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2018年平昌冬季オリンピック大会視察報告(2018年2月8-13日)

2018 年 3 月 29 日

執筆:舛本直文(首都大学東京特任教授/JOA副会長)

 

1.

南北対話路線、「平和の祭典」を前面に出して政治オリンピックの様相。文大統領の南北政治にオリンピックを利用か。KTXのモニターにも文大統領のメッセージも写し出すし、平和オリンピックのチラシも挟まれていた。しかし、南北合同・統一旗賛成派と反対派の対立は開会式会場前でも繰り広げられていた。いわゆる「南南問題」という韓国内の分断である。多くの警察官達の警備に囲まれて対峙して統一旗反対派が大声を上げていた。ジンブ駅前の横断幕も「平和オリンピック」と謳う。文化プログラムにも「平和」テーマのものも開催。北の美女軍団の応援は開会式でも見られた。あの200人もの座席が最初から準備されていたとしたら、政治の介入は周到なものであったということであろう。開会式のメッセージも、イマジンや平和の象徴であるシンボリックな放鳩にも窺えたし、組織委委員会の会長とバッハ会長のスピーチにもそれがアピールされていた。女子アイホの南北合同チームの2人の選手による聖火リレーにもそれが窺える。

2.

とにかく寒い平昌大会である。風が強いので体感気温もぐっと下がる。しかし、開会式の日だけは風もほとんどなくラッキーであった。完全防寒をしていたが、助かった。しかし、風が強い中の競技の強行は選手にとってはかわいそうであった。風力発電をする様な地区であるから、風が強いことは周知の上での会場整備であったのであろう。種目によって順延する競技と強行する競技があるのは問題かもしれない。

3.

シャトルバスの運営は特にひどい。開会式後の大混乱ぶりはニュースでも報じられた。KTXも臨時便を計画すべきであった。また、各競技が終わりそうな時間に会場近くに多くのバスを待機させておいた方が良い。シャトルバスの総合的な運営と指令がどうなっているのか?またシャトルのボランティアが少なすぎる。会場からバス乗り場までの人の動線も余り考えられていない。競技終了後の出口からシャトルに向かう流れを考えて、乗客の列の作り方など考えた方が良い。TOKYO2020の組織委員会から多くの視察が行っているが、もし専用車の移動ではこのような一般観客の混乱ぶりは体験できていないであろう。一般客からのアンケートやヒアリングはするのだろうか?

4.

文化プログラムの情報がない。やっと入手できたのが文化プログラムの会場内。これでは後手になってしまう。駅前のインフォメーションに大会の全体の情報提供できるような配慮とボランティア配置が必要である。さらに、事前にチケットを買う段階で文化プログラムが分かれば視察の細かなスケジュールも立てられるのだが。今回は平昌宣言に対応して日中韓共同の文化プログラムも実施されていた。平和オリンピックを謳うためか、非武装地帯(DMZ)でのアートフェスタも実施されていたのが興味深かったが、視察していない。

5.

子供たちの参加(動員?)が結構あるようだった。文化プログラムのパフォーマンスと観戦に動員の形のようである。寒い中の動員観戦、子供たちの参加がオリンピック嫌いを作らずに好影響を及ぼすことを期待したい。カンヌンのオリンピックパークには一校一国One School One Nationのパレードも文化プログラムの一つとして予定されていた。残念ながらその情報は現地で入手。その日は山でスノーボードと女子ジャンプの観戦に出かけてみることができなかった。小学生達の演舞も文化プログラムで行われていた。

6.

オリンピックパークやプラザ内の文化プログラムや環境展示はあまり人気が無いようである。特にカーボンオフセットのブースはがらがらであった。一方、スポンサー館には順番待ちの行列ができているので、やはりアピールがうまいのであろう。カンヌンのオリンピックパーク前にあるアートセンターのプログラムを視察にいけなかったのが残念である。

7.

ボランティアは、「アンニョンハセヨ」の挨拶と笑顔で迎えてくれるが、英語を話さないボランティアが多くて困った。神田外語大の学生達(7外語大連携ボランティアは100人参加、その内、神田外語大は50人)は寒いフェニックス・スノー・パークの道案内で頑張っていた。カンヌン駅前には公式ボランティア以外にもNGOの団体がサポートのボランティアに出ていた。日本語が話せるボラは一人だけだったが。

8.

日本人に対しての対応も悪くはない。食事のお店ではi-phoneでの自動翻訳を用いて注文など取っていた。タクシーの運転手も気軽に話しかけてきた。開会式で隣に座った韓国の女性も日の丸を広げて掲げるのを手伝って持ってくれた。しかし、開会式での日本の入場行進では歓声は起きなかった。駅前パフォーマンスも。

9.

カンヌンのオリンピックパーク内のTOKYO2020 JAPAN HOUSEを訪問した。折り鶴の紹介と体験コーナー、ITを用いたアバターでTOKYOの街中を歩く姿を大スクリーンに映し出す趣向、新5種目にビデオカメラに自分のポーズを写し込むという趣向など、様々な工夫で人集めしていたが、TOKYO大会のコンセプトや魅力発信などの試みは見られなかった。

10.

ソウル市内では、ホテル近くの観光交番の横に慰安婦の像が設置されていたし、地下鉄内では竹島(独島ドクト)は韓国固有の領土というモニターでのプロパガンダには、ここまでやるのかという感じがした。

 

 

 

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