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‘第23号’ カテゴリーのアーカイブ

2020年ローザンヌIOCオリンピック・ミュージアム視察報告

2020 年 3 月 30 日 Comments off

執筆:舛本直文(首都大学東京特任教授/JOA副会長)

1.オリンピック・スタディーズ・センター(OSC)

1月9日の午前中、先ずレマン湖側から坂を上ってTOMに隣接するオリンピック・スタディセンター(OSC)を訪問した。事前に依頼していた研究課題に応じオリエンテーションを受け、1976年前後のIOC理事会と総会の議事録を閲覧する。データをコピーしてはいけないという方針に変更になったそうなので、限られた時間での調べが大変であった。OSC研究部門長のNuria Puqiさんに再会し、2020年設置予定のJOA HOUSEを説明し、その宣伝を依頼した。残念ながら、IOC HOUSEの見学要望は叶えられなかった。丁度今はIOC理事会や総会が目白押しで、見学などとても無理だと言うことであった。

あまり知られていないが、このOSCの駐車場にはフィリップ・ノエル=ベーカー卿がノーベル平和賞を受賞した記念レリーフが飾ってある。彼はイギリスの著名な政治家であり、国際的な軍縮運動で活躍した外交官でもあった。特に、1920年のアントワープ大会の男子1,500mの銀メダリストであり、1959年のノーベル平和賞受賞者した唯一のオリンピックメダリストである。このレリーフには「Man of Sport ・ Man of Peace」という文字が刻まれている。また、これと同じレリーフが広島経済大学の体育館に1994年のアジア大会時に掲げられていることもあまり知られていない。実は、ノエル=ベーカー卿は広島の核兵器廃絶運動にも賛同し、5回も来日している平和活動家でもあるのだ。TOM訪問の際には、是非立ち寄って欲しい所である。残念ながら雨ざらしであるのだが。

2.オリンピックのシンボルマークとIOC旗

続いて、TOM再訪。5度目の入館であるが、展示が相当入れ替わっているようである。先ず、気になったのが古くて大きなオリンピック旗(IOC旗)の展示コーナーである。1913年にクーベルタンがオリンピックのシンボルマークを考案し、それを初めて手紙に5色で描いて送ったとされるシンボルマークであるが、その時の手紙も展示してある。別の形に5つの輪を描いたデッサンも残っている手紙も展示してある。写真の大きなIOC旗は、IOC設立20周年を記念して、1914年にアレキサンドリアのスタジアムに旗の形で初めて掲揚されたオリンピック旗である。この年には20周年記念IOC会議がパリで開催されたが、その際にクーベルタンはこのシンボルマークを描いたIOC旗を500本パリの百貨店に作らせ、会議終了後に、参加者達にお土産として世界各地に持ち帰らせた。これで、オリンピックのシンボルマークを世界に一気に周知したと言われている。素晴らしい広報マンぶりを物語るエピソードである。

今回の目新しい展示は、クーベルタンがこのシンボルマークを考案した際に参考にしたといわれているトリコロールカラーのデザインの帽子とフランスチームのユニフォーム姿の写真である。1890年、クーベルタンがフランスの2つのスポーツ団体(USFSA)をまとめて統一チームとして国際大会に出場した際に、青と赤の2つの輪が交差したシンボルマークを作成したのである。このマークは、下地の白色と合わせて、フランスの三色旗のトリコロールカラーになっている。つまり、2つの団体の連帯や団結を意味するシンボルマークなのである。そのため、オリンピックの場合には五大陸の連帯なので、クーベルタンは5つの輪が交差したシンボルマークがふさわしいと考えたのであろう、と推察されている。

3.聖火リレー関連

次に気になったのが聖火リレーのコーナーである。このコーナーは「オリンピックの火Olympic flame」と表記され、「聖火sacred fire」とは表現されていない。これは、現在の「オリンピック憲章」でもそうであるが、以前は「オリンピックの聖火Olympic sacred fire」と憲章上でも表記されていた。しかし、このコーナー紹介メッセージには「これは古代オリンピアの神殿に絶えることなく祀られていた聖なる火sacred flameを想起させ、Olympic flameオリンピックの火は、平和、団結、友情のメッセージを伝える」と記されている。このコーナーでは、主に1992年バルセロナ大会を中心に展示されていた。

ここで珍しいものは、1992年バルセロナ大会の採火式で採火された火を保存する火釜(火の飾り坪urn、ギリシャ語でlychnosリクノス)である。これは、パンアテナイ祭で行われていた「たいまつリレー競争」の様子が描かれた壺絵を模して作られたものである。また、この92年大会では障害者アーチャーのレボジョ氏が、アーチェリーの矢で聖火台に点火したが、その時の矢のレプリカも展示してある。さらに、別のコーナーではあるが、飛行機で聖火を開催国まで運ぶ「安全灯safety torch」(フランス語ではランプと表記、東京では「聖火筒」と呼んでいた)の展示も見られた。

