JOA Statement: JOA Executive Board Condemns Russia’s Breach of the Olympic Truce Resolution

28 Feb 2022

 The Japan Olympic Academy (JOA), an organization committed to the Olympic Charter which advocates promoting a peaceful society that respects human dignity, strongly condemns the breach of the Olympic Truce by the Russian government.

 All of the 193 United Nations member states adopted the Olympic Truce at the UN General Assembly held on December 2, 2021. The world must observe the Olympic Truce resolution in solidarity, which begins seven days prior to the opening of the 2022 Beijing Olympic Winter Games and ends the seventh day following the closing of the 2022 Beijing Paralympic Winter Games. Russia, in particular, is one of the 173 nations that co-sponsored the most recent Olympic Truce resolution. Moreover, the Olympic Truce spirit must be respected beyond the truce period.

 On March 4, 2022 the Beijing 2022 Paralympic Winter Games will start. The Paralympic Games were created based on the idea of using the power of sport to help people injured during World War II return to society. The Paralympics history started with mutual respect for diversity and the promotion of peace, denying engaging in conflict with each other. As we stand on the verge of the Paralympic Winter Games, we strongly condemn the breach of the Olympic Truce resolution.

 The JOA, in agreement with the statement announced by the IOC*, IOA** and IPC***, strongly requests Russia observes the Olympic Truce Resolution.

 

* IOC strongly condemns the breach of the Olympic Truce”
https://olympics.com/ioc/news/ioc-strongly-condemns-the-breach-of-the-olympic-truce

** The International Olympic Academy unites its voice with the International Olympic Committee, firmly condemning the Russian invasion to Ukraine.
https://ioa.org.gr/the-international-olympic-academy-condems-the-russian-invasion-to-ukraine/

*** IPC calls for peace ahead of Beijing 2022 Paralympic Winter Games
https://www.paralympic.org/news/ipc-calls-peace-ahead-beijing-2022-paralympic-winter-games

 

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Déclaration du Conseil d’administration du JOA condamnant la violation de la résolution sur la “trêve olympique

 Le 28 février 2022

L’Académie olympique japonaise (JOA), une organisation à but non lucratif, condamne fermement la violation de la trêve olympique par le gouvernement russe, conformément aux principes de l’Olympisme, qui visent à promouvoir une société pacifique fondée sur la dignité humaine.

 Lors de l’Assemblée générale des Nations unies du 2 décembre 2021, la résolution relative à la trêve olympique a été adoptée par les 193 États membres des Nations unies.

 7 jours avant l’ouverture des Jeux olympiques d’hiver de Pékin 2022, le 4 février 2022, et 7 jours après la clôture des Jeux paralympiques d’hiver de Pékin 2022, le 13 mars 2022, la société internationale doit être solidaire et nous devons respecter la trêve olympique. En particulier, la Russie est l’un des 173 pays qui ont coparrainé cette résolution.
 En tout état de cause, l’esprit de la trêve olympique ne doit pas être respecté uniquement pendant les Jeux.

 Le 4 mars 2022, les Jeux paralympiques d’hiver débuteront à Pékin.
 Les origines des Jeux paralympiques remontent à la tentative d’utiliser le potentiel du sport pour réhabiliter les blessés de la Seconde Guerre mondiale. Ce que ces origines révèlent, c’est un rejet fondamental des conflits entre les peuples, une reconnaissance de la diversité et un esprit de promotion de la paix. 
 La rupture de la trêve olympique à l’approche des Jeux paralympiques doit être condamnée.

 JOA approuve la déclaration suivante du CIO et du CIP et exhorte la Russie à respecter la trêve olympique.

 

* Le CIO condamne fermement la violation de la Trêve olympique.
https://olympics.com/cio/news/le-cio-condamne-fermement-la-violation-de-la-treve-olympique

** L’Académie Internationale Olympique joint sa voix à celle du Comité International Olympique pour condamner sans équivoque l’invasion de l’Ukraine par la Russie.
https://ioa.org.gr/5217/?lang=fr

*** IPC calls for peace ahead of Beijing 2022 Paralympic Winter Games
https://www.paralympic.org/news/ipc-calls-peace-ahead-beijing-2022-paralympic-winter-games

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「オリンピック休戦」決議違反を非難するJOA理事会声明

2022年2月28日

特定非営利活動法人日本オリンピック・アカデミー(以下、JOA)は、人間の尊厳に重きを置く平和な社会の推進をめざすという、オリンピズムの原則に則り、ロシア政府によるオリンピック休戦の違反を強く非難します。

