第244回JOAコロキウム開催報告
日 時:2023年3月8日(水)15時00分~17時00分
場 所:JSOS スポーツマン・クラブ会議スペース
参加者:15名
テーマ:ロシア・ベラルーシ選手参加問題、第4回日中韓スポーツ大臣会合など
Ⅰ.情報提供と意見交換
1.ロシア・ベラルーシの選手参加問題:今回も様々な意見や情報が共有されました。
・IOCの2022年2月のロシア・ベラルーシ2か国の排除勧告の理由は2点:オリンピック休戦違反と両国選手の安全確保。今回のIOCの参加許可の方針の理由は、国連人権報告者による差別禁止という理由。果たして当初の2つの理由となった問題は改善されたのであろうか?
・OMの尊重か反ロシア・ベラルーシという市民感情か?この2つの軸足の置き方で真っ二つに分かれている状況。
・国連のギリシャ人の人権特別報告者は人権の専門家であるが、中立者としての意見ではあるが国連を代表する意見ではない、という補足も。
・「平和を大事にするかVSオリンピックが大事か?」日本としての考え方は、誰がどう纏めるのであろうか?JOA、JOC、国際政治学者など含めて公開議論をして政策提言をすべき、という意見。もし、スポーツ庁や文科省が「参加すべきではない」とすればそれは政治的介入。
・戦争中だからこそオリンピックで平和をVS戦争中はオリンピックどころではない、という対立に対して過去の歴史も振り返り慎重な議論が必要。
・IOCが最終的に決定すべき問題だが、それが決めがたい問題なので政治的利用を。理想と現実のジレンマがある。
・1980年のボイコット問題ではパスポートを発行しないという政治的圧力でごり押しされた。
・政治を動かす力がオリンピズム・パラリンピズムにはあるはず。政治力をどう排除するか?JOAは声明を発して存在感を示すべき、という意見も。
・1年前にIOCはインビテーションを発送するが、そこではNOCは意見表明などできず、「参加or不参加」のみの回答。もし、不参加ならばペナルティの対象に。IOCからの分担金など無くなるはず。
・裁判に喩えて、本問題の裁判官は?IOC?罰を下す力があるのか?罰を与えられるのは誰?NOC?アスリート?等
・ロシアのドーピング問題に関してもIOCは政治的判断をせず、IFに判断を任せるしかなかった。
・ロシア選手が出場してメダル取れば、直ぐにプーチンとの記念写真撮影などでロシアに利するだけであろう。ウクライナの選手達は戦争に参戦する代わりに競技で活躍する事が使命。
・IPCは現在態度不明。あるNFでは現場では本問題を全く考えていない。アスリート達の意見も上には上がってこない。
・戦争とオリンピック:過去には選手レベル、組織委員会レベルでインパクト与えるものがあったが、IOCレベルでインパクトを与えるものがあるのか?
・JOCのどこがどのような判断を下すか?しかし、判断するセクションはないし、JOCは判断しないであろう。
・IOCは平和の根拠をどうするのか?国連のスタンスは根拠にはなれない。IOCが独自の論拠を見いだすべき。JOA・JOCレベルでの議論も難しい。ユーロセントリズムからどう離れるか?グローバルサウスなどの意見や立場も考慮すべき。
・日本のACは機能しているのであろうか?今回IOCはACの意見も聞いた上で今回の方針転換を出したはず。
・アスリート・ファーストといいながらも実はアスリート・ラスト。スピークアウトできない選手達の現実。その場しか生きられない日本のアスリートの現実がある。そのため、選手による政治的発言の難しさ。一方、現実に的には一番最初に問題に遭遇するのがアスリート達。
・IOCは「ロシア・ベラルーシの選手達が政治的に中立で参加することが、如何に国際平和に貢献するのか?」というように、今回の方針転換がオリンピズムの究極的目標やオリンピック・ムーブメントの目標に合致するのか、明確に示すべきである。
2.その他
(1)日中韓三カ国スポーツ担当大臣会議
・2月9日にonlineで第4回日中韓スポーツ大臣会合が韓国主催で開催されたが、その成果文書である「2023ソウル共同声明」(日中韓におけるスポーツ協力強化についての共同声明)は未だwebsiteに掲載されていない。
(2)日本の文科省もサインした35か国によるロシア・ベラルーシ対応声明
・文科省のwebsiteには掲載されていない。イギリス政府のwebsiteには掲載されています。
Ⅱ.終了後は自由な情報交換
・久しぶりのドリンク付き意見交換会でした。
今季のJOAコロキウム委員会の皆様、またZoomも含めてご参加頂いた皆様、様々な意見の開陳や情報交換どうも有り難うございました。
Olympically, NAO MASUMOTO(自称:オリンピズムの伝道師)