4.オリンピックの平和運動関係の展示

最後に、オリンピックの平和運動関係の展示を紹介しておこう。現在のオリンピックの開会式では、「象徴的放鳩 Symbolic release of Dove」を実施することが「オリンピック憲章」で定められている。この開会式の演出では、本物の鳩を飛ばさないで平和の象徴である白いハト(dove)を飛ばして、平和の祭典であるオリンピックを表現し、世界平和希求を演出するのである。そのために、このコーナーでは大きなビデオスクリーンに、いくつかの大会のその模様が映し出されていた。

地下の展示室には、「オリンピック休戦Olympic Truce」のコーナーが以前と同様に継続展示されていた。ここでは、2012年ロンドン大会時の「Olympic Truce Wallオリンピック休戦の壁」の10本の内の5本が展示されていたが、以前と違って照明がブルー系に変更になっていた。その分、展示自体は明るくなったが、選手達のサインを写真に撮るには不向きの照明になってしまったようである。

この「休戦の壁」は、2016年リオ大会からは「Olympic Truce Muralオリンピック休戦の壁画」と名前を変えた。「壁」では、立ちはだかる障害のようなマイナスイメージがあるとして、「壁画」に変更されたのである。しかしながら、2020年東京大会の組織委員会のウェブサイトでは、これを未だに間違って「壁ムラール」と表現している。それはさておき、東京2020大会では、一体どのようなデザインの壁画を設置し、それが大会後どう利用されるのであろうか? 大いに関心があるところである。

最後に

このローザンヌのTOMには、用具やユニフォームなどを含めたオリンピアン達の活躍ぶりだけでなく、オリンピックに関わる様々な歴史・文化的な側面の展示が多く見られる。古代ギリシャのオリンピック関連の展示から始まり、クーベルタン関連、聖火やトーチリレー、メダルやマスコットなどの歴史、歴代の文化プログラムのポスター、大会に向けた環境対応や都市開発のレガシーなどの展示も見ることができる。ビデオ映像で分かりやすい展示も工夫されているし、体験ゾーンもある。さらに企画展示も行われているし、クイズも取り入れ、子ども達に飽きさせずに学ぶ工夫もされていた。オリンピズムやオリンピック・ムーブメントを学ぶ学習帳や音声ガイドも準備されている。いかにも世界に開かれたTOMの方針がよく分かる展示状況と対応ぶりであった。最後に立ち寄るであろうTOMショップには、東京2020大会グッズも多く売られていた。

さて、このTOMは、2020年ローザンヌYOG大会期間中は無料で開放されていた。小学生達も学校の先生に引率されて鑑賞に訪れていた。では、今年の東京都内の各種ミュージアムは入場料無料で開放するのであろうか? 日本橋にはIOC肝いりの「オリンピック・アゴラ」が設置され、様々な催し物や展示も計画されているが有料のようである。せめて、JAPAN SPORT OLYMPIC SQAURE (JSOS)に設置されたJOCのオリンピック・ミュージアム(JOM)だけでも、大会期間中は誰にでも無料開放して欲しいものである。

 

 

2020年ローザンヌ冬季ユースオリンピック視察報告

2020 年 3 月 30 日 Comments off

執筆:舛本直文(首都大学東京特任教授/JOA副会長)

1月7日(火)-8日(水)

・東海大学の大津先生(JOA理事)と一緒に羽田空港からドバイ経由でジュネーブに向かう。ジュネーブ空港ではメディアカウンターで受付後、列車のフリーチケットを入手し、ローザンヌに向かう。ローザンヌ駅からは、YOGの選手達と一緒にシャトルバスでメイン・アクレディテーション・センターへ。

・メディア用のIDを取得した後、YOGの選手村を見学。アスリート・エデュケイション・プログラム(AEP、以前のCEP)もほぼこの中で開催されているが、文化的側面のブースがほとんどなく、競技面のサポートブースが多くなってきているのが今回の特徴。JOCスタッフの藤沢さんと面談。

1月9日(木)

・午前中にIOCのオリンピック・スタディセンター(OSC)を訪問。10時に予約し、JOAの大津、三浦、石塚氏の4人でEvelyne Sassiさんと面会。事前に申請しておいた研究課題についてオリエンテーションを受け、1976年前後のIOC理事会と総会の議事録を閲覧する。データをコピーしてはいけないという方針に変更になったので調べが大変。