 2021年12月2日の国連総会では、193の国連加盟国すべてによって、オリンピック休戦決議が採択されました。2022年北京冬季オリンピック競技大会が開幕する2022年2月4日の7日前から、2022年北京冬季パラリンピック競技大会が閉幕する3月13日の7日後まで、世界は連帯してオリンピック休戦を遵守する必要があります。とりわけロシアは、このたびの休戦決議を共同提案した173カ国のひとつです。さらに、オリンピック休戦の精神は、期間中を超えて尊重されるべきものです。

 2022年3月4日には、北京で冬季パラリンピック競技大会が開幕します。パラリンピックの起源は、第二次世界大戦で傷ついた人々の社会復帰のためにスポーツの力を活用しようとしたものです。この成り立ちは、人々の争いを根源的に否定し、多様性を認め合い、平和を推進する精神に満ちています。そのパラリンピック競技大会を目前にして、オリンピック休戦が破られたことは、厳しく非難されるべきです。

 JOAは、国際オリンピック委員会(IOC)、国際オリンピック・アカデミー(IOA)および国際パラリンピック委員会(IPC)による以下の声明に賛同し、ロシアに対し、オリンピック休戦の遵守を強く求めます。

 

<IOCによる声明>
2022年2月24日「IOC はオリンピック休戦違反を強く非難する(IOC strongly condemns the breach of the Olympic Truce)」
https://olympics.com/ioc/news/ioc-strongly-condemns-the-breach-of-the-olympic-truce

<IOAによる声明>
2022年2月27日「IOAはIOCの声明と連帯し、ロシアのウクライナ侵攻を断固として非難する(The International Olympic Academy unites its voice with the International Olympic Committee, firmly condemning the Russian invasion to Ukraine.)」
https://ioa.org.gr/the-international-olympic-academy-condems-the-russian-invasion-to-ukraine/

<IPCによる声明>
2022年2月24日「IPCは北京パラリンピック冬季大会に向け平和を呼びかける(IPC calls for peace ahead of Beijing 2022 Paralympic Winter Games)」
https://www.paralympic.org/news/ipc-calls-peace-ahead-beijing-2022-paralympic-winter-games

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JOAコロキウム 第231回報告&第232回開催案内

第231回JOAコロキウム開催報告

・日 時:2022年2月9日(水):18:00-20:00
・場 所:Online Zoom会議
・参加者:13名
・テーマ:「2020年北京冬季大会を語る」

Ⅰ.情報提供と意見交換
1.「2022年北京冬季大会」開会式のダイジェスト映像を観て開会式に関して
「NHK|2時間20分の式典が8分でわかるハイライト」映像を視聴
 https://www.youtube.com/watch?v=_myAvYtS3DA 
・象徴的放鳩の演出で迷子になった小さな子を連れ戻す大きな子どもという子どもたち2人のパフォーマンスの意味、最終聖火ランナーに無名のクロカン選手でウィグル族のイムラジャン選手を起用したことに対して、NHKのコメントが何もないこと、他会場の聖火台の様子に言及しないなど話題に。(舛本)
<以下自由な意見交換>
・盛り込みすぎで長かった東京大会に比べ、開会式全体が簡素化されて良かった。但し、入場行進順の原則は? 漢字の画数ということだが、、、? 東京大会でも北京大会でもROCを目立たせないような配慮が?
・両大会とも、入場行進への参加選手数が少なすぎる。
・北京大会の演出の方がオリンピックの理念を理解している。日本のメディアはメダル中心やデジタル技術賞賛のコメントばかり。プロの芸能人を使わず一般人や子どもたちを多く使った演出にもなっている。
・目立ったのは映像技術だけ。それしか見るべき物がなかったのでアナウンサーもそう言及せざるを得なくなるようだ。
・スポーツという大切なものが伝わってこない開会式であった。スポーツの祭典であるし、スポーツの素晴らしさが伝わらない開会式は残念。
・中国の現政権下で開かれるオリンピックには共感できない。
・アナウンサーには事前に開会式の演出シートが配布されるが、追加コメントにオリンピズムに言及するなどは語り手の教養次第。北京大会の演出家の文学的教養には感服し、東京大会との演出家の差が出た開会式。
・HNKアナが最終聖火ランナーの名前を見てウィグル族かどうか調べなかったのは、リサーチャー、アナ、ディレクターの仕事の不十分さが原因であろう。

