第238回JOAコロキウム開催報告
・日 時:2022年9月21日(水):18:00-20:00
・場 所:Online Zoom会議
・参加者:7名
・テーマ:高橋元TOCOG理事贈収賄問題、2030年札幌冬季大会招致、東京2020大会」記念モニュメントなど
Ⅰ.情報提供と意見交換
1.高橋元TOCOG理事贈収賄関連
・高橋問題が「オリンピックの価値や東京大会自体の価値を貶める」という論調には疑問という意見。「行きすぎた商業主義がオリンピックをだめにした」という主張には「オリンピックだけが神聖であるべき」という考えがある。税金を投入するよりも民間資金で運営を。「オリンピックだけが悪い商業主義」なのではなく、他の大イベントも同様。
・「TOCOGがだらしなかったから」「オリンピックの環境がだめになった」というようなメディアの論調は問題。今回の問題は高橋氏の個人的な問題である。IOCもTOCOGも「オリンピックの価値を損なった」とは見ていないはず。
・オリンピックへのイメージは悪くなり、札幌への悪影響は免れないとJOC幹部も見ているが...。IOC自体もスポンサー収入を確保することが大切というスタンスであった。オリンピックの商業化をなくそうという考えはなさそう。
・開かれた招致運動、透明性の高い決定プロセス、しかるべき所がウォッチするような体制がとれていないことが問題。
・主要メディアの社説は型どおりで中身に欠ける。「オリンピック=カネ」→「神聖なオリンピックを汚した」という形。オリンピックの一般的なイメージを汚したことは事実であるが、一般のファンに、どのようなイメージを流布するのか?
・「行きすぎた商業主義」という表現を使うが、それは極端には「オリンピックは何の価値もない」ものとして、競技や選手を単なるコンテンツにしてしまい、一般の支持を失うことになる。
・日本のスポーツ界には高橋氏のような頼れる人が余りに少ないことが問題。スポーツビジネスやスポーツ界に人材がいないため、高橋氏の思うつぼであった。
・スポンサーからお金を集めることは必要であるが、集める体制や方法が問題。最下層のスポンサー(T-3)には「オリンピックを応援できる権利」を買うことであったはず。定価表の15億円が半値にされるなどし、余剰の20%を自分の懐にした。
・問題は2点ある:①値引きできる権限を持つ人がいて、その利益を得る人が同一人であること。②マネジメントをチェックする体制がないこと。メディアやTOCOGも良く集めたと賞賛するだけでチェックできていなかった。チェックする体制が整備されるべき。JOCとスポーツ庁は「残念、遺憾である」で済まそうとしてはならない。
・安倍元首相の死後、色々なことが明るみに出ている。問題の根を探ろうとしているが、それは大きな政治への不信と一緒に語られることが多い。そのため、スポーツ界で語られないまま、選手たちが発言できる場がなくなっている。
・日本と中国は人権の観点からもIOCから問題視されてきた。東アジアの後進国として国際基準からかけ離れていると批判されていることと同じ構図。
・スポンサー資金は必要。TOCOGのコンプライアンスの問題。高橋氏を元電通と表記することにも違和感がある。とっくに会社を退職しているはずだが。
・電通以外に人材がいないことが大きな問題。ESG投資、SDGsなど世界的な眼で見て行くとガバナンスの問題でもある。世界的に見て「オリンピックの価値はいささかも揺るがなかった」が中身はどうか?利権に群がる人々をどうチェックするかが重要。JOAはオリンピズムをしっかり踏まえて対応を。
・「オリンピックの価値自体は減じない」という考えには違和感あり。「東京2020大会」では様々な問題が生じても根本的な問いに誠実に応えてきていない。ファンや視聴者のオリンピック離れを促進しオリンピック嫌いを作った。イメージを悪化させたし、イメージダウンさせたことは事実である。札幌大会をもし開催するのであれば、「オリンピックはそんなものではない。今後は良いものにする」と表明すべきである。
・オリンピックの競技大会と組織委員会を一体化して考えてしまう。イメージダウンは確実にあるが、大会開催前には反対意見が多かった一方、閉幕後は開催して良かったという意見が多かった。それは競技を見ての反応であったはず。
2.2030年札幌冬季大会招致関連
・大会招致を今なお進める政府と札幌市。市民はそこしか見ていない。厳しい風が吹いているのは事実。3月の市民アンケートでの52%の支持から変わっているのが現実。
・オリンピックの競技大会の価値自体には傷ついていない。札幌大会を開催したい人たちは東京大会の問題と切り離してイメージ戦略を展開するべき。
・IOCの将来招致委員会はアメリカ、カナダ、日本、カタルーニャとコンタクトしている。選考は新プロセスで行われている。札幌のイメージダウンの中、暫く招致活動を凍結することも必要。
・札幌だけでなく、帯広や長野も関わる計画だが、札幌ドームの扱いが北海道として不明。北広島市の交通インフラを含め、北海道の方針が明確でない。ニセコを含め、世界に誇るスポーツ景観を作る意気込みが必要。
・カタルーニャのプランも政治でひっくり返される。独立運動もしかり。またゼロからのスタートになるかも?