・OSC研究部門長のNuria Puqiに再会し、2020年設置予定のJOA HOUSEを説明し、その宣伝を依頼する。

・IOCのオリンピック・ミュージアム(TOM)再訪:5度目の入館。展示が相当入れ替わっている。2012年ロンドン大会時のオリンピック休戦の壁は5本揃っていたが、照明がブルー系に変更になっている。明るくなったが、選手達のサインを写真に撮るには不向きの照明。平和運動としてのオリンピックに関するポスターも展示されていた(別稿参照)。

・午後14時からメディア・センターでメディア向けブリーフィング。今回の2020ローザンヌYOGでは、3つの大会コンセプトを掲げている。1.New Games, 2.New Talent, 3.New Switzerlandである。、異文化交流は?

・知人の研究者である英国のAndi MiahとPhilip Barkerとメディア・センターで情報交換。JOA HOUSE計画を紹介し参加要請する。JOA理事で読売新聞の結城和香子氏とも出会う。YOG視察の意味と活用について質問され、将来のYOG大会の広島誘致とオリンピックの原点回帰運動のための視察だ、と返答。

・残念ながら、開会式のチケットは入手できずに予定変更。Flon駅近くのIOAのブースを探すが見つからず。このFlon駅近くはローザンヌ市の中心街、様々なスポーツの導入プログラム(イニシエーションプログラム)の会場の設営が続いていた。地下鉄でMalley駅まで行き、クーベルタンの墓地に向けて公園内を下る。クーベルタンの墓には、あまり人が訪れた雰囲気もなく、また新しい花輪もなく、少々残念な気持ちになる。IOCや組織員会LYOGOCは、YOGに際して花輪を捧げなくて良いのだろうかと訝しがる。その後、すぐ近くのIOCのOlympic Houseに向かう。IOC総会や理事会など諸会議が目白押しのため、セキュリティが厳しく内部撮影も不可。外から写真撮影をし、バスでホテルに戻る。メディア用IDで公共交通は全て無料。随分助かる。逆に、東京2020大会の交通が心配になる。

・帰りに、Flon駅近くで偶然開会式のPVのスタンドに遭遇。地元のテレビ中継で開会式の様子を観て愉しむことができた。PV用に準備をしてこなかったので、少々寒い。早々にホテルに帰り、部屋でニュース確認することに。

1月10日(金)

・午前中、国際オリンピック・アカデミー(IOA)と国際オリンピック休戦センター(IOTC)のブースを探して中心街のFlon地区に向かう。先ず、駅前に設置された聖火台をカメラに収める。大会マップを頼りに子どもたちへのスポーツ・イニシエーション会場巡り。フィギュアスケート、カーリング、ブレイキン、リュージュ、スキー、モータースポーツなどの会場を巡る。市民用イベントはスポーツ中心である。多くの子どもたちが学校の教師に引率されてやってきていて、大騒ぎで体験している。Flon駅近くの坂道、でようやくIOAとIOTCの共同テントを発見する。

・IOTCのFilis所長他2人のメンバーと再会を喜ぶ。子どもたちは手の甲へのタトゥなどで愉しんでいる。IOAのブースではデジタルを用いた学習をしている子供達、彼らも映像でインタラクティブに愉しんでいる。IOTCのFilis所長には、JOA HOUSEの件と「オリンピック休戦の壁」の写真をIOTCのwebsiteに掲載するように話しておいた。

・IOAスタッフのAlexandra Karaiskouさんと再開。今年は7月以降にIOA施設が改築になるので武蔵野大学の学生と9月に訪問したときは閉鎖中とのこと。残念!ディレクターのGangas氏とも久しぶりの再会。JOA HOUSEの案内をすると、午後のIOCでの会議で話しておくと言っていた。ここで皆と話していると、IOAのスタッフ達がクーベルタンのお墓の場所を知らないのに驚く。地図でお墓の場所を教えておいた。

・その後は、スポーツ・イニシエーション会場の視察。今大会新採用のスキー登山(SkiMoと呼んでいるようだ)では、スキー用シールの取扱を教えていた。スキーブーツのまま登っているので大変そう。挑戦している子供たちは、下りはおそるおそる滑り降りている。スポーツクライミングに興じる子どもたち。食事と寒さ避難用のピクニックテント内では子どもたちが昼食を取っている。学校の先生達が午前中に引率してきているようである。スイススキーのスキー学校がアルペンスキーの体験コースを造っているが、スタート地点の上に上がるためには、通りに隣接したデパートのエスカレーターで3階まで上がるという方法を利用しているアイデアには驚かされた。子どもたちは大歓声をあげて滑る人たちを応援している。その後はバイアスロン会場に。丁度お昼で終了したところ。COOPが出していたNatural コーナーでクイズなどを体験してポイントを稼ぎ、COOPのプレゼントを多数ゲット。