2.「オリンピック休戦」関連
・アメリカのブリンケン国務長官が「オリンピック休戦」に言及したのは評価できる。
・オリンピック自体が紛争の導火線となっている、国際政治の裂け目、「オリンピック休戦」が有名無実となっているという毎日新聞の「時代の風」という連載の中西寛京大教授のコメントがある。オリンピックの在り方を真っ直ぐ見据え、一から考え直すことから再スタートすべき。
参考:「2022年北京大会」関係の「オリンピック休戦」については、『オリンピズムの伝道館』の「オリンピズムの伝道師の逍遥記(そぞろ歩記)NO.9」を参照下さい。(JOAコロキウムの配付資料の一つです。)この制度の詳しい内容についてはあまり知られていないようですね。
https://sites.google.com/view/olympism-dendokan/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%94%E3%82%BA%E3%83%A0%E3%81%AE%E4%BC%9D%E9%81%93%E5%B8%AB%E3%81%AE%E9%80%8D%E9%81%A5%E8%A8%98%E3%81%9D%E3%81%9E%E3%82%8D%E6%AD%A9%E8%A8%98#h.6wxyeg6muce
 また、追加資料です:「東京2020大会」の「オリンピック休戦」関係は、黒須朱莉さん(JOA会員)が『2020+1東京大会を考える』メディアパル、2022年、pp.145-161に詳しく書いてくれています。

3.北京冬季大会を巡って意見交換
・最新技術の映像技術から、e-スポーツ(舛本注:IOCはこの言葉は使用しません。ヴァーチャル・スポーツという語を使用して区別している)の意義も考えられる。イデオロギーを超えて時代を変えつつある。
・北京のマスコット「ビンドゥンドゥン」人気が伝えられるが、東京大会でもマスコットの売れ残りやフードロスなどあったように、北京大会のSDGsがどうなのか関心がある。
・開会式の選手団参加状況に対して、JOCのオリンピアンへの教育はどうなっているのか?山下会長はスポーツ・フォア・オールにオリンピアンが関わることには関心があるようだが。補足意見として、JOAメンバーの來田、田原会員がオリンピアンへの教育をJOCの研修会などで行ってはいるが、きちんと浸透しているのかどうかは?
・実際にはオリンピズムは理解している選手も多いのだが、開会式を軽んずるのはコーチ陣の勝利至上主義のせいでもある。開会式に参加するなと言う指導者もいるし、ボランティアやフィランソロピーなど無関心な人も。余分なことをすると代表を外すと脅されるような例もあるとされる。
・選手にとっては、競技の最大の目的はパフォーマンスである。オリンピズムを理解していれば申し分ないが、我々傍観者が選手を責めるのは問題であろう。選手達は他人ではできないことをし、オリンピックの素晴らしい場に立っている。他人が諭すのではなく、メダルだけではないことは、選手達が自分自身で感じ取って理解し、自分自身の行動を取って欲しい。そのためには、まずは選手達が社会に向けて発信することから始める必要がある。
・IOAPAの開会式に合わせたオンラインミーティングでは元オリンピアン2名も参加。開会式をテーマにするのではなかったが、オリンピアンとしての大変さや苦労話など貴重な体感を聞くことができた。
・「2030年札幌冬季大会」招致活動を止めるとしたら今しかない。このままでの開催が良いとは思わないが、札幌大会を自分の目で見てみたい気もある。今年中に決定する可能性もあろう。選手村、そり競技、スピードスケート、アルペン会場など会場立地上、多くの問題が残っているが、IOCは札幌しか開催できないと考えている感もあるようだ。市民アンケートも道民や札幌市民だけでなく、もっと幅広く集約すべきであろう。
・札幌招致関連では、大会開催理念不在。東京大会の「復興五輪」のテーマもずれてきていた。日本の文化、観光、技術が中心になり、原子力村の思うつぼになった。
・北京大会では、平昌大会や東京大会と異なり人権プロテストが見られない。HRWは選手達に帰国してから抗議するよう勧告しているのも奇妙な話。ウクライナ情勢も大変であるが、ROCの選手達が活躍を許しているのもおかしい。
参考:https://news.yahoo.co.jp/articles/3e2f6068cd53c7fdd9df8f5de186f888293ec29e
「北京五輪で人権問題巡る発言自粛を、選手に専門家が警告 」(REUTER 1/19(水) 8:16配信)
・山下JOC会長が柔道の関係でプーチン大統領とは忌憚ない意見交換ができる立場にある。何とかならないのか?
・日本のテレビや新聞では「中国が敵」のような論調が多いが、アメリカ自体にも人権侵害や食料の日本輸入品などの生活レベルで様々な問題がある。アメリカ一強を阻止するために中国は多様性を尊重する存在、という考え方もある。
・日本は、中国とは隣国としての立ち位置も大切にすべき。日本の人権問題もあるがアメリカとの立ち位置が平板すぎる。メディアによってコントロールされていることの怖さも感じる。
・北京大会の開会式は手話通訳のあるEテレで視聴した。東京2020大会がレガシーとする「共生社会」を大切にしたい。
・Number誌の伊藤みき(JOA会員)氏の堀島選手へのコメントの紹介。(補足:2人とも來田チルドレンです!)
参考: https://number.bunshun.jp/articles/-/851972
・日本選手には政治経済などに対して発言しないナイーブな選手が多い。北方領土問題に関する猪谷千春氏(JOA最高顧問)の姿勢もしかり。
・海外のアスリートは発言し、ボランティアにも積極的に参加する。日本の選手達は諦めているし、長いものに巻かれろ、体制側に付いているのが得という考えが見受けられる。有森、為末の両氏などごく一部の人が発信しているだけ。また、そのように教育されている。またそれは、学校体育からの弊害でもある。今後スポーツが地域に開放されていくことになるが、成果が見られるには100年かかるのかも。
・北京大会での彭帥選手問題が気がかり。IOCバッハ会長の動きは歯切れが悪い。WTAと違う対応。注視すべき。

