JOAコロキウム 第236回報告&第237回開催案内(2022/08/09)

第236回JOAコロキウム開催報告

・日 時:2022年7月27日(水):18:00-20:00
・場 所:Online  Zoom会議
・参加者:11名
・テーマ:2022年度IOAヤング・オリンピック・アンバサダー・セッション参加報告、「東京2020大会」オリンピック1周年記念イベント参加報告、1周年記念報道等

Ⅰ.情報提供と意見交換
1.「第62回IOAヤング・オリンピック・アンバサダー」セッション参加報告(唐澤会員)
・今までの若者セッションIOA Youth SessionからIOA Young Olympic Ambassador (YOA)と名称が変わり、年齢もこれまでの20~35歳から20~30歳に引き下げられた。今年のIOAの全体テーマは「e-Sports」。
・今年のYOAのテーマはThe Olympic Movement and Olympism in Digital Era – The Promotion of Physical Activities via Digital Engagement of Strategies and Virtual Sports
・世界80か国から125名が参加、日本からは唐澤さん(日体大院生)と山崎さん(中京大院生)の2名が参加。この2名は昨年度online参加者。世界には今年が初参加の人も参加。
・毎日のレクチャー、グループ討議は必修、スポーツアクティビティと文化プログラムへの選択参加。コロナ感染拡大で帰国が相当遅れることに。さらに、全体でアテネに戻る際のデルフィの遺跡とミュージアムの見学が残念ながら中止に。
・IOAの研修所はリノベーションされ、大部屋を廃止し、快適な住環境に。各部屋にはオリンピックチャンピオンの名前が冠され、室内に選手の偉業の解説とオリンピックの有名なシーンの写真が掲示されているとのこと(例:伊調 馨選手)。
・同じ討議グループに米国のパラリンピアンがいてinclusiveに対する視野が広がったそう。そのパラリンピアンはオリンピック・パラリンピックを統合したらパラリンピック運動の発展はないだろうと主張していたとのこと。
・IOAの講義や討議では、身体運動を促進しようとするvirtual sports とTVゲームのようなgamingはしっかり区別されていたが、しかし、両方ともe-sportsと呼ぶのでややこしくなることもあったそう。
・学びと考えたこととして、以下の4点の報告:
①それぞれの国へのリスペクト、しかしexcellenceへの共存の難しさも ②昨年度のonline参加でもfriendshipの構築は可能 ③JOAのネットワークを大切にしつつ自覚と責任を ④D&Iでdiversityを意識している間は不十分。

・参加者との様々な側面からの意見交換:
AI導入による多角的な判定の可能性とAIに仕事を奪われる危惧や共感不足の問題、講師のJim Parry は身体運動を欠くgamingに批判的、参加者の様々な声の様子や参加国や講師のバランスは?、パラリンピックとe-sportsの身体運動の欠如という類似性からくる危惧、新オリンピック・モットーのtogetherに合致する可能性(ゆるスポーツもその可能性)、勝利至上主義を変えていく可能性、インクルージョンを促進する可能性(男女、年齢、障害の有無などの壁の排除)、コミュニケーションにおける表情や身振り等の重要性、IOCのe-sportsという用語の使用の慎重さ(対戦型gamingを避け、online上で参加したり身体運動を促進したりするvirtual sportsの重視)、一方ではIOCは2021年からOlympic Virtual Service を開始し、スポンサードも含めたオリンピック・ビジネスとしての関心はあり。

2.「東京2020大会」1周年記念イベント参加報告(今井委員)
・7月23日に新国立劇場で約1万5千人(募集2万人)の参加者の元に、100名超のオリンピアン・パラリンピアンを含め多くの関係者達の入場行進も見所であった。選手達は感謝を表す場としては好都合。開幕前から長時間会場内に滞在し、秩父宮記念ギャラリーや聖火台など各所の見物も行った。
・儀式は、IOCバッハ会長、IPCパーソンズ会長とも安倍元総理への長い追悼も(エスタンゲ2024POCOG会長は別)。小池都知事、橋本元TOCOG会長、室伏スポーツ庁長官の挨拶もあり。
・参加者の約半数はボランティア経験者のようであった。
・新国立競技場への危惧:アルコールも含め飲食ブースの不十分さ、座席の前後間隔が狭く移動が大変とのこと、トイレ混雑も予想されそれらへの危惧も。
・意見交換:聖火台の設置はどこに? 座席の間隔が狭くて「政治的プロパガンダ」があっても直ぐの静止は不可能であるし出場も迷路のよう、今後レガシー化していくようなイベントやメッセージなどは無し、当日反対デモの可能性のアナウンスがあったが問題なし、事前開催の日仏ラグビーでは6万人収容でも大丈夫であった、等。