・午後:フィギュアスケート場の視察:フィギアのペアを観戦しに地下鉄のMallay駅に。この会場でも大勢の子どもたちが引率されて観戦中。大歓声をあげ、足踏みしながら地鳴りをさせながら応援している。小学生達だが引率の先生方も大変であろう。近くの小学校だけなのだろうか?スイス全土から来ているのであろうか?会場を出るとマスコットのYodliヨドゥリと子どもたちが遊んでいる。また各学校でヨドゥリとの記念撮影に忙しい。

・近くの開会式が行われたホッケー会場に向かう。SUMUSUNGなどのブースが設置されている。相変わらずのVRの会場は人気だ。小さなYOGオフィシャルショップがあったのでマスコットのヨドゥリとキャップを購入。屋外展示の5人のカメラマン達の作品をチェックして、元のフィギュアスケート会場に戻る。男子ショートプログラム、日本期待の鍵山君が演技する。橋本聖子オリンピック担当大臣も応援に駆けつけていた。鍵山君は連続ジャンプでフェンスにぶつかって点が低い結果となった。躓きのスタート、2日後のフリーに期待するしかない。

・最終演技者を残して、19:00のメダルセレモニー会場に向かう。会場は未だ人がまばら、小さな女の子が音楽に合わせてキレキレに踊りまくっている。LYOCOGのニュースでメダル第1号はスイスの女子選手。新種目のスキー・マウンティニアリンッグ(SkiMoスキー登山)はさすがに男女ともスイス選手。男子は双子のBussard兄弟が1,2フィニッシュ、メダルセレモニーは大混雑になりそうとの予想で早く良い場所を確保。予想通り、大観衆がスイスの勝利を祝福していた。最前列の特等席はフォトグラファー用。中にはiPhoneだけの映像で放送するペアのメディア陣も。こんな時代になったのだと痛感する。

1月11日(土)

・午前中にYOVを再訪。Athlete Education Programの調査。YOV内は競技成績の向上のためのプログラムが目白押し。せいぜいWADAのPlay Trueのプログラムが文化関係と言って良いだろう。NOC関係の人たちがガイドツアーに来ていた。医学関係、トレーニング関係、chat with championのようなセクションを見て回る。中庭のYodli Caféは選手しか入れないので残念。入り口で写真を撮っておく。

・アイスホッケー会場前のSUMUSUNGのブースを訪問。4ヵ所を回るとpinとトートバックをくれる。しかし、VRで思ったより時間がかかる。何とか4ヵ所回ってピンとバッグをゲット。知人の研究者であるAndi MiahがSUMSUNGのブースのVRを写真撮影に来ていて驚く。

・午後はフィギュア会場にてアイスダンスと女子フィギュアスケートの競技観戦。スイスでは人気種目なのだろう。土曜日なので、家族連れで子どもたちも多く観戦来ている。スイスチームへの応援は予想通りに凄いが、さすがにロシアの選手達が上位を占める。アイスダンスでは日本選手は6位であった。NHKの取材スタッフの鬼澤氏が私が日の丸を振っている姿を見つけて、女子フィギュアでも応援していたら写して良いかと許可を取りに来たので、どうぞと答えておいた。

・後半の女子フィギュアは総入れ替えだが、やはり多くの子どもたちがやってきていた。隣の席にはスイス国旗を持った多くの応援団が陣取った。スイスの選手が登場すると大歓声。しかし演技の方は地元の観客の期待に追いつかない。

・日本選手の河辺愛菜さんは、これまでの自己ベストを10点以上も更新する自己ベストの65点台。スタンドのあちこちで日の丸が振られていた。昨日は橋本大臣をはじめ多くの日本応援団がいたのだが、、、。最終滑走組はやはり強い。ロシアと韓国選手のユ・ヨン選手が70点台を出す。さすがとしか言えない。

・最終滑走者を待たずに街中に移動。Flon駅前は大勢の人が繰り出している。メダルセレモニーに向かう選手達も多い。Flon駅前は、ホコ天に変わりサーキット場が造られている。インラインスケートもここでやっていたようである。ビッグエアー会場もホコ天の道路の真ん中に設置してあったが、既に終了。PV会場は満席でパーカッションの演奏を多くの人たちが愉しんでいた。この土曜日の夜は、大勢の人たちにとってはお祭りのようである。スポーツのイニシエーションプログラムに文化プログラム。屋台のようなものも出ている。COOPの会場も子どもたちが愉しんでいる。ヌーベルバーグと題した会場では、ロックバンドの演奏。一方、市内と逆の湖畔のウッシー地区は閑散としていた。