Ⅱ.終了後は乾杯タイム。
・今回も、自由参加で様々な話題に自由に意見交換をしました。2月11日金曜ロードショーで『クール・ランニング』の上映予告も話題に。

 

第232回JOAコロキウム開催案内

・日 時:2022年3月23日(水)18:00-20:00(第3水曜日ではありません。ご注意下さい。)
・場 所:Online Zoom会議
・中心テーマ:「2022北京冬季大会」関連(パラリンピックも含めて)
・その他の内容:
①オリンピック・パラリンピック関連情報の提供(各自、何かあればPC上で共有できますので、ご準備ください。)
②意見交換:今回の共通テーマは「2022北京冬季大会を語る」とします。参加者の皆様から何かご希望があればお寄せ下さい!
③映像共有:何か時間があれば考えます。YouTube上でも探せます。ご希望があれば考慮します。
④残り時間:フリーディスカス。
⑤終了後:online乾杯など自由に!

〇定 員:15名程度
(但し事前登録制:参加予定の方には、後日Zoomへの招待とID、PW、URLをお送りします)
〇会 費:無料 (Zoom利用の経費はJOA負担です)
〇情報交換会:(ドリンクは各自で準備してください)
☆入室・退室は自由です!
☆通信環境の状況次第によっては、入室できない、あるいは中断する可能性もあります。どうぞご理解ください。

◎申込先:JOAコロキウム申し込みサイト:
joa_colloquium*olympic-academy.jp(*は小文字の@に)
☆ただし、このJOAメルマガに直接の返信は避けてください。対応できません!

◎申込み締め切り:
    2022年3月20日(日)17:00

JOAコロキウム 第230回報告&第231回開催案内

第230回JOAコロキウム開催報告

・日 時:2022年1月20日(木):18:00-20:00
・場 所:Online Zoom会議
・参加者:11名
・テーマ:「東京2020大会」を振り返る:
     「オリンピズム」のスポーツ、文化、環境、平和運動の側面から

Ⅰ.情報提供と意見交換
1.「東京2020大会」の文化プログラム
東京2020「Olympic Agora」の紹介映像:”First Olympic Agora at Tokyo 2020: A confluence of art, culture, sport” https://www.youtube.com/watch?v=wrTOO1R906Q北京大会でも実施予定(舛本)