3.「東京2020大会」の1周年に関するメディア報道等に関して(自由意見交換)
・7月23日の前後に主要メディア各紙を含め、「東京2020大会」の振り返りや「レガシー」特集が組まれていることに対して、自由に意見交換した。
・東京都生活文化スポーツ局による「レガシー設置物」のプレス発表を含め、メディア各紙の検証・総括の報道資料および参考資料として『オリンピズムの伝道館』の「そぞろ歩記NO.25」:「東京2020大会」1周年記念行事に向けて:「オリンピックのレガシー」に関する取材を契機に! を事前に配布しておいた。
https://sites.google.com/view/olympism-dendokan/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%94%E3%82%BA%E3%83%A0%E3%81%AE%E4%BC%9D%E9%81%93%E5%B8%AB%E3%81%AE%E9%80%8D%E9%81%A5%E8%A8%98%E3%81%9D%E3%81%9E%E3%82%8D%E6%AD%A9%E8%A8%98#h.uhye0h44vnv1
・総括などの公式報告書などには関心がなく1周年記念イベントも知らず、という感想も。
・レガシーキューブを参考にして、「東京2020大会」のレガシーを整理し分析してはどうか、という意見も。
・競技場や収支報道が中心、wellbeingに向けてどう利用していくかが重要。意図して遺そうと思って残すことが重要。
・一番のレガシーは人々の記憶に何が遺るかが重要。1964年大会は人々に強烈なインパクト(プラスの評価)を残した。さて、「東京2020大会」は?ゴタゴタ続き、無理矢理開催などの経緯からあまり期待できないとは思われるが、、。記憶に残っていくものこそ大切という意見も。
・スケートボードの若者たちの競技ぶり(「真夏の大冒険」と名付けられた)にみるチャレンジ精神と肩車したリスペクトのシーンはオリンピックに新しい風を吹かせたという意見も。
・D&Iに関しては、女性スポーツに関しても同様にダイバーシティを意識してケンケンガクガク議論している間は不十分という意見も。
・一方、「インクルーシブ」という用語の使用状況への問題視も。つまり、文化人類学上は「支配的なものの中に入れる」という力関係のある用語として簡単には使用しない用語であるという。例えば、「アーバンスポーツ」もこれまでスポーツではなかったものをスポーツに入れてあげる、というような意識が見られるという。言葉の使用には敏感であるべきであって、今までのルールや枠組みを見直すきっかけとなれば良いが、、。
・「多様性」という考え方に基づけば、「デモがある社会の方が健全」であると考える必要があろう。
・e-sportの議論の中で、身体運動が少ないとパラも同様に排除されかねないという危惧が示されたという報告に対して、スポーツの前提として先ず身体運動があり、さらに身体を肉体と脳に区分して考える思考法が反映されてはいないか。実践レベルではきちんと分けられないはずなのに、という意見も。 

4.近況報告の中で情報提供
・3年ぶりにSportechに参加、結構な盛況ぶり。東海大学ブース見学し、IOC委員の渡辺守成氏などに関して質問したが余り関心がなさそう。

Ⅱ.終了後は乾杯タイム。
・今回も、バルセロナからの参加者も含め、様々な話題に関して自由に意見交換をしました。

 

第237回JOAコロキウム開催案内

日 時:2022年8月23日(水)18:00〜(定例の第3水曜日ではありません。ご注意ください。)
・場 所:Online Zoom会議
・中心テーマ:自由
・その他の内容:
①オリンピック・パラリンピック関連情報の提供(各自、何かあればPC上で共有できますので、ご準備ください。)
②意見交換:今回の共通テーマは特に定めません。参加者の皆様から何かご希望があればお寄せ下さい!
③映像共有:何か時間があれば考えます。YouTube上でも探せます。ご希望があれば考慮します。
④残り時間:フリーディスカス。
⑤終了後:online乾杯など自由に!

〇定 員:15名程度
(但し事前登録制:参加予定の方には、後日Zoomへの招待とID、PW、URLをお送りします)
〇会 費:無料 (Zoom利用の経費はJOA負担です)
〇情報交換会:(ドリンクは各自で準備してください)
☆入室・退室は自由です!
☆通信環境の状況次第によっては、入室できない、あるいは中断する可能性もあります。どうぞご理解ください。

◎申込先:JOAコロキウム申し込みサイト:
joa_colloquium*olympic-academy.jp(*は小文字の@に)
☆ただし、このJOAメルマガに直接の返信は避けてください。対応できません!

◎申込み締め切り:
    2022年8月20日(土)17:00