1月12日(日)

・午前中は、先ず市内の文化プログラムサイトの一つe-Sportのコーナーに向かう。10時開始のTVゲームミュージアムである。e-Sportと名付けているが、スポーツ版TVゲームの対戦コーナーではない。TVゲームの古い物から今のものまでの展示ミュージアムでローザンヌ大学の支援のプログラムであった。任天堂のマリオやプヨもおいてあったし、初期のピンポンゲームもあった。子どもたちが遊べるコーナーもあったが、朝早いせいか、まだ人は少ない。

・最近若野達の間で人気のパルクールが10:30開始と言うことなので会場を探していくが、見つからず。インフォメーションで聞くと、ブレーキン(ブレイク・ダンス)をやっていた屋内の建物だということで、そこに向かうが、まだ会場の準備中で始まっていない。他の所もゆった意図始まる日のようである。

・道の途中にIOAとIOTCのブースがあったので再度立ち寄り、昨日の土曜日の人手の様子を聞いてみる。残念ながらあまり忙しくはなかったそうである。月曜日は子どもたちがまたやってくるとのこと。この場所はFlon駅の好位置なのだが、ブーステントの背後に何の展示ブースか分かるようなサインが必要であろう。特に、Mapへの記載が必要であろう。

・その後、急ぎフィギュアスケートのペア観戦に向かう。Malley駅で地下鉄を降りたところで日本の男子シングルの鍵山君にばったり遭遇。公式練習が終了してYOVに帰る所であろうか。

・会場は既に多くの人たちが入場している。メディアパスのおかげで良い席に座ることができる。しかし、いつもの席に移動して陣取ることに。8組しかフィギュアスケートのペアはないが、会場は大人気である。良い演技にも失敗した後の励ましの拍手もたくさん送られる。さすがにロシアのペアは強い。1,2位を占めた。シーズンベストを出すペアが多くて観戦は大いに楽しめた。

・午後:男子シングルスのフリーの観戦。日本期待の鍵山君が最終滑走者。さすがにロシアの二人が強かったが、鍵山君は美事3位から逆転優勝。ARM(アスリート・ロール・モデル)のパトリック・チャン選手が近くにいたので記念撮影させてもらった。IOC元副会長の猪谷さん夫妻も来場、挨拶しておいたが、バッハIOC会長が来ると大騒ぎに、、。簡易表彰式のマスコットギフトセレモニーを観て退場。本番の表彰は夜19:00メダル・プラザだ。

・夕方17:30からはアイスホッケーの3 on 3の観戦しに移動。初めて入ったボードワースアリーナは大きい!新しい!しかし、観客は思ったより少ない。メディア用の部屋が最上階に設けてあり、そこで試合開始まで待機。

・このローザンヌYOGで初めての導入された種目の一つである3on3だが、選手は1分交替、キーパーも半分の8分で交替、1チーム15人編成でNOCミックスである。同時に2コートで試合進行、反則などの扱いがあるのに同じ時間進行で良いのかと悩む。キーパー交代時にスキを狙われないかと思ったら、案の定、得点されてしまったチームがいた。

・日本選手達はブラックVSオレンジの試合で対戦していた。NOCミックスで国別メダルカウントを無意味にする競技方式であるが、やはり自国選手のプレーに目が行く。しかし、この新種目はきっと人気が出ないだろうと推測する。1分交替では早すぎるし、コンビどころではないだろう。3分の1のコートなので狭すぎる感もある。オフサイドもないので、通常のアイホのゴール前の攻防戦という所か。

・NHKのメディアスタッフ(鬼澤氏と櫻山さんら)も来場していた。櫻山さんから挨拶されたが、さてどのような報道をするのであろうか? 帰国したら楽しみである。(注:後日のNHKのローザンヌYOG特集ではメダルラッシュとメダル至上主義の報道で少々がっかり)

1月13日(月)

午前中にホテルをチェックアウト。地下鉄を使ってローザンヌ駅から列車でジュネーブ空港へ。帰国の途に着く。無事な旅を!今度は荷物が無事に到着することも願う!

<総括>
・競技中心のAEPになっていたのが気がかりである。町中のプログラムもスポーツ志向。異文化理解や国際交流の文化プログラムがないことが残念である。バッハ会長に代わってからの傾向であると確信した。これまでのヤングアンバサダーも競技経験者になってしまった。

・選手村への入村も半舷上陸。これでは、YOG選手達は競技が終了後に応援や異文化理解・交流プログラムの参加できる機会がほとんど無い。経費節減かもしれないが、YOGの大切な目的を見失っている。

・会場が他地域に分かれているため、選手村も分村。これもYOG選手達の学びと交流の機会を損ねている。残念!