2.「東京2020大会」を振り返る:オリンピズムの「平和運動」の側面から(情報提供 by 野上委員)
<情報提供の概要:文責舛本>
・「東京2020大会」のために実施された平和運動には、オリンピック休戦決議、聖火リレー、開・閉会式でのメッセージ発信、PEACE ORIZURU、難民選手団編成、オリンピック休戦の壁画サイン、国連のSDGs連携など、数多くあるが、すべて必要なのか? IOCが求める平和貢献とはなんであったのか? 東京大会では見えてこなかった。
・コロナ禍で、「安心・安全な大会」とはほど遠い状況のもと、「開催すべきではない」という民意を無視し、「とにかく開催する」という独裁政治のような対応の仕方は問題であった。
・女性蔑視発言、障がい者への差別発言、ホロコーストに対する不適切発言など、日本の人権意識の低さを露呈し、開催国としてオリンピズムを体現するという意識とその準備不足が深刻な状況を引き起こした。
・これらの問題は、SNSで過去の問題発言を掘り起こすオリンピック反対派によるあら探しだけでなく、「日本社会全体の人権軽視」という病理を象徴したものである。
・日本の歴史教育では、知識を教えてもそれが現代社会でどういう意味を持つかを導くまでには至っていない、という問題指摘と、日本ではホロコーストや人権問題への認識が甘く、起こるべくして起きた問題という識者の意見の紹介。

〇総括:
①そもそも「オリンピック休戦」は周知されていたのか?オリンピック開催に伴って何故休戦期間を設けなければならないのか?それは現代社会に戦争の悲劇を二度と繰り返してはならないという観点からである。
②オリンピックの場で、何故人権尊重しなければならないのか?多様性とは何か?それは現代スポーツにおける公平性、平等、自由を求めていくという観点から必要である。
③オリンピックでは平和運動を多く展開する必要はない。色々手を付けすぎて経費や人の能力を多く使うことになる。
④結論:オリンピックの平和運動は、オリンピックの歴史認識だけではなく、起きた出来事に焦点を当て、その歴史が現代社会においてどのような意味を持つのかを子どもたちに学ぶ機会にすべき。

<Q&Aおよび参加者によるコメント>
・Q1:「国際赤十字は関連者も含め4回もノーベル平和賞を受賞しているのに、IOCは何故受賞できないのか?また、IOCが平和を主張するのはいつ頃からなのか?」
Ans&補足:名目だけの平和運動でその実は金儲け団体に成り下がっているからである(ノーベル平和賞の受賞を希望はしているが…)。平和希求はIOC設立時のクーベルタンが主張してきているが、憲章では1908年から。

・Q2:「オリンピックの平和という建前を背負わせても意味がない。建前は不要で、オリンピックらしいオリンピックとは?世界中が賛同するようなオリンピック大会がどうあるべきかを真剣に考えるべきである」
Ans:オリンピックが力を持っている。光と影の両面があるが、今は陰の面ばかりが多く出ている。
・ノーベル平和賞を受賞できないのは、IOCが自分達の保身と利益しか考えていないから。オリンピックを存続させることしか考えていないため、現在ではロシアや中国にすり寄っている。また、ビジネスコンテンツに成り下がり、国威発揚、巨大化・肥大化し、大都市や強権的な国しか開催できなくなっている。
・IOCに揺さぶりを掛ける必要があるが、アスリート達には訴える力がなくなってしまい、民主国家ではオリンピックを開催できなくなってしまった。
・バッハ体制は批判されるべきである。特に国際政治への対応が不十分である。5年前には南北朝鮮合同チームを編成させたが、今回の北京大会では何も行動していない。また、ロシアとウクライナ問題にも何も対応できていない。2014年のソチ大会のクリミア半島に侵攻して併合した時にも何もできてはいないが、、、。
Ans:国と国との関係が前面に出すぎである。スポーツの祭典であり、国が全面的に出てくることは問題である。
・オリンピックは国の所管ではないはず。NGO団体であるはずのIOCは市民団体であるはず。市民の会費制で組織運営すればIOCは自由がきくはず。
・オリンピックを支えるのは私たちファンであるはず。オリンピックを愛好するものの願い。国の巨額予算に頼らざるを得ない現状が問題。夢物語ではなくクラウドファンディングなどで開催できるようになると良い。

