JOAコロキウム 第232回報告&第233回開催案内

第232回JOAコロキウム開催報告

・日 時:2022年3月23日(水):18:00-20:00
・場 所:Online Zoom会議
・参加者:8名
・テーマ:「2020年北京冬季大会を語る」他

Ⅰ.情報提供と意見交換
1.「2022年北京冬季大会」関連(自由な意見交換)
・まだウクライナへの軍事侵攻前であったが、国連の事務総長の挨拶は素晴らしかった。しかし、ロシアの休戦決議破りの軍事侵攻後の国連の事務総長の対応はどうだろう?
・ウクライナ侵攻という世界の動向とオリンピックは連動している。ロシアと中国という拡大主義を続ける強権国家が2014年、2022年とオリンピックを開催した。ウクライナ侵攻はプーチンの保身以外の何物でもないが、オリンピックが強権国家でないと開催できないという現状が問題である。
・JOAの抗議声明が「オリンピック休戦決議違反」というスタンスであるが、それでは不十分である。スポーツ界は戦争を放置しておくべきではない。芸術界もスポーツ界も言論を武器にして、このロシアの蛮行に対応すべきである。
・日本も国民国家(ネイション・ステイト)としてオリンピックを利用した歴史がある。この傾向はEUの形成や拡大で変わっていくと想像していたが、今回ロシアは19世紀型の戦争を仕掛けた。今後どうなっていくか心配である。
・ロシアの選手達はオリンピズムやオリンピック・ムーブメントを学んだことがあるのか? 一応は2014年ソチ大会でオリンピック教育を展開してはいるが? ドーピング問題も改善されないなど課題が多いままである。
・IOCはIFや開催組織に対してロシア・ベラルーシの排除を勧告したが、国際水泳など足並みをそろえていない団体も。
・ロシアの水泳メダリストのリロフ選手はプーチンに利用された感もあるが、どういう考えによってモスクワで開催されたプーチンのクリミア併合8年記念式典に参加したのか?
・ワールド・ゲームスも緊急声明でロシア・ベラルーシの排除を決定。世界フライングディスク連盟は、選手には問題ないので戦争に反対すれば出場可という方針。
・2月24日のニュースでは、開戦前ではあるが、緊張関係にあったロシアとウクライナの選手が互いに称え合ってハグするニュースも報道された。
・今回のロシアの軍事侵攻への批判は正当なものではあるが、ロシアがここまで追い込まれたのは西側による排除が原因でもある。中国も途上国へのワクチン支援は西側が見捨てたために支援したのであり、片方にだけ肩入れする姿勢ではなく、バランスを取る必要がある。
・オリンピックは国際平和希求運動であり、そのため国際政治となる。そこで、スポーツの政治利用と政治貢献(国際平和構築への)とを区別すべきである。
・スポーツは文化活動の一つであり自己表現の一つ。大きな社会の中の一つとして他の政治活動などと共に社会を形成している。プーチン、習近平、キム・ジョンウンのようにスポーツを政治利用する人物も存在する。IOCのバッハ会長も自分の保身のためにオリンピックを支援する国に従うだけなのかも知れない。
・残念ながら、日本のスポーツ界には人がいない、としかいえない状況にある。
・1956年メルボルン大会時の戦争とオリンピックの関係で、IOCのブランデージ会長はどのような対応をしたのか?ロシアによるハンガリー侵攻とスエズ動乱のため、ボイコットする諸国が出る中で、IOCは会長として初めて「オリンピック休戦」を発動してハンガリー選手団のメルボルン参加を可能とした。大会後に選手達は亡命したが、、。
・IOCはこれまでの戦争時にオリンピックを中止した歴史があるのか? これまでの大会中止は組織委員会決定なのか? 中止決定の権限に関しては、IOC総会や理事会の議事録を確認しないと分からない疑問ではある。
・IOCはこのスポーツ界の分断した状況下で、次の対応をどうしようとしているのか? IF等に丸投げしているが、Next Stepが不明である。どうなれば、ロシア・ベラルーシの選手達は復帰できるのかなども不明である。
・FINAは両国を排除していないため、次の国際大会でアーティスティック・スイミングの競技が心配。世界1位のロシアと3位のウクライナのチームが同じプールで練習や競技ができるのであろうか?
・日本の若者たち、特にZ世代には全く響かないオリンピック・パラリンピックになってしまっている。彼らはSDGsなど、どう地球に貢献するのかなどへの関心はあるが、、。「東京2020大会」にも関心がない若者が多かった。これからの担い手達に響かないオリンピック・パラリンピックには持続可能性がない。自然消滅していく可能性もあろう。
・オリンピックだけでなく、スポーツ自体も響かなくなっている。「より速く・より高く・より強く」というモットーが示す成長神話が若者たちに無関心を形成しているのではないか?
・コロナ禍でメディアも大変であったようであるが、メディアが伝えなかった中で、北京大会の文化プログラムやオリンピック教育の実情が全く分からなかった。
・北京市以外の深圳や上海などではオリンピック・パラリンピックへの関心がなかったようである。マスコット人気も含め、オリンピック・ムーブメントも北京市内だけのようであった。「オリンピック休戦」決議提案国でもある中国では、「和平」は大切な概念のはずであろうが、、。