埼玉県の「都市ボランティア選択型研修」にて講師を務めました:報告

2020 年 1 月 31 日 Comments off

執筆:唐澤あゆみ
東海大学グローバル推進本部グローバル推進室/JOA会員

 東京2020大会にて埼玉県の都市ボランティアに決定している方々に、2016年リオデジャネイロオリンピックで大会ボランティアとして活動した私の経験を、幸いにも私の生まれ育った埼玉県で共有できる機会をいただきました。(写真①,②)

 全国に先駆けて埼玉県では、2019年1月より埼玉県の都市ボランティア向けに研修を開始していました。基本研修やリーダーシップ研修、救命救急講習など様々な研修があるうち、「選択研修」の講師として1日3コマを2日間担当しました。この選択型研修では、観光・安全・外国語など40種の豊富なメニューの中から、都市ボランティア自身が関心のあるものを選択して受講することができます。2019年6月から12月までの8日間でのべ11,065人が受講しました。今回この選択型研修の中で、「海外でのスポーツイベント参加者の体験談」という講座名のもと、樋口栞菜JOA会員と共に1コマ60分の講座を行いました。

 まず樋口会員より、アーチェリーのアンダーカテゴリーの世界大会「Youth Archery World Championship」に選手として参加した際の経験をもとに、大会に臨む選手たちの心理面について話がありました。選手は試合前と試合後では心理状態が異なるようで、特に試合前は周囲からの期待やプレッシャーを感じて、極度の緊張状態に陥っている可能性が往々にしてあるということです。そんなとき、ボランティアの方々が笑顔で挨拶しても、不安や緊張から余裕がなく、会釈や笑顔などの返事がないかもしれません。返事がないことに対して不快に思うかもしれないけれど、選手に対して嫌悪感を抱かずに、選手の気持ちを察して応援してほしいとのことでした。まさに選手でないと分からない心理面での経験から、受講者に向けて説得力があるメッセージになったかと思います。

 次に、私が2016年リオデジャネイロオリンピックに大会ボランティアとして参加した際の体験談を話しました。私は「大会」ボランティアとしてリオオリンピックに従事しましたが、今回の講座の対象者は埼玉県の「都市」ボランティアでした。そのため、私のリオでの大会ボランティアとしての活動内容よりも、ボランティア活動を通して得た所感を中心に共有しました。私が今回の講座で最も伝えたかったことは、「自主的に行動する」ということです。私自身、リオではシフトの日に配属先に行っても、仕事をせずに1日が終わってしまうことも多く、仕事ができない悔しい思いをしました。私が所属していたチームのボランティアリーダーのマネジメント不足ではないかとリーダーを責める気持ちもあったことは確かです。しかし、ボランティアのユニホームを着て会場内を歩いていると、世界中から集まった観客の方々から「この競技会場にはどのように行けばいい?」など案内を頼まれることが多いことに気がつきました。そして、会場内を積極的に歩き回って会場案内などすることによって、微力ですが大会に貢献できたと思っています。東京2020大会でも、ボランティア活動に対するイメージや理想と自分の仕事量が合わずに、不満を抱く方がいるかもしれません。私の講座に参加してくれた方々が一人でも多く、小さなことでも自分でできることを探して自主的に行動してほしいと思います。そして、ボランティア活動に対するやりがいを見つけてほしいですし、楽しくボランティア活動をしてほしいです。

 樋口会員と私からの話の後は、2人でクロストーク形式をとり、お互いに質問をし合いました。(写真③)このクロストークの狙いは、数多くの講師陣がいる中で、私たち2人が圧倒的に若い講師であったため、若さを生かしたアットホームな雰囲気を目指すことでした。もちろん事前に原稿は作成しておきますが、実際は本当に質問し合っているような、私たちが会話をしているような雰囲気が出るように努めました。樋口会員からの「ボランティアとして異国の地で活動するにあたって不安だったことは?」という質問に私が答えれば、私が反対に「選手として海外の大会に出場するにあたって不安だったことは?」という質問をして樋口会員が答えるなど、お互いに質問をし合いながらあくまでも選手目線とボランティア目線を大切にしました。また、私がリオのバスターミナルで迷ったときに現地のご婦人が助けてくれた経験を回顧し、今考えてみれば大きなターミナルの通路の真ん中で地図広げて、そこを通る方々の邪魔になってしまっていたなと当時の状況を客観視し、声がけのタイミングなど都市ボランティアの方々がどのように海外の方を助けられるかヒントになるよう落とし込みました。受講者からはクロストークの評価が非常に高く、私たちの受講者を飽きさせない工夫が功を奏したと思います。