・Q3:旧ユーゴスラビアの内戦時のIOCの対応は?
Ans&補足:IOCによる国連の働きかけによって、ボスニアヘルツェゴビナや旧ユーゴ圏の選手団が1992年バルセロナ大会に参加できる道を開いた。これが近代オリンピックでのIOCの「オリンピック休戦」の始まりとされる。
・IOCは「クーベルタン賞」を設置してオリンピックにおける平和運動面で貢献した人を表彰すべき。
・国旗が政治的に利用されている現実がある。一例として、「東京2020大会」ではアフガニスタンの国旗使用に関して問題があった。Enlighted nationalism(洗練されたナショナリズム)という視点が重要である。因みに、過去にも国旗や国歌を用いない方式が検討されてきてはいるが、、、。
・「特に、個人競技では国旗を掲揚することには反対である」という意見も出された。選手団の旗にするかNOC旗にするか? など国旗使用に関しては課題がある。
・nation state国民国家が成り立たなくなっている現実がある。さらにオリンピック・パラリンピックが利用されている感がある。物事には表裏があるはず。異文化交流や国際交流をどう展開するか? 特に今大会ではコロナ禍のため無観客方針などで大会中にできなかったことを今後どう展開できるかなど重要な視点である。
・もし「オリンピック・パラリンピック人権共同コミュニケ」が発信でき、それで中国に働きかけていたらどうなっていたであろうか?「平和の権利」というものを未来の人権として議論中であるが、、。
・オリンピックには複雑な問題があること、しかもステークホルダー毎に問題が違うこと。その中で、IOCがすべき平和貢献とは何か?IOCは如何にあるべきか? 誰にどのような責任があるのか? など難しい問題である。
・「積極的平和」の立場から「2022北京冬季大会」で臨むと危険である。特に新疆ウィグルの問題で抗議するとリスクあり。平和運動VS政治問題の対立もある。
・ジェノサイドであると主張する一方で、選手達に箝口令を敷くとなれば、一体何のためのオリンピックか?という意見も。
・電通問題ややりがい搾取などとの批判がある中で、何故ボランティアするのかなどの声もあったが、複雑な思いで大会に関わった。2001年の秋田のWorld Gamesでは大会事務局が国別のメダル数を発表するようになり、さらにオリンピックでも、「東京2020大会」ではIOCの憲章改正で国別メダルカウント数を公表することに変わってしまった。

・(以下、舛本の私見)
①オリンピックと他の国際スポーツ大会の違いは何か?そこをしっかり確認する必要がある。スポーツをすれば平和構築の目的を達成できるわけではない。オリンピックでの様々なイベントやプログラムは平和を志向するものである。
②「オリンピック休戦」への十分な理解は?国連とIOCが連携して、ただ単に戦争や紛争がない状態以上の、人権保護やSDGs連携、差別撤廃など、「積極的平和」と同様な活動を志向し、国連加盟国にそれを求めているのであるが、、。

3.選手による抗議のリスク報道の紹介
「2022北京冬季大会」で人権侵害などに選手達がプロテストすると処罰される危険があるのでしないように!報道
1.https://www.infobae.com/aroundtherings/articles/2022/01/19/athletes-advised-to-remain-silent-on-human-rights-as-beijing-2022-warns-against-behavior-counter-to-the-olympic-charter/
Athletes advised to remain silent on human rights as Beijing 2022 warns against behavior counter to the Olympic Charter(ATR January 19, 2022)

 2.https://news.yahoo.co.jp/articles/3e2f6068cd53c7fdd9df8f5de186f888293ec29e
北京五輪で人権問題巡る発言自粛を、選手に専門家が警告 (REUTER 1/19(水) 8:16配信)

 

第231回JOAコロキウム開催案内

・日 時:2022年2月9日(水)18:00-20:00(第3水曜日ではありません。ご注意下さい。)
・場 所:Online Zoom会議
・中心テーマ:「2022北京冬季大会」関連
・その他の内容:
①オリンピック・パラリンピック関連情報の提供(各自、何かあればPC上で共有できますので、ご準備ください。)
②意見交換:今回の共通テーマは「東京2020大会」「2022北京冬季大会」「2030札幌冬季大会招致」などとします。参加者の皆様から何かご希望があればお寄せ下さい!
③映像共有:何か時間があれば考えます。YouTube上でも探せます。ご希望があれば考慮します。
④残り時間:フリーディスカス。
⑤終了後:online乾杯など自由に!

〇定 員:15名程度
(但し事前登録制:参加予定の方には、後日Zoomへの招待とID、PW、URLをお送りします)
〇会 費:無料 (Zoom利用の経費はJOA負担です)
〇情報交換会:(ドリンクは各自で準備してください)
☆入室・退室は自由です!
☆通信環境の状況次第によっては、入室できない、あるいは中断する可能性もあります。どうぞご理解ください。

◎申込先:JOAコロキウム申し込みサイト:
joa_colloquium*olympic-academy.jp(*は小文字の@に)
☆ただし、このJOAメルマガに直接の返信は避けてください。対応できません!

◎申込み締め切り:
    2022年2月6日(月)17:00