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インチョン2014アジア・パラリンピック競技大会レポート

2015 年 3 月 31 日

執筆:込山奈津子(JOA会員)

10月20日(月)~23日(木)、仕事の関係でアジアパラ競技大会の柔道競技を観戦する機会がありました。今回の出張は柔道競技の観戦が大きな目的だった為、他の競技を見る機会はありませんでしたが、私が観て感じたアジアパラ競技大会をご報告させていただきます。

【柔道会場 外観】

会場となったのはアジア大会で柔道とレスリングが行われた「Dowon Gymnasium」です。仁川市内の繁華街から車で10分もかからない場所にありました。宿泊ホテルからタクシーで向かいましたが、会場外はボランティアスタッフも数人いるだけでとても静かな感じを受けました。(写真1,2)

黄色のラインに沿って歩いていくと、観客用の入口に辿りつくことができました。(写真3)

会場の外にあるインフォメーションは閉じたまま。アジア大会の時に使われていたのでしょうか・・・。(写真4)

【柔道会場 セキュリティチェック】

会場に入る際のセキュリティチェックは、ゲート型金属探知機とバックの中の確認(目視)でした。バックの中身はほとんど見ず、あまり厳しくない感じを受けました。(写真5)

セキュリティ検査を抜けると、右手ブースでオフィシャルガイドブックを配布していましたが、ブースが入口から背を向けているため見えにくく、最初はまったく存在に気がつきませんでした。配布されていたオフィシャルハンドブックには競技スケジュール、会場、文化イベント、競技以外のその他情報などが掲載されていました。柔道会場では英語版とハングル版があり、英語版は競技3日目には無くなり配布終了となってしまいました。(写真6)

【柔道会場 内観】

 会場に入ると観客席はガラガラ。今大会は前回大会同様に競技の観戦は無料(開・閉会式のみ有料)でしたが、柔道は残念なことに一般の観客はほとんど見られませんでした。他の競技会場については様子を見ていないのでどのような感じだったのかは定かではありません。(写真7)

ただ、時間帯によっては近所の保育園、小・中・高等学校が授業の一環で観戦に来ており、会場内はとても賑やかになる時間帯もありました。

特に韓国代表選手の試合と学生の観戦時間が重なった際は、「テーハミング!」の大声援。保育園の小さな子どもたちまでも「テーハミング!」と一緒になって応援する姿がとても印象的でした。(写真8)

会場内のデザイン。青色を基調にカラフルなバナーや各国国旗が掲げられていました。(写真9,10)

【柔道会場 競技】

 競技は2面で行われました。パラリンピック競技の柔道がオリンピック競技の柔道と違う大きな点は、最初に組んだ状態から行うことです。審判が「はじめ」と声をかけた瞬間、技が飛び出し開始数秒で試合が終わることもあるため、最初から本当に気が抜けないようです。(写真11)

 また、組んだ状態でもなかなか技を出さないでいると「指導」をとられてしまい、その「指導」1つの差で勝敗が決まるケースも多かったです。素人目線だと、「指導」が出るタイミングが分かりにくく、「指導」1つの差で勝敗が決まってしまった試合はすっきりしない感じを受けました。審判によっても「指導」を出すタイミングが少し違う感じを受けました。競技を知らないとこの部分を理解することは難しいのかもしれません。(写真12)

 今大会の日本男子の競技成績は金メダルなしという結果に終わり、7階級中6階級でウズベキスタンの選手が優勝しました。柔道競技においてもアジア内での勢力図が変わってきたように感じられ、2020年の東京パラリンピックに向けて強化の必要性を感じましたが、パラリンピック競技を支える強化スタッフや事務局スタッフの多くは、自らの仕事を持ちながら無給で休日や平日夜間に指導等に携わることが多く、まだまだ課題は多いと考えられます。

 明るい結果としては、日本代表女子選手たちが今まで越えられなかった1勝の壁を出場4選手すべてが突破したことです。これは大きな成果だと言えると思います。

【柔道会場 バリアフリー】

会場内には車いす専用の応援スペースも多めに用意されていたように思います。(写真13)車いす専用トイレもいくつかありました。(写真14)ただ、視覚障害のクラスのみ実施の柔道会場には、他の競技会場ほど車いすを使用している観客は見られませんでした。(写真15,16)

【オフィシャルグッズ】

柔道の会場には残念ながらグッズ販売はなく、市内でも見つけることができませんでした。オフィシャルガイドブックには、「①開会式と閉会式時に会場にて販売、②選手村」と販売場所が書かれていました。選手に聞いたところ、選手村にもほとんどグッズはないとのことでした。

また、仁川国際空港でアジア大会のグッズを販売している期間限定ショップがあるという話を聞き行ってみましたが、アジア大会のグッズのみの販売でした。しかも、すべてがディスカウントされていて30%引きでした。(写真17,18)

この期間限定ショップはアジアパラ競技大会が終了するまで営業しているという話だったので、できればアジアパラ競技大会のグッズを数種類でも販売して欲しい・・・と内心思ってしまいました。関係するグッズのお土産も買っていけない…と選手や関係スタッフの方も残念そうでした。

【市内の様子】

市内にはアジアパラを歓迎する横断幕のようなものや、大会ロゴが入った旗などがあちこちで見られました。アジアパラ歓迎の横断幕はハングル、中国語、日本語など、参加国の母国語を使った様々なバージョンがありました。柔道会場の近くで日本語表記の横断幕を見つけました。(写真19,20,21)

また、仁川市内の繁華街には、アジア大会とアジアパラ競技大会のマスコットのオブジェがありました。ここで初めてアジアパラのマスコットに遭遇することができました。(写真22)

【最後に】

今大会は公式HPでも直前までほとんど情報がなく、不安を抱え仁川入りしましたが、そこまで不便だと感じることもなく無事に観戦を終えることができました。競技は平日昼間の開催なので難しいとは思いますが、競技観戦はすべて無料だったので、学生だけでなく一般の方にも観戦に来ていただき競技を知ってもらえたら・・・と思いました。 また、アジアパラグッズ販売がなかったことが非常に残念でした。

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