・2030年は近くも遠くもない。イメージダウンの中、開催の支持率が回復はしないし、スポンサーも付かないであろう。今回の膿を一回全部出して、2024年パリ大会を挟んで、カオスの中ではなく落ち着いた段階で仕切り直しをすべき。
・組織、イベント、ムーブメントという観点から考えると、札幌のムーブメントは何か?2017年にはスイス政府の主導で人権がらみのワークショップが開催され、日本の経済人も参加して調達における人権問題など検討した。国際的な人権問題には基準があるが日中はそこまで届いていない。言ってはいるがやってはいないし、オリンピック・パラリンピック宣言もしなかった。ポーズでも良いから人権保護などのムーブメントが必要であろう。
3.「東京2020大会」の記念モニュメント関連
・新国立のメダリスト銘板や聖火台など、記念モニュメントが各地に設置されている。これらは、東京大会のメモリーを想起させ、オリンピズムやパラリンピックムーブメントを学習する好機であり好教材である。今後の一層の活用が望まれるところである。
・その一環で、所謂「オリンピック休戦ムラール」と「パラリンピックムラール」も都内各地に設置され公開され始めている(ここで、「所謂」と付記するのは「ムラール」という語はTOCOGの造語であり、英語表記はmuralであり、カタカナ表記すると「ミューラル」となるからである。2度にわたって表記の修正を申し入れたが、TOCOGは修正せずに代わりに間違った英語表記である「ムラールが既に定着している」からとして公式報告書を含め、間違い表記を日本国内に流布することに執着してしまった。現在の日本オリンピックミュージアム(JOM)の企画展で「ムラール」として展示されている)。ここには一旦決定したら間違いであっても修正しないという官僚主義的な姿勢が見て取れはしないか?
・「東京人権プラザ」では所謂「パラリンピックムラール」の常設展示の記念イベントを9月15日に開催した。関連動画を作成し、イベントの際のトークショーやイベントの内容をwebsiteにアップしている。そのコーディネーターをJOAコロキウムメンバーの舛本が務めたこと、そのうちに本イベントの動画もアップされること、「人権プラザ」では「ムラール」の表記ミスへの注釈をつけることなどについて報告した。
Ⅱ.終了後は乾杯タイム。
・今回もonlineでしたが、様々な話題に関して自由に意見交換をしました。
第239回JOAコロキウム開催案内
・日 時:2022年10月19日(水)18:00〜
・場 所:Online Zoom会議
・中心テーマ:自由
・その他の内容:
①オリンピック・パラリンピック関連情報の提供(各自、何かあればPC上で共有できますので、ご準備ください。)
②意見交換:今回の共通テーマは特に定めません。参加者の皆様から何かご希望があればお寄せ下さい!
③映像共有:何か時間があれば考えます。YouTube上でも探せます。ご希望があれば考慮します。
④残り時間:フリーディスカス。
⑤終了後:online乾杯など自由に!
〇定 員:15名程度
(但し事前登録制:参加予定の方には、後日Zoomへの招待とID、PW、URLをお送りします)
〇会 費:無料 (Zoom利用の経費はJOA負担です)
〇情報交換会:(ドリンクは各自で準備してください)
☆入室・退室は自由です!
☆通信環境の状況次第によっては、入室できない、あるいは中断する可能性もあります。どうぞご理解ください。
◎申込先:JOAコロキウム申し込みサイト:
joa_colloquium*olympic-academy.jp(*は小文字の@に)
☆ただし、このJOAメルマガに直接の返信は避けてください。対応できません!
◎申込み締め切り:
2022年10月16日(日)17:00