 受講者のアンケートから、私たちの講座自体が非常に高い満足度を得られたと安心しています。しかし、この結果に満足せず、次回このような機会をいただいた際は、参加者の関心をもっと寄せられるような講座を目指していきたいと思います。受講者が思わずメモをたくさん取りたくなるような、次から次へと質問が出るような、そして私の話からオリンピズムやオリンピック・ムーブメントなどにも興味を持ってもらえるような講義ができるよう工夫をしていきます。私としては、今回は私のリオオリンピックでの経験を共有することに精一杯で、その経験をオリンピズムやオリンピック・ムーブメントの要素と結び付けられなかったことが反省点です。

 埼玉県の都市ボランティア選択型研修で講師を務めるにあたり、粟沢JOA会員をはじめ、企画・多方面で調整をしてくださった埼玉県の職員の方々、当日の運営を担当してくださった株式会社セレスポの方々など多くの方のご尽力がありました。ご尽力いただいた方に、心より感謝を申し上げます。

【概要】
埼玉県の都市ボランティア選択型研修
「海外でのスポーツイベント参加者の体験談」
・2019年7月7日(日)  @埼玉会館
・2019年12月15日(日)            @ウェスタ川越

【ご協力】
関口 剛啓 様(埼玉県オリンピック・パラリンピック課 ボランティア担当)
粟沢 竜彦 様(JOA会員)

「オリンピックコンサート2019 in川越」におけるJOA展示ブースを設置した広報活動:報告

2019 年 8 月 30 日 Comments off

執筆:青柳 秀幸 
国士舘大学大学院 スポーツ・システム研究科/JOA会員(広報委員会オリンピック・コンサート部門)

 「オリンピックコンサート2019 in川越」は、2019年8月3日(金)[17:00開場-18:00開演]に、ウェスタ川越大ホールにおいて開催されました。オリンピックコンサートは、日本オリンピック委員会(JOC)が、全世界で行われているオリンピックデーイベントの一環として日本独自に開催しているイベントです。

 今回は、去る6月14日に東京国際フォーラムにおいて開催された東京公演と同様に「輝く夢に向かって」をテーマに行われました。川越市での開催は、2015年より4度目です。コンサートは、14回のオリンピックを取材した工藤三郎さんによって進行され、東京公演と同様、粟辻聡さん指揮のもと、”THE ORCHESTRA JAPAN” によって、8楽曲が映像とともに演奏されました。また、ゲストアスリートを招いたトークコーナでは、ラグビーフットボールの中村知春選手や、東京2020大会時に川越市で行われるゴルフと関連した、プロゴルファーの深堀圭一郎選手、中嶋常幸選手が登壇されました。そして、最終プログラムでは、「オリンピック讃歌」が、このコンサートのために集った川越市内にある4つの高校の音楽部員によって合唱されました。

 JOA広報委員会オリンピック・コンサート部門としては、川越市役所の方々と事前に企画・準備を重ね、東京国際フォーラムでは恒例となっているブース展開をしました。具体的な内容は、1)通例となった聖火リレーのトーチ展示・記念撮影会の実施 2)石塚創也会員作成の「オリンピックと環境」をテーマとしたポスターの掲示 3)オリンピックと環境関連の写真パネル(フォート・キシモト)の展示 4)和田拓也会員作成のJOA広報用のポスターの掲示とその解説 5)チラシ(「オリンピックと環境」をテーマとしたポスターの縮小版及びJOAオリンピック小事典(青柳秀幸会員作成))の配布でした。なお、聖火リレートーチは、パナソニック株式会社さまの協力により、3本(2016リオデジャネイロ大会、2012ロンドン大会、2010バンクーバー冬季大会)用意することができました。

 現場での活動を担った委員及び学生スタッフは、「ポスターを眺める方は増えたものの、素通りしてしまう方が多く見受けられました」という前回までの課題を解決するために試行錯誤し、チラシ(ポスターの縮小印刷)の配布や、写真①②のような工夫(足元への順路の作成、待機列へのパネル展示)を試みました。

 その結果、石塚創也会員作成のポスター・チラシを用いて、オリンピック・ムーブメントの基本理念には、その柱として「スポーツ」「文化」とともに「環境」が掲げられていることをこれまで以上に解説・周知することができました。また、フォート・キシモトさまにご作成いただいたパネルやトーチを活用しながら、リオデジャネイロ大会において緑豊かに演出された開会式や聖火リレートーチにも「環境」への配慮やムーブメントがあったことなどを周知することができました。

 ブース設営には若干苦戦した場面もありましたが、それがきっかけとなって生まれた学生スタッフさんの斬新なアイデアにより、JOAブースのレイアウトには新たな風が吹きこまれました。