2.「2030年札幌冬季大会」の招致運動に関して
・札幌市内の様子の写真による招致運動の紹介(青柳会員)
・地下道の大型ポスターには羽生選手や高梨選手などの写真もあり、選手達が利用されている感もある。スローガンには「2030、人も街も次のステージへ」「目指せ2030! 感動を再び!」「届け、みんなの”想い” 2030年は君たちの番だ!!」など。子どもたちのメッセージも利用。バス停にも招致の大看板が!2014年ソチのパラリンピック閉会式の「I’m Possible」の写真も利用(ロシアのウクライナ侵攻後も使用するのか???)
・札幌市のwebsiteには、招致関連のイベントが目白押し。既定路線で進めている中、政府も積極的支援を表明した。
・意向調査は、いつ・誰に対して・どんな内容で聞くか、が重要。今回の調査結果で52%の賛成というが2014年調査からは18%減と大幅に反対意見が増えているが、住民投票はせず。国税投入にもかかわらず国民全体の意向は聞かず。
・都市のインフラ整備と観光開発、経済効果しか関心のない発展途上国型の招致計画。新しいオリンピック像などは皆無。
・大会理念を掲げるとなると都市開発などスポーツに関係のない事項が掲げられるのが常。建前的にならざるを得ない。
・オリンピック自体がどのような大会となるのか? 道民にとってのオリンピックとは? などオリンピックに特化した理念が必要。
・オリンピックを取り巻く環境はこれまでと全く異なって180度も違う方向に向かっている。そんな中、若手の研究者達には全く違った立脚点からオリンピック論を展開するように期待する、という声も。
・産業界は大変な事態に追い込まれることが予想される。そんな中、スポンサーがつくのか? 予算も気がかりである。
・北海道の過疎化現象が進行し、2001年頃から招致計画が展開されてきたが、住民投票は必要ないのか? 
・IOCのオリンピックの改革案である「2020+5」などの理念などを再確認すべきである。さらに、地球温暖化が進行する中、夏季大会の屋内種目を冬期に移行するなど、大胆なオリンピック改革が必要であろう。

Ⅱ.終了後は乾杯タイム
・今回も、自由参加で様々な話題に対して自由に意見交換をしました。

 

第233回JOAコロキウム開催案内

・日 時:2022年4月20日(水)18:00-20:00
・場 所:Online Zoom会議
・中心テーマ:「2020東京パラリンピック大会」公式記録映画他
・その他の内容:
①オリンピック・パラリンピック関連情報の提供(各自、何かあればPC上で共有できますので、ご準備ください。)
②意見交換:今回の共通テーマは特に定めません。参加者の皆様から何かご希望があればお寄せ下さい!
③映像共有:何か時間があれば考えます。YouTube上でも探せます。ご希望があれば考慮します。
④残り時間:フリーディスカス。
⑤終了後:online乾杯など自由に!

〇定 員:15名程度
(但し事前登録制:参加予定の方には、後日Zoomへの招待とID、PW、URLをお送りします)
〇会 費:無料 (Zoom利用の経費はJOA負担です)
〇情報交換会:(ドリンクは各自で準備してください)
☆入室・退室は自由です!
☆通信環境の状況次第によっては、入室できない、あるいは中断する可能性もあります。どうぞご理解ください。

◎申込先:JOAコロキウム申し込みサイト:
joa_colloquium*olympic-academy.jp(*は小文字の@に)
☆ただし、このJOAメルマガに直接の返信は避けてください。対応できません!

◎申込み締め切り:
    2022年4月17日(日)17:00