終了後:online乾杯(参加者4名)約1時間
残り時間はフリーディスカス。情報交換の継続など、いつものように話題は尽きず。楽しく時間が過ぎていきました。

 

第229回JOAコロキウム開催案内

日 時:2021年12月21日(火)18:00-20:00+プレゼント交換のための大阿弥陀籤大会
・場 所:Online Zoom会議
・テーマ:「東京2020大会」を振り返る:「オリンピズム」のスポーツ、文化、環境、平和運動の側面から:環境面から
 情報提供者:大津克哉会員(東海大学准教授、JOA理事、JOAスポーツ環境専門部会副部長)

・その他の内容:
①オリンピック・パラリンピック関連情報の提供(各自、何かあればPC上で共有できますので、ご準備ください。)
②意見交換:今回も共通テーマは「東京2020大会」とします。参加者はご希望があればお寄せ下さい!
③映像共有:何か時間があれば考えます。YouTube上でも探せます。ご希望があれば考慮します。
④残り時間:フリーディスカス。
⑤終了後:年末恒例のプレゼント交換の大阿弥陀籤大会を開催します。参加可能な人だけでOK! また、online乾杯など自由に!(プレゼントは1,000円程度で、オリンピック・グッズなら何よりですが、こだわらずにどうぞご準備を!)

〇定 員:15名程度
(但し事前登録制:参加予定の方には、後日Zoomへの招待とID、PW、URLをお送りします)
〇会 費:無料(Zoom利用の経費はJOA負担です)
〇情報交換会:(ドリンクは各自で準備してください)
☆入室・退室は自由です!
☆通信環境の状況次第によっては、入室できない、あるいは中断する可能性もあります。どうぞご理解ください。

◎申込先:JOAコロキウム申し込みサイト:
joa_colloquium*olympic-academy.jp(*は小文字の@に)
☆ただし、このJOAメルマガに直接の返信は避けてください。対応できません!

◎申込み締め切り:
2021年12月18日(土)17:00(なお、この日はJOAセッションの開催日です)