 今後は、今回実現することができた、地方自治体との連携・協力といった形での活動を継続・発展させることも視野に入れつつ、引き続きトーチとの記念撮影を通じてオリンピックを身近に感じてもらうのと同様に、JOAの中期目標である「オリンピズムの普及と浸透」の一助となるよう、より検討・対策を重ねて参ります。

 予てより、川越市役所の方々には大変お世話になりました。そして、このような機会をご提案・ご提供くださりありがとうございました。当日はJOA会員や学生の方々、その他多くの方々にもご協力をいただきました。ご支援いただいた企業や関係機関の皆さまにも、心より感謝申し上げます。

【運営・展示協力】
聖火リレーのトーチ展示:パナソニック株式会社
写真パネル展示:(株)フォート・キシモト(松原茂章会員)
学生スタッフ:東海大学:5名、首都大学東京:1名 
JOA会員スタッフ:唐澤あゆみ会員(東海大学職員)

【JOA広報委員会オリンピックコンサート部門】
委員長:來田享子   副委員長:佐藤政廣
委員:青柳秀幸、飯塚俊哉、石塚創也、大津克哉、木村華織、谷口晃親、舛本直文、和田拓也

JOC「オリンピック・コンサート2019」におけるJOA展示ブース設置による広報活動の報告

2019 年 7 月 3 日 Comments off

執筆:石塚創也
((公財)日本スポーツ協会スポーツ科学研究室研究員/JOA会員(広報委員会オリンピック・コンサート部門)

 「オリンピック・コンサート2019」は、2019年6月14日(金)(17:30開場-18:30開演)に東京国際フォーラムにおいて開催されました。この催しは、日本オリンピック委員会(JOC)がオリンピック・ムーブメント推進事業の一環として、「オリンピック精神」を広く多くの方に伝えることを目指す活動です。

 今年は「輝く夢に向かって」をテーマに、ナビゲーターの藤本隆宏さんの進行のもと、粟辻聡さんの指揮による “THE ORCHESTRA JAPAN”の演奏や、スペシャルゲスト藤巻亮太(レミオロメン)さんのスペシャルステージが行われ、「粉雪」、「もっと遠くへ」、「3月9日」など、多くの方が一度は耳にしたことがある曲が演奏されました。また、今後の活躍が期待されているスキージャンプの小林陵有さんや、フィギュアスケートの紀平梨花さんなど、多くのオリンピアンが登壇されました。

 JOA広報委員会オリンピックコンサート部門では、例年佐藤政廣会員を中心に展示ブースを開設し、広報活動を行っています。展示ブースでは、聖火トーチの展示やオリンピックに関する知識の提供など、積極的にオリンピック・ムーブメントを展開しています。今年度は、通例となった聖火トーチ展示・撮影会や、「オリンピックと環境」をテーマとした写真パネル、映像、ポスターの展示とともに、JOA広報用のポスター3枚を掲示しました。聖火トーチについては、2016リオデジャネイロ大会、2012ロンドン大会、2010バンクーバー冬季大会および1964東京大会の計4本の展示を行うことができました。

 展示ブースには例年通り多くの来場者が集まり、聖火トーチを持って記念撮影を楽しむ来場者の姿を目にすることができました。これら展示のほかに、パンフレットやチラシの配布も行いましたが、準備したもの全てを配り終えることができました。やはり今年も、青柳秀幸現場監督による事前準備と現場での臨機応変な対応には目を見張るものがありました。

 来場者とポスターの距離が遠いという課題を克服するため、今年度も「ポスターゾーン」と「トーチゾーン」を分離し、さらに「ポスターゾーン」に誘導できるような動線を確保しました。しかし、ポスターを眺める方は増えたものの、素通りしてしまう方が多く見受けられました。今後はポスターをしっかりと観て頂く仕掛けが必要です。

当日は、JOA会員や学生の方々、その他多くの方々にご協力をいただきました。ご支援いただいた企業や関係機関の皆様にも、心より感謝申し上げます。

【運営・展示協力】

聖火トーチ展示:パナソニック株式会社
映像・ポスター展示:中京大学(伊東佳那子氏ほか)
写真パネル展示:(株)フォート・キシモト(松原茂章会員)
日本スポーツ芸術協会機関誌『Sport Art 2019スポーツ芸術』(大野益弘会員)
学生スタッフ:東海大学6名、武蔵野大学5名
JOA会員スタッフ:唐澤あゆみ会員(東海大学職員)

【JOA広報委員会オリンピックコンサート部門】
委員長:來田享子
副委員長:佐藤政廣
委員:青柳秀幸、飯塚俊哉、石塚創也、大津克哉、木村華織、谷口晃親、舛本直文、